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剛田奇作の部屋  〜 投稿順表示 〜


[220] 捜索
詩人:剛田奇作 [投票][編集]

あいつを捜しています

あいつを知りませんか

ゆめゆめ知りませんか

いよいよ知りませんか

かねがね知りませんか

最後に見たのはいつですか

あいつの声を聴きましたか

あいつは寝てばかりいますか

あいつはやたらティッシュを持ち歩きますか

あいつはたしかにいたんです

あいつは確かにここに座り

くるぶしを掻いたり

目をこすったり

台所を往復したりして

素敵なやつでした

あいつがホラを吹きながらササミ肉を食べているとき

マグリットの絵みたいな時間が流れているとき

私はあいつを殺しました
意外と簡単に事が済み

私は普通でした

世界は普通でした

ただひとつ
庭の済みに落ちたプルトップが泣いているのを除いて





2009/03/18 (Wed)

[221] 退廃缶詰
詩人:剛田奇作 [投票][編集]

粉雪を詰めた冷たい
かんづめを かっこよく空ける方法は?

命をルンルンってなんとなく肝臓 とかでハッピー間に合う?

液体であればストロベリー
依存症で二人称
パクりで症

こんなくだらないもの書いちゃってごめんなさい
内蔵をサンフランシスコ中華街のマフィアに売りました

それで船を買いました
私は宇宙へ行きます

太陽のゴママヨネーズあえ

2009/03/21 (Sat)

[222] ください
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げんきをください
げんきとか
ちからとか
ひかりとかを
ください
みつけたひと
ください
よぶんにもってるひと
ください
あおぞらに
ひこうきが
とんでいた
とても
ちいさかった


2009/04/04 (Sat)

[223] とおりすぎた
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とおりすぎた
かぜが

とおりすぎた
なみおとが

きみはいなかった
ゆめが

くろかった
ためいきは

きみは
しろかった

かなしみは
おれんじだった

おいかけた
ぼくだと
しんじたものを

うしなった
しこうを

わらった
くものすを
ひっかけて





2009/04/04 (Sat)

[224] そと
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そとへ
でると

ありがいる

わたしはきっと
ふんでしまう

わたしにふまれた
ありがいる

ありをふんだ
わたしがいる

いないといる
どちらがいいか

そのままで
いるべきか
すすむべきか
かなしむべきか
とびこえるべきか


わたしは
ひととしてありたいのか
わたしらしくありたいのか
ただしくありたいのか


ただ、りんとして
ありたいのか


ただ
ありたいのか


ありはありとして
ありたかったのに





2009/04/04 (Sat)

[225] すみか
詩人:剛田奇作 [投票][編集]

ぎせいになったかんじょうは
わらいのすみかに

つたわらないおもいは
かなしみのすみかに

あのひのつよいかぜは
おもいでのすみかに

みちあふれたじかんは
よろこびのすみかに

みたされないよくぼうは
いかりのすみかに

かえってゆくよ
のれんをあけて

のぞいてみよう

あのひ
なくしたはへんは
かたをくんで

まっていてくれた
こころもあたたまって
じかんのそばにいって

さくらみたいに
いさぎよく
まいちろう

もうじめんに
たどりつこう




2009/04/04 (Sat)

[226] 良き提案
詩人:剛田奇作 [投票][編集]


来世、共にしませんか

まだ運命の先約は?

現世では、君に気付くのが
少し遅すぎたみたいなんだ

そして来世は もっと近くに住みましょう

できれば一緒に暮らしましょう

バナナの葉っぱの揺れる涼しいベランダを一緒に造りましょう

緑の眩しい島に住みませんか

本当に必要なものだけを側において

できれば今より たくさん話をしましょう

たとえば 星とか
空の名前とか

そして海と歌いましょう

楽しみにしています


だから
お便所の底みたいな現世も
おもちゃの宝物みたいにキラキラしているのです

来世でもあなたを間違えたりしません

あなたの肌の香りをきちんと
覚えていますから

待ち合わせは決めないでおきましょう

楽しみがなくなってしまいますから




2009/04/08 (Wed)

[227] 
詩人:剛田奇作 [投票][編集]

イラついて
怒って
泣いて
悔しがって
発狂している自分の顔を
鏡でみたら

笑顔みたいでした



2009/04/08 (Wed)

[228] キッチュ
詩人:剛田奇作 [投票][編集]

屋上のベランダの窓に
オリーブ色のペンキでいっぱい太陽を書いたの

あなたはきっと
これじゃただの水玉だねって笑うわね

錆びたベッドで
白い青年の肩にキスをしたとき

あたたかな夢は覚めることを知った

イルカは
水面下からそびえるビルを見上げて

差し込む太陽光線と握手するの

今日も空色の伯爵婦人が
片付かない私の部屋に泊まりこんでる

彼女は私のレコードを好き放題に聴いては

故郷のお母様に押し花入りの手紙を書く

明日の零時にね

きっと彼女は自殺をするわ

あなたは止めにくるけれど

きっと

間に合わないの

キッチュな置物でいっぱいの私の部屋




2009/04/09 (Thu)

[229] 青ぞら
詩人:剛田奇作 [投票][編集]

白い壁にあてた手のひらはすごく頼りない

昼間なのに壁だけが明るい小さな部屋

薬指より人指し指のが長くて三角のツメの尖った
愛しい私の手

今度
生まれかわる時は青ぞらになる


私は青さそのもの


青いかたちをしていたいのは私の手のひらも同じらしい


今度
私が私を思い出すとき

白い部屋のずっと向こうの

森の
遥か上空で

きっと青く
薄く
広がっている

プチプチした濃い緑たちを

見下ろして


アヒルのくちばしに反射したり

私は遊ぶ

湖面でうたた寝もできる

今は
手のひらと一緒に

青の陰を探すだけ

そうして
地べたに寝るだけ

暖かい地べたにも

高い青ぞら

反射して




2009/05/17 (Sun)
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