詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
仲間以外は
赤の他人なんでしょう
友達の居ない人は
虐げられるんでしょう
干渉せずには
生きていけない
世の中だから
絶望の淵
伸ばしてきた手を
拒む権利は無いんだね
このまま
死なせてくれたら
楽になれるのに
いくらか金を
掴ませて
そっと手を離す
機会を伺っているけれど
足りない
まだ足りないと
搾取され
骨と皮と
心臓だけになっても
生きている
まだ生きている
お前らに生かされている
希望の光に
身を焦がし
どの道もう
ひとりでは
生きていけない気がした
苦しむだけの未来を
前だけを向いて
どこまでも行ける
幸運を呪っても
血も涙も出ない
手を離せよ
痩せ細る声を大にして
弱々しく猛るけど
お前らは
微笑ましげに
見ているばかり
明るい光に照らされた
平和な世界に安住
手と手を取り合って
幸せに生きることは
素晴らしい なんて
誰もが
安らげると思うなよ
滑り落ちれば
バッドエンド
けれども
お前らは手を離さない
心臓に鞭を打ち
嗚咽する無様な姿
その様を
目を細めて
見ているばかり
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アスファルトに
油をたらせば
美味しく焼けるだろうか
朝から嫌なものを見た
味気ない空気
噛まずに飲み込んで
無関心を装った
人前で死ぬのは
別に
恥ずかしいことじゃない
電車に乗って
ハンカチで汗を拭っても
まだ
頭の裏から流れてくる
なき声
みんな
見えているのに
見ない振り
寝ぼけた胸中で
不快には思ったとしても
その日の午後には
他のストレスに埋もれ
忘れてしまうんだろうな
ほら
帰り道には
綺麗さっぱり消えていた
香ばしいにおいも
漂わせずに
この国は
とてもクリーンで
少しも鼻腔をくすぐらない
わたしの感じる倦怠感の
理由は夏の暑さだけで
説明できるしね
過ぎ去る人々に
最早
見向きもされない道路脇
陽が落ちる間際
点る外灯
きみの顔を思い出せない
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タンスが笑ってる
カーテンが喜んでいる
ドアノブが楽しそう
この部屋で
感情が無いのは
ぼくだけだ
時計が狂ってる
炊飯器が喚いている
クローゼットが泣きだした
渦巻く喜怒哀楽
部屋の隅々に散らかって
吐き出されるそれら
ふと視線を感じて
振り向くと
目が合った
鏡が無表情に
ぼくを見ている
この部屋で
感情が無いのは
ぼくだけだと思っていた
意地悪なパソコンに
呑気な枕
嘲るテレビに
窓は優しく微笑んで
退屈そうな充電器
心が揺れた
互いに影響し合って
色を変えていく部屋の中
鏡は笑った
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吐けない糸に身を包み
生えない羽を夢に見て
ふとした瞬間
孵った我は
人間にとって害のある
虫ではなかった
全く成長しないのなら
手も足も意識も要らない
日陰に住み
もぞもぞと動く
見る者を不快にさせる
虫になりたい
薬を浴びせられ
のたうち回れば
早く死ねよと冷たい目
私が居なくなれば
束の間
皆に幸せが訪れる
この上ない終わり
人の姿で祈っても
目が覚めれば
失っていない我
虫にはなれない
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喉元過ぎれば
満たされていく
幸せな気分
寝て覚めて
そろそろ
お腹が減る頃か
明日になれば
陽はまた昇る
けれども
ぼくらの列島は
沈めば最後
明日はないぞ
復興が先か
事故が先か
盛り上がる熱
渦となり
ぼくらを巻き込んで
どこへ行く
叫んで騒いで
また明日
解散
閑散とする思考
ああ
いい気持ち
浮かぶ列島に揺られ
「 次はもっと
人を集めて
やってやる 」
仲間を増やせば殊更に
心地よく眠れるものか
少しは
飢えを味わえよ
流した涙は
誰の為
使われるのだろう
自己満足の救援物資
届いた先の感情までは
知りたがらない
平和は幻想だ
生きている限り
安全な場所はない
だから
もっと
大きな声で
思いを伝えるんだ
酔いしれる革命家
集う人々
覚えていますか
目的地
賛成派も反対派も
マスコミも政治家も
中立でも興味がなくても
立っているのは列島の上
沈めば諸共
海の藻屑に
明日になれば
陽はまた昇る
けれども
ぼくらの列島は
沈めば最後
明日はないぞ
行動するなら
夜明け前
思考は停止させないで
見失わずに目的地へ
ぼくらが
生きているうちに
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日陰は
