詩人:黒夢 | [投票][編集] |
涙を流すのは
恥ずべきことではないと
貴方はそう言って美しく笑った。
「君の涙は綺麗だ」と
貴方は私の涙を拭った。
ならば何故
何故、今
貴方は眼を背けている。
貴方が綺麗だと言ったこの涙から。
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ずっと見ていて。
もうすぐ目を閉じるから。
ずっと見ていて。
もうすぐ手を離すから。
子供の様な
酷く幼い心は枷になり
刃のような
狂ったこの手は棘にして
罪人の様な
馬鹿みたいに情けない瞳を籠に変えて。
僕の物にならないのなら
全部、僕の中で壊れてしまえ。
僕の中で、乾いて粉々になってしまえ。
ずっと見ていて。
もうすぐ手を離すから。
ずっと見ていて。
もうすぐ目を閉じるから。
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一生、望むものは手に入らない。
僕が望んだものは
違う世界にあることをようやく知った。
きっと手に入らないことを知っていて
それでも
諦めきれないまま、望み続けた。
ほんのわずかな希望にかけて
それのみに頼って、自分からは動かずに。
望むだけで手に入るほど、世界は簡単ではないことも
全部解っていたけれど
自分から絶望に近づいて行けるほど
僕は強くなかった。
傷つく事を恐れて、失う事を恐れて
前に進めないまま、時間が過ぎて。
もう手に入ることのない僕の望みは
きっと、他の誰かが手に入れている。
自業自得。
納得しないこの心を
その一言で片付けて。
僕の望み。
それは物ではなく、それ以上の価値があるもの。
否、値段などつけられるはずがなく。
ずっとそれだけがほしかった。
それだけあればいいと思った。
君の心が、僕の望みだった。
君の心が、何よりもほしかった。
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今、僕が必死になってやっていることも
僕が残した傷跡も
全ては、あの闇に飲み込まれる為の準備。
現実に逆らい、もがくのも
君に伝えようとしている想いも
愚かなことしかできないのも
全てが、あの闇に飲み込まれる為の準備。
昨日を、過去を
遠い昨日や、ずっと昔を振り返ることも
全ては、あの闇に飲み込まれる為の準備。
明日を、未来を
未だ来ない明日や、遥か遠い未来を夢見ることさえも
全ては、あの闇に飲み込まれる為の準備。
生きるという鎖に縛られながら
僕を飲み込む為に大きくなっていく闇の中に
ただ曖昧に見える光の方へと、僕は歩き続ける。
全ては
いつか僕が
あの闇に
飲み込まれ、消えてゆく為の準備。
僕が『死』という闇の中に
飲み込まれていく為の鎮魂歌。
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君がオレンジ色の折り紙で。
僕は青色の折り紙で。
笑いながら紙飛行機を作る。
そうして2人で空に飛ばそう。
きっと何処までも飛んでいく。
僕が君を何処までも飛ばせて見せよう。
僕等が持つ
不安も、希望も、傷ついた痛みも、悲しみも
きっと、消えることなく僕等を苦しめる。
それらを少しでも消して楽になりたいと
僕等は紙飛行機を飛ばしている。
君が太陽の色の紙飛行機を。
僕が空の色の紙飛行機を。
何処までも飛んでいけ。
空の僕が、太陽の君を包んでいるから。
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星に願う。
強くある為に。
月を仰ぐ。
君の心を知りたいが故に。
届かない想いが、届かないこの手が
何度消えただろう、何度空をきっただろう。
振り向かない背中を、何度見送っただろう。
何度君を、引きとめようとしただろう。
強さが欲しい。
会えない夜を孤独と感じないほどの。
君の心を知りたい。
声の無い時を不安に感じない為に。
星に願い、そして月を仰ぐ。
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まるで、祭りが終わった後に感じる切なさの様な。
例えば、友達と遊び終わった後別れる時の苦しさの様な。
それは、試合が終わった後の満足感の様な。
1人になって、妙に感じる切なさは何だろう。
望んだ結果、こうなるように自分が望んだ。
そうか。
私はこんなにも貴方を想っていた。
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変わらないと信じ続けたものが、いつしか変わっていて。
「変わらない」と言った約束さえ、守れるはずなかった。
小さすぎて、きっと何も分かってなかった。
何時までも一緒にいるということが
叶うことを、ただ、信じていた。
子供だったから、何も疑うことなく信じていた。
故に、離れていくのが怖かった。
知っていたはずで、頭では理解していて。
それでも
認めたくなかった。
離れていく互いの距離を、縮めようと空回りしながら。
知らない間に作られていく別々の日常。
そこに僕の立ち入るような隙間はなくて
感じた孤独。覚えた哀しさ。
本当は、いつしか離れていくものと知っていながら。
変わらないことを描き続けるよりも
今は願っている方が強い。
変わることに抵抗を感じて。
流されることに焦って。
変わらないでいようなど
僕等にとっては儚い夢でしかない。
そして
変わったのは周りではなく
僕だということに気付いた。
君は何一つ、変わってやしないのに。