詩人:黒夢 | [投票][編集] |
伝わらない言葉。
声にならない願い。
届かない想い。
失ったそれらの代わりに僕は、絶望を手にした。
伝えられた言葉。
代弁された願い。
届けられた想い。
君の手にのっている、僕が失った物達の断片。
どうか捨てないでいて欲しい。
君の手で、一つずつ繋いで。
君の好きにしたらいい。
好きなように繋ぎ合わせて、組み立てて。
君の形に変えてくれれば良い。
だって僕はもう
君が手にしている物達が、どんな形だったのか
忘れてしまったから。
僕は僕で、欠けた箇所に大鋸屑でも詰めておこうか。
君の絶望を、僕が失ったもので補って。
そうして僕は、新たな絶望を手にした。
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もう一度、この場所から歩き出そう。
君が望んだように、僕の道を。
いつまでも忘れないから。
共に過ごした日々も、君の声も、君の言葉も。
僕等の思い出は
写真よりも色鮮やかに僕の中に残っている。
泣いてばかりの日々も
無気力な日常も
君が望んでいたものと違うと、解ったから。
君の時は止まってしまったけれど
僕の中で、まだ優しく笑っているよ。
君の最後の言葉が
止まりかけた僕の時を再び動かしてくれた。
結局
最後の最後まで君に助けられてしまったね。
僕は生き続けよう。
ずっと、ずっと、歩き続けよう。
君がそれを望むのならば。
ああ、ほら。
そうやって君は、目を細めて笑うんだろう?
いつまでも
君の言葉を受け入れられない僕に
君はいつものように笑ってくれた。
それだけで。
それだけで。
もう一度、君と歩いた道から歩き出そうか。
隣に君がいなくても、もう大丈夫だよ。
君の言葉が、その笑顔と一緒に
まだ僕の中で生きている。
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幼い子供が口ずさむ、あの日の思い出の歌。
一つ一つ、言葉を確かめるかのように唄っている。
ねえ、その言葉の意味を知っている?
本来とは異なった、スローテンポなメロディー。
一つ一つ、旋律を胸に刻むかのように唄っている。
ねえ、本当はもっとアップテンポなんだよ。
楽しそうに笑うあの子がやけに寂しく見えたのは
きっと唄っているあの歌の所為だろう。
僕の心を表すような
少し哀しく、切ないメロディー。
その歌は、僕が好きだった恋の歌。
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逃げる所などない。
死にたいと思うことさえ許されず。
押さえつけられる、この世界に。
殺して欲しいと誰にも言えず。
些細な願いは誰にも告げることなく消えてゆく。
僕の声は届かない。
助けを求めた声も、周りの喧騒に掻き消された。
何もする気が無いのなら
何があったかなど聞かないでくれ。
話して何になるという。
話すだけで楽になれるなら、今頃僕は大声で叫んでいる。
解ってくれない者に話しても
僕という人間が惨めになるだけだ。
気休めにもなりやしない。
いつも通りの日常。
ストレスばかりどんどん溜まっていく。
悪循環の繰り返し。
憎しみだけが、心の中に蓄積される。
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変わらないと信じ続けたものが、いつしか変わっていて。
「変わらない」と言った約束さえ、守れるはずなかった。
小さすぎて、きっと何も分かってなかった。
何時までも一緒にいるということが
叶うことを、ただ、信じていた。
子供だったから、何も疑うことなく信じていた。
故に、離れていくのが怖かった。
知っていたはずで、頭では理解していて。
それでも
認めたくなかった。
離れていく互いの距離を、縮めようと空回りしながら。
知らない間に作られていく別々の日常。
そこに僕の立ち入るような隙間はなくて
感じた孤独。覚えた哀しさ。
本当は、いつしか離れていくものと知っていながら。
変わらないことを描き続けるよりも
今は願っている方が強い。
変わることに抵抗を感じて。
流されることに焦って。
変わらないでいようなど
僕等にとっては儚い夢でしかない。
そして
変わったのは周りではなく
僕だということに気付いた。
君は何一つ、変わってやしないのに。
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まるで、祭りが終わった後に感じる切なさの様な。
例えば、友達と遊び終わった後別れる時の苦しさの様な。
それは、試合が終わった後の満足感の様な。
1人になって、妙に感じる切なさは何だろう。
望んだ結果、こうなるように自分が望んだ。
そうか。
私はこんなにも貴方を想っていた。
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星に願う。
強くある為に。
月を仰ぐ。
君の心を知りたいが故に。
届かない想いが、届かないこの手が
何度消えただろう、何度空をきっただろう。
振り向かない背中を、何度見送っただろう。
何度君を、引きとめようとしただろう。
強さが欲しい。
会えない夜を孤独と感じないほどの。
君の心を知りたい。
声の無い時を不安に感じない為に。
星に願い、そして月を仰ぐ。