詩人:大示 | [投票][編集] |
空っぽの僕
いつもは何も考えず
必要な時に薄い感情を出してみる
そんなことをしていると
僕は随分と性能の悪いロボットなのでは・・・なんて
埒のあかないことを考える
あぁ、でも僕は、まだ
機械などには敗けていない
どうしたわけか
涙だけは僕の許し無しに
流れるのだから
『まだ、空っぽじゃあ、無い』
誰かに、そう認められた気がして
僕は、静かな感情のまま
泣いたのだった
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夢を紡いでいるような
不定形の世界の中で
現実を告げるのは
おかしな時間に鳴り響くハト時計
小窓からこちらを
チラチラうかがう白いハトを
出てきた瞬間に捕まえる
豆鉄砲を喰らったようなその顔に
現を見た気がして少し笑えたが
私が思い切り引っ張ってしまった
白いハトは二度と小窓には入れず
この世界から逃げられないのだ
あまりにも鳴くので
気が向いたら直してやろう
そう思ったのも、ほんの気紛れだ
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緩やかに舞う風
あの日と同じ匂いがする
穏やかな朝
微かな記憶の中
遠ざかる大切な人を
見送っていたはず
微笑み、手を振ってくれた
あの人は未だ帰ってこない
今、僕は旅立つよ
あなたを捜しに
世界の果てで、きっと会える
そんな予感が身体中を駆け巡る
予感が期待になったとき
僕は、あなたより
強くなっている
そう信じて、僕は旅を続けるよ
詩人:大示 | [投票][編集] |
大人の邪魔にならないように
独りぼっちの遊戯
何も欲しがらない子供は
何にも興味がない
欲しい物がないから一生懸命にはなれない
ただ空想の世界に浸りきって
もう二度と帰ってこない
呼び掛けても聞こえない
何も目にうつってない
果たして、これが『生きている』と言えるのだろうか
こんな僕が疑問を持ち出したのは
つい最近
これから、あと何年が無駄に
過ぎるのだろう
再生よりも限り無く崩壊に近い心
騙し騙し、呼吸をしていこうか
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夢を叶えようにも夢がないなんて
どうしようもなく凹む言葉を
まるで呪い(マジナイ)をかけるように繰り返す
探しもせずに無いなんて言うな
僕から夢を取り上げたモンスターが口汚く罵る
探す気力さえ奪ったくせに
熱い人間気取り
熱い人が流行りだからですか?
『二番煎じ』ってご存知ですか?
そして
そんなものに心動かされる人など
いないってご存知ですか?
ここまでダメにしたからには
口先だけで動かないということを
知っておいてください
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黒と白を、さ迷っている
まるでオセロの上
悪魔と天使が向かい合って
カチカチやってる
一番端は、どっちが取るのだろう
ズル賢い悪魔と、バカ正直な天使
結果は、引き分け
ホッとしたのは天使と私
人間はどう頑張っても真っ黒にも
真っ白にもなれなさそうだ
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押し黙った重厚な夜の終わりを
願い続けて、訪れるのは
いつも通りの朝
『何も変わらない』
と白けた感情に身を委ね
何かが変わってしまえば
『何故』
と惨めたらしく嘆くのか?
歪んだ僕は
冷めた目をして頬杖をつく
いつも通りの朝と僕
何も変わらない
窓から射し込む斜めの光
僕の影が永遠に動かなくても
いつも通り
この家が骨組みだけになり
誰もいなくなっても
世界は、いつも通り
誰かが美しい声で話しかけても
誰もいないなら、悲しいけれど
いつも通り
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少し立ち止まって
遥か遠く耳を澄まし、もう一人の
僕の声を聞く
何もない僕と違って、どうか君は
幸せであるように
親愛と憎しみが
寄り合わされたような灰色の心
それを抱えながら願うのは
愚かだと、溜め息が出るけれど
何もない僕ができるのは
たったこれだけ
一握りの美しい感情を育て上げて
いつか君の前に立って
素直に笑うことができますように
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心が沈黙し僕は思い出したように周りの惨劇を見た
粉々の鏡は醜い僕をうつして
眩しく輝き、万華鏡の様だった
角度を変えても綺麗には見えず
歪んだ笑顔を張り付かせた怪物は
空白の時間に蝕まれ続けた
何も動くものがない空間で
現実を告げるのは、赤い水音だけ
詩人:大示 | [投票][編集] |
いつか壊れる心ならば
操り人形、お前にあげようか
いつものように
繰り返される日常を踊って
その糸の先の支配者を欺き
逃げてごらん
思っていたよりも容易く切れて
体も自在に動くはず
切れた糸は支配者にでも
付けてごらん
きっと面白いものが見れるから