身を隠すのに最適で
とても涼しいが
身震いするほどに
寒くもなる
けれど
氷を放置すれば
いつかは
溶けてしまうもの
言い知れぬ
義務感と不安に煽られ
自ら日向に
出てきたのはいいが
時間を前に進める作業
いつまで従事すれば
得られるのだろう
達成感とか
充足感とかさあ
常温の世界
沸かしたお風呂も
忘れた頃には
冷めている
悟りさん
悟りさん
さっさと開いて下さい
お願いします
世知辛い世の中に
身を任せれば
常在化する苦痛
受け流さずに
受け容れていく
生ぬるい嘔吐物
飲み込んでしまえば
吐く必要も無いものね
直射日光
浴びて今日も病気です
期限を設定しないから
腐っても人間
醜い姿で歩むのです
現実に襲いかかって即死
七回殺されても
まだ起き上がってくる
最早
怖いを通り越して可哀想
そう思われたら
バッドエンド
アハハ
終わってますね
( )
返す言葉を括弧に閉じて
蓋をする人は
セリフまで臭いから
近寄らないで三十歳
格好はつかずに末路まで
反省会はあの世でね
もうずっと笑ってないよ
はいはい
次の人生でまた
頑張って下さい
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青春は笑わない
何故だか理由を考える
途端にわからなくなる
あなたは卒業したから
あなたは卒業したから
むしゃくしゃしてやった
鼻で笑う動機
語尾に恨みと付ければ
陳腐な事件に成り下がる
理由不明で殺された人
残された家族は
誰ひとり笑っていないよ
くだらない日常が
つまらないものだと
切り捨てる若者は
全員
死ねよ
煮えくりかえる
はらわたを引きずり出して
遊べばきっと
死ぬでしょう
答は常にシンプルだから
名前も書かずに提出
評価を得られない
今日も街に出て
犯行に及ぶ
悪い人など居ない
複雑怪奇な笑みは
妄想の副産物なんだ
桜の木の下で
燻らす私怨
風に吹かせば
たちまち消える
青い春
外はまだ寒いから
心を閉ざすよ
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疑いは常に
過半数には届かない
どれだけ
疑り深い人でも
だから
騙される
疑い半分
触れてみた
すると
どうでしょう
触れれば
触れる程
あれ
何これ
好きかも
ヤバい
超好き
ハマった
ツボに
ハマった
どつぼに
ヤバい
マジこれヤバい
激ヤバヤバい
ヤバいのは
あなたの思考です常考
あなたの嗜好は信仰に
親しい友だちは教祖に
次から壺を差し出せば
あなたは喜んで
尻尾を振るでしょう
次から坪の話をすれば
あなたは悦んで
土地を買うでしょう
家を建てるでしょう
彼を
助けて下さい
彼は今
とても困っています
彼は
笑っていますが
本当は
泣いているのです
彼が震えているのは
笑いを堪えているから
ではありません
悲しみや怒りを
抑えつけるのに
必死なのです
このままでは
彼は必ず
死んでしまうでしょう
その前に
助けて下さい
あなたの大好きな彼を
救って下さい
これは
あなたにしか
出来ないことなんです
彼の特別なあなたに
それは魔法
呪文のような
甘い嘆きを唱えたら
あなたは
何もせずには
いられなくなり
何だって
してしまうでしょう
疑いひとつない
快い心
晴れ晴れとした気持ちで
建てた家を
売り払うでしょう
いくらでも
お金を払うでしょう
それが喜びであり
悦びなんですから
あなたの幸せを
疑う余地は
もうありません
買える土地も
帰る家もありません
すると
あれあれ
友だちの姿が見えません
そりゃそうでしょう
友だちなど
最初から
居ないのですから
だから
私はいつまで経っても
人を信じられず
ひとりぼっちで居るのです
半信半疑
一進一退もせず停滞
信じる気持ちもまた
誰にも届くことは
ありません
だから
親愛なるあなた
一線を越えて
私を助けにきて下さい
お願いです
私を救って下さい
その前にまず
この壺を
手に取ってみて下さい
あなたが
私を信じてくれるなら
私は
あなたを100%信じます
ありがとう
ありがとう
わたしの友は
あなたしかいない
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雨が降らなくとも
風が吹かなくとも
滞りなく進む人の歩み
停められるものか
停められるものか
堂々巡る思考の渦
荒々しくも
何も為さない外は晴れ
中心にぽつん
見上げた先にある光
照らしはするけれど
導かれる先は常に闇
苦悶の表情で
途方に暮れる
それでも止まらぬ
歩みよどこへ
道程はいつも足下へ
自分について回るのに
肝心の結果が ねえ
雨が降っても
槍が落ちても
自己を犠牲に進む
免れる術を持たずに
裸で歩く
ひたすらに
人の歩みは停滞知らず