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剛田奇作の部屋  〜 投稿順表示 〜


[209] 
詩人:剛田奇作 [投票][編集]



すぐ何かにひっかかる



空に傷をつける
そして風邪をひかせた


私は 喉で笑う

迷惑メールを消す日課

爪 ひび割れはカルシウム不足から

溶けかけたコーラの飴のはじに刺しこんで


こっそり あの雨の日バスのシートに傷をつけた


噛むと自転車を思い出す
ゴムのハンドル

汚れて 端っこがさかむけている


曇り空によく爪でキスする

爪でなら裏切りにはならないから


野良猫に見られると気まずいけれど




2009/03/02 (Mon)

[211] 無題
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暗闇には 白い線が引かれた

それはただ
鋭く、濃く、細くて

光っていた

線引きで書いたように真っすぐに


直線は、痛い


その痛さに気付いてからもう
どれだけ経ったのか


それは 冷たい光


私の瞳孔に入り込んでくる

光の線はレーザーで

私の身体の隅々までも
サイコロカットにしてしまう


排気ガスだらけの私のユートピア


私の命の島


穏やかな夕刻
鋭く尖った 電信柱の影が私を刺している


罪人を真っすぐ

温かいほどに

やはり真っすぐに


殺風景な灰色のコンクリートに
立ちすくむ私

電信柱に感謝
それは真っすぐの痛み

私は昔から
電信柱が好きだったのだ


いつか登って
フライドポテトを食べよう

それから
あの人に会う

そして何度めかのサヨナラを言う


養老院から飛び出した売春婦

私はそう

ゴミ捨て係の最高責任者

私はそう

最寄りの駅でくすぶる
使徒

Gパンとナプキンを身につけコンビニでカレーパンを買う

使徒

ゴミはきちんと持ち帰る
使徒




2009/03/05 (Thu)

[212] ピスタチオ
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海岸で、君のくせっ毛が潮風でぺたぺたになったのは10回


一瞬、触れた君の頬が冷たかったのは2回


神社で一緒にハトに餌をやったのは3回


私が君に ミシェルを歌ってとせがんだのは21回


風邪ぎみの君に私がホットレモネードを作ったのは4回



私の茄子味噌炒めを、どうしても君が食べられなかったのが1回


君が買って途中で挫折したミステリー小説を私が読破したのは真夏


酔った君が、道路標識の棒に捕まってくるくる回ったのは冬


昔、友達から借りパクしたバグダッドカフェを君が気に入っていて笑ったのは深夜


君が 買ったココアを冷えてしまうまでにぎりしめていた1月


君が、悲しそうにミシェルを歌ったのは1回


私は今でも
君の睫毛を眺めている
夜明け


うつむいた君の瞳を隠した前髪をよけて
君の瞳を確かめたのは

0回


君がどこかで原チャリのキーを回すのは、毎日






2009/03/07 (Sat)

[213] フェロモン
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つまり
それはフェロモンと呼ばれるもの


男は髭を剃り
くすんだ鏡に、少し唇を切る


知らない女が寝ていた


シーツにシワがより
女の股が開かれ


男の目にははっきりと、見たことも無い惑星が宿り


古い部屋の密度が高くなるほど


解るのは、明日は白けるということだ


つまりその時が
どれだけ濃厚で
舌や耳や熱い掌を覚えさせようとしても


どの街にもあるピザ屋の配達ドライバーみたいに


特別な存在になり得ることは無く


恍惚とした二人の抽象画は
否応なしに時間を窒息させるように
無意味にも描かれた


その破壊的なミルクには柔らかく優しい
ダイヤモンドが沈んで


取り出そうとする腕は


激しく
決まり事をすべて壊してしまう


それが
フェロモン


決まり事が バラバラになる

だから
今ここには

女がいるのだ






2009/03/07 (Sat)

