詩人:杞柳 | [投票][編集] |
蝉時雨にうなされた
夢見ることを
夢見てしまった
自分に嫌悪
何処にいったの?
あたしのあなた
目を瞑らずには
逢えなくて
嗚呼
蝉時雨
蝉時雨
あたしを早く
起こしなさいな
叶わない夢
どうせなら
覚めてしまえ
冷めてしまえ
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怠惰な波は直線に近づいて
カウントダウン
あなたの体温が
室温と同化を試みる度
あたしは白い錠剤を戴く
あたしも一緒よ
老いて生くなど怖いじゃない
アイデンティティも
モラトリアムも
どうでも良くて
ひたすらに苦い錠剤
一人じゃ眠らせないよ
置いて逝くなどずるいじゃない
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好きじゃないなら
優しくしないで
けれど冷たくされ
まんまと泣かされ
我儘の類にまみれ
矛盾無き日は類い稀
きっと貴方の抱擁は気まぐれ
それでも嫌う理由は奪われ
好きじゃないなら
優しくしないで
ほらまた
寸分の狂い無く廻る
優しさの悪循環
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ここに
海はないのに
波の音が聴こえた
ここに
森はないのに
木々の薫りがした
ここに
華はないのに
蜜の味がした
ここに
光はないのに
影が消える気がした
ここに
心はないのに
ぬくもりを感じた
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どうして
君は
優しいの?
あたしは
君に
何が出来る?
優しさが
あったかく
とても
いたい
どうして
君は
優しいの?
あたしは
君に
甘えてしまう
優しさが
やさしく
とても
こわい
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どうしてだろう
愛するものは
みんな遠ざかっていく
5つの時
始めたピアノも
8つの時
習った英語も
13の時
夢見た絵画も
18の時
抱かれた人も
20の時
誓った人も
さっきまで
隣にいた人も
みんな
みんな
遠ざかっていく
ねぇ
どうしてだろう
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急に
君を励ます言葉が
出なくなった
「僕がいるよ」
と言うには
差し出がましすぎて
「頑張って」
と言うには
そっけなさすぎた
ふいに君への愛を
綴ることが出来なくなった
「そばにいて」と歌うには
無遠慮すぎて
「愛してる」と歌うには
自分勝手すぎた
ずっと
君に感謝の気持ちを
伝えられなかった
「一番大切」
と囁くには
遠回しすぎて
「ありがとう」
と囁くには
あまりに足りなすぎた
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わたしを産んでくれた
お母さんの腕には
ファッション感覚に並ぶ
無数の平行線が
ありました
わたしを抱いてくれた
お父さんの腕には
星座が描ける程の
無数の一等星が
ありました
そして
二人に愛された
わたしの腕には
今日も憎悪や愛情が
綺麗に施されることでしょう
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いつだって
負けそうだった
降り止まない雨や
他人事のような街
温度のない嘘や
綺麗過ぎる言葉
触れられない横顔
夢でしか掴めない夢
あの日
貴方は
雨に 街に
嘘に 言葉に
横顔に 夢に
負けるなと
言ったのではなく
負けそうになるあたしに
負けるなと言ったんだ
大丈夫
強くなれる
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解けない魔法が欲しかった
幼い頃からそう思ってた
解けない魔法を手にした私が
何を望むつもりだったかは
覚えていないけれど
手をかざして
呪文を唱えて
望むものは奇跡じゃない
解けない魔法が欲しかった
大人になった今もそう思う
解けない魔法を手にした私が
戸惑い悲しむ姿が
容易に想像できるのに
手をかざして
呪文を唱えて
望むものは奇跡じゃない