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高級スプーン似の部屋  〜 新着順表示 〜


[454] 言の花を一輪
詩人:高級スプーン似 [投票][編集]

心象風景に咲く花は
わたしの内側にあって
こうして
思い描かなければ
誰にも知られることは
ありません

放っておけば
やがて
記憶の彼方に追いやられ
人知れず
枯れてしまう
人の夢にも似た花で

そうなる前に
押し花みたく
仮想世界に言葉を挟み
あなたの目に触れる場所へ

けれども
それは創られた花
ありのままを
思うままに描いてみても
わたしの心に咲くそれとは
似て非なる言の花

見た目も
想いも思い思いに違う
あなたの目に届く頃には
別物になっています

確かめようもありませんが

現実でも
此処でも個々の
平行線のわたしたち
いくら筆舌を尽くしても
読めない気持ちに
変わりはなくて
ひとりぼっちに
代わりもなくて

それでも
ひとりひとり
互いに目を背けなければ
ひとりとひとり
視線は交差しますから

今宵も想い
描くのです

仮初めでもいい
心のうちに咲く花を
表に出ない感情を
うたにして

ハローハロー

あなたに
伝えてみたいのです

2013/01/07 (Mon)

[453] 放射能]'mas 2012
詩人:高級スプーン似 [投票][編集]

つんざく寒さにやられ
引きちぎりたい赤い耳
世界の終わる前夜
白い雪が町に降り
けれども
積もることはなく
地球に沈んでいく

来ない明日がやって来た
わかってはいたけれど
未来に続く始まりの朝
期待外れの結果は
起こす身体に
重くのし掛かってくる

予告編を見て
面白いだろうと踏んで
観た映画
騙されたのは
これで何度目か

心の片隅で願い
自分勝手に裏切られる
色気づく街中
静かに歩いて
歩いて歩いて

どこからか
伸びてきた手に捕まって
赤い耳ごと地球から
引きちぎられたい衝動は
雪のように沈んでいく

いくら汚染されても
日常にはあまり響かずに
仰いだ空は遠いまま

僕はまだ終わらない

2012/12/26 (Wed)

[452] 準備OK?
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世界が終わりました

けれど
それは終わりであって
行き詰まりではなくて

これ以上
先に進めない
行き止まりでもないなら

立ち止まって
深呼吸ひとつ
次のゴールを目指そうか

まもなく
新たな世界の
はじまりはじまり

さあ

2012/12/21 (Fri)

[451] 塗り絵のカラス
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輪郭だけ描かれた
カラスに着ける色
大人になれば皆が皆
黒を選んで塗り潰す

それを知らずに私
手渡された紙を前にして
軽くパニック
カラスが何かすら
わからなくなっていた

この辺は赤で
こっちは青か
そもそも青ってどんな色

誰もが正解するような
間違えようのない問題
答が提示されている
そう言っても
過言ではない局面で
誰も予想もしなかった
方向へと向かう指先
悪手とすら呼ばれず
無言の静寂が訪れる

私の思考は
理解されないし
皆の思考を
理解できずに
震える手を隠し
意味なく笑った

どうして
ここに居るのかも
わからなくなっていた
皆の笑顔が笑顔なのかも

黒く染まった洗面台
化粧を落とした顔を見る
無彩色の肌に触れ
カラスが何かを思い出す

なんだ
引っ掛け問題だったのか

色を塗る必要はなかった
白紙の時点で
完成していたのだから

2012/12/14 (Fri)

[450] 邪悪な噛み合わせ
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勝手に近付いてきた人は
これ以上
わたしに構うなと
勝手に離れていったから
呆然となる

ふたりの会話は
幾年月もかけて行った
伝言ゲームの結末のよう
ひとことで云えば
「噛み合わない」

突然現れ
荒らすだけ荒らして
去っていく
嵐のような人
こちらから
関わることはもうない
話をすることもない
そう思っていた

7回平和になった国は
8回目の戦争の真っ最中
客観的に見れば
「馬鹿げてる」
そのひとことに尽きる
けれど

張本人は気付かない
火付け役が
まさか自分だなんて
夢にも思わない現実

邪悪な正義の使者は
颯爽と現れ
物議を醸してその後
何事もなかったように
再び
にこにこと白い歯
こちらに向けてやって来た

自覚がないんだ
気付けはしないか
わたしが避けても
首を傾げて
真っ直ぐこちらに
近付いてくるんだろう

「うちら気が合うね♪」

などと抜かしながら

2012/12/13 (Thu)