[214] 君が見えない
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君が見えない

湖は見えるのに
スーパーは見えるのに
卒業証書は見えるのに
フライパンは焦げ付いているのに

君が見えない
君を見たい


いなくなった
君を見たい


君の吐いた血を奇麗に片付けてしまったから


君の無謀な低空飛行を笑い飛ばしてしまったから

海は見えるのに
春一番はサーモンピンクに輝いているのに


掠れたデッサンをみたい


くすんでしまった
あの
デッサンを見たい


モリエールの瞳孔に差し込む光を見たい


ふいにシーチキンが食べたくなるような要領で


ウインドウに映る意外な自分に、
思わず立ち止まってしまうように


君が見たい


君を見れたら
いつも
私の水槽に
しまっておく


今度は君を
決して無くさないために


消えていく風
伸びていく影



2009/03/17 (Tue)

[215] しなければと思っていると
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いけないんだ
だめなんだ

そうだ
しなければ
いけない

たぶん ぜったい
しなくちゃいけないって思っているのに
けど
できなくて

できないのに
しなければいけなくて

ポチが泣いているのは

できなかったからじゃなくて

私がウスラ笑いを浮かべるのは


できたからではなくて


となりの岩渕さんが
ウコッケイを愛でるのは

タマゴが好きだからでもなくて

ほら
ウコッケイが起こしてくれる

コーラに生卵と精神安定剤を溶かして飲む午前4時に


いつものBGMを鼻歌で流して

ほら
そうして
物凄いスピードで忘れていく

しなくてはと思っていること


風の強い堤防

青空を見つめて
懸命に
間違いを探していた


できることは

結局
したいことだけだった




2009/03/17 (Tue)

[216] こわいもの、
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おばけ。
ママ。
ピーマン。

ラッキョウ。
ソーセージおじさん。


宿題。
はくさい。
塾。

義務。
我慢。

優等生。
カフェイン。
仲間はずれ。

肥満。
針。
鉢植えの裏のダンゴムシ。

パスタのマッシュルーム。


本当の浄さ、
それ以外の汚れ。


心臓。
鼓動。

汚物。
汚物。

アンダーグラウンド。
ミラクルの裏側。


私の表。
真横の笑顔。



2009/03/17 (Tue)

[217] こうして
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こうして
滅びるのか
歌は

こうして逃げるのか
過去は

こうして突き刺すのか
ナイフと男は

そして破くのか
女と薬は


追いはぎに合いました

こうして

追いはぎされました

髪も全て抜き取りました

安らかに
こうして安らかに
腰掛けるのか

老人は

こうして
笑うのか教師は


こうして狂ったのか
ニーチェは

こうして歎いたのか
ヒトラーは

こうしてできたのか
マグマは

こうして葬られたのか
明日は

こうして
試験に遅刻しました

こうして
どうして
そうして

生きました
死にました
カレーを食べました




2009/03/17 (Tue)

[218] よかった
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君が
君で
よかった


君が君だという証拠はどこにもないけど


君でよかったね


君がいる理由はどこにもない


君はただあの丘の上の、ヤマモモの木

青空のはしっこの雲

たたみかけのハンカチ

ちぎったレタス

砂に落ちた水滴

砂を運ぶ風

それが君


君がいる意味も
特に
無いけど


地球が青い意味も無いけど

歌が悲しい理由もないけど

鳥が美しい時はあって

君が
君で
君のままで


よかった






2009/03/17 (Tue)

[219] 一期一会
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いや〜
偶然サイコキネシス 使える人いて助かったぁ!


ありがとう
コンデンスミルク忘れちゃって困ってたんだ


明日暇だな
全身整形でもするか


急いでるんで
もっと馬 飛ばしてもらえますか?


脂肪って茹でるとジャスミンの香するんですってね


今、パンツ二枚間違えて履いてるか 調べてもらえますか?


このガムの包み紙、あなたにあげたいんですけど本当にごめんなさい、無理です、不可能です
私も今ガムを噛んでるんですから



適当って何パーセントですか?





2009/03/18 (Wed)
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