詩人:孤 花 | [投票][編集] |
アルバムの中の怪獣達
教科書のいびつな猫型ロボット
私が落とした一個の涙が
消えない染みをつくった
君が描いたもの達は
子供のままだよ
夢を唱えながら
私をずっと見てる
君が忘れても
ネバーランドの怪獣達は
君の気持と一緒に
いつまでも
笑ってるんだ
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ぼくらは走っていた
知って知って
知り続けようとして
ただひたすら
流れに乗り続け
咳き込み続け
それでも
走り続け
得たものを知ることはなく
失ったものに気付かず
ただそれが落ちないように安定を保ち
平均台から落ちないように
力を振り絞り続け
ただ何故か
漠然と疑問が追い掛けて来たし
不安や焦りを駆り立てられることがあった
そう
走ってる内に何かが壊れていった
何かを踏みつけたことにさえ気付かなかったんだ
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君がいるのかと思ったよ
懐かしい声に目を覚ましたんだ
甘い口づけのような声
少しかすれてたね
二人だけで話す時
優しさに溢れてた
涙を誘う声
永遠の音色の様に
いつも私の中に
流れているからね
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黄色の長靴をはいて
じゃぶじゃぶするのが
大好きだった
大人になるにつれ
雨が降ると憂鬱で
外に出たくなくなった
汚れるのを恐れるようになった
雨音が雑音にしか聞こえなくなった
貴方はそんな私を嫌って出ていった
あれから
心にはずっとしとしとと降り続いてる
あの日も雨だった
貴方の足跡も遠く雨の向こうに消えた
雨音だけが唯一そこにあるのに
すがろうとしても雨を嫌った私に
味方はしてくれない
時は経ち
最近雨音が少し
優しく聞こえるようになった
貴方は戻らないけれど
この雨の向こうで
貴方が笑ったのを感じた
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休日の大雨
流れる河の音も掻き消すほどに
絶えることなく響き続け
縦に縦に刻み続け
この小さな部屋を包み込んでしまう
水の壁を作って
だから外のことは何も考えなくていい
真っ白な空間で
今日くらいは自分を休ませてあげる
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何度目のこの日が来た?
今年もなんの迷いもなく訪れたね
君の生まれた日が来る度に
焦りと切なさが募ります
いつから今日を意識するようになった?
君が生を受けたこの日を
かけがえのない日を
今年も祝うよ
心の中で密やかに
おめでとう
生まれてきてくれて嬉しかったよ
こうして言葉を紙にのせることに
どんな意味があるか分からないけど
私はこの日に何かがしたいのね
どうしてもおめでとうを
形にしたかったの
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待っていて
あともう少し
あなたに追いつくまで
あともう少しだから
待っていて
そうしてるうちに
流れていたのね
遅すぎたね
だけど
本当は気づいていた
時は待たない事も
あなたが逝ってしまった事も
切なくて切なくて切なくて切なくて切なくて
震えるこの体に
静かすぎる現実が降り注ぐ
私はそれでもどこかで
信じてる
埋もれていく白の中
心地いい白の中
ひとりだけで
ここから薄れていくの
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初めて伸ばした髪
水の色の浴衣
今日はお祭
最後の賭けの日
貴方を見つけて
近づく下駄の音
急ぐ胸の音
間際に気付く
隣の可愛らしい人
もうすぐ空に
満開の花が咲きます
泣いてはいけないですね
にじんだ硝子玉に映る
夜の色は何よりも切なく遠く
この音と光の旋律に
身を委ねましょう
今日で終わり
最後の想いと
最後の恋
それでも届いて
この夜にだけでも
見上げた空を伝って
今宵限りの花の如く
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仕事の帰り道
花の香りが漂ってきた
白と濃い桃色の
私が大好きな沈丁花の香り
世界で一番愛してるその香りに
引き寄せられて
思わずひとつ摘んでみた
それをそっと握り締め
川沿いを歩く
なんていいお天気
昨日あんなに眠れなかったのに
清々しい
強風にあおられ飛ばされそうになりながら
それがまた心地いい
もっと吹け
川に目をやる
とても懐かしい気分
手の中の花を川に浮かべてみようか
少しロマンチックな事を考えて
風に押され歩く
前から来る自転車の人も
ほら、川を見てる
途中で黄色い水仙に浮気をしてる時
可愛い小学生が横切る
そういえば学校で
球根からこの花を育てたことがあったっけ
田舎道は素敵だ
さっきまでの苛ついた気持も
この町の空気が流してくれたもの
大好きな人がいっぱいの
私が生まれた町