[449] 手持ちぶさたの忙しない日々
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忙しない日々に
手持ちぶさた

この手が塞がっていたから
掴めなかったもの
振り返れば
少しは
残っているだろうか

そうだとしても
根性なしの僕は
前だけを見て歩く
僅かな希望も
抱く勇気がなくて

開いた両手に目を落とす

人に叱られたり
人に誉められたり
誰かと笑い
喜びを共にしたり
ひとりじゃないから
出来るんだよな
当たり前のことに
気付いたのは
ひとりになってから

この先
訪れるかもしれない幸せも
拒むように
人ごみを押しのけて
前へ

多忙な毎日の幕間に
足を止め
誰もが悲しんだとしても

空いた両手に何を落とす?

ぐっと堪えて
歩みを速める

別れを告げる人たちの
すすり泣く声
乾いた両手を握りしめ
ひとり列を抜けた

先に進むよ

振り返っても
当然
君はいないから

2012/12/04 (Tue)

[448] またぐ水曜日
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もうこんな時間か

家に帰って
お風呂に入ったら
すぐに眠らなければ

けれど
このまま
一日を終えるのが
どうしても嫌で
パソコンの電源を入れる

朝になれば
欠伸をしながら
悔やむこと
わかってるのに
耳に流したい曲を
探し始める

最終電車に乗った時には
火曜日は遠い昔
午前二時に聞く歌は
日曜日の団らんよりも
痛い

精一杯の抵抗は
疲れを残して
朝日に屈す

ああもうおきるじかんだ
もっとはやくに
ねておけばよかったな
あしたこそは
なにもきかずに
はやくねよう

そう決めていたのに
最終電車
乗った頃には忘れてる

2012/11/07 (Wed)

[447] むしのいき
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目的がなくても
握る手はあたたかい

喧騒の中
たったひとつの
言葉も必要なくて

隣で寝息を立てる
あなたのすべてが
愛おしい

密閉された夜
星々は帳の外
伸ばした手は溺れ
このまま
沈んでいくことに
望みすら覚えた時

無抵抗のむしに
一縷のぬくもりが

気付けば
理由もなく
その手を握り返していた


あたたかい

2012/10/28 (Sun)

[446] がんばれない
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忙しい毎日
やる気のなさは普遍的で
怒られてばかりいる

負けず嫌いが大嫌い
勝てない試合に出場して
へらへら
吠えもしないお阿呆さん

殺されそうになったって
生活とは無縁の
シを書いて身を削る
なんの足しにも
出しにもならない

余力のない最終電車
ため息だけは一人前
ガタンゴトン
先をゆく後輩の背中を
目で追うだけじゃ
前には進まないから

人間なのは形だけ
振りはもう見飽きられ
泳ぐ尻尾
矛先を失って
宙に溺れる

眠れないのはお前のせい
金が無いのは社会のせい
それでも
死ねないのは 気のせい

ぐったりと尻尾を落として
憔悴

よく頑張った

振り

2012/10/15 (Mon)

[445] 五文字です
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いま
いま
いま
いま
いまを追い掛けていく
きみの
五分後の消滅や
五分前の誕生を
いま
きみは知らないでいる

きのうみた映画も
あしたみる景色も
きみの考えた
偽りだとしたら?

いまを生きることに
なんの意味があるの

スタート地点は蜃気楼
近付くゴールは藪の中
明後日は四次元で
一昨日は悪い夢だ

いま
いま
いま
いま
いまを追い掛けていく
きみの
五分後の消滅や
五分前の誕生を

いま

きみは
知っている気になって
生きている気になって

気になって
気になって
やがて
五分が経過して

五分前には
知らなかった結末を
知らず
読み終えたりしている

2012/10/10 (Wed)
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