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浜崎 智幸の部屋  〜 新着順表示 〜


[135] 【明日に】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


誰よりもあなたを愛してきたから
今日の日まで立ち止まらず歩いてきたんだ

あなたがいる日々を幸せと感じる
理由もなく根拠もなく毎日過ごすよ

ありがとう 微笑みを いつも
これからも ずっと そばにいて

昨日より 今日よりも 明日に
つながるよ きっと ふたりの
明日に

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2025/08/10 (Sun)

[134] 【夜に光る苔】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


夜に川を渡る水音
風を切った矢になり
胸に刺さる
言葉もなしに

海に沈んだ太陽の光を吸って
夜ごとに光る呪われた苔を窺う

光る苔を盗む者は許さない
たとえ知らず苔に触れた人でさえ

愛を水に変える虚白
声をからし叫ぶ恋人
すでに愛は
指を離れた

まどろみながら傷ついた体をさする
鬼火のような燐光が瞼に焦がれる

暗い窓に苔盗人が映った
青いガラス破って弾丸を放った

誘蛾灯になった苔たち
銃の叫び森を震わす
その人の死体は

・・・・・・・・・・・・・・・・・・足元 

2025/08/03 (Sun)

[133] 【stranger】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


君の住む町を 自転車で走っても
逆光にくらみ 心はあとずさる

君が忘れたら 季節は置き去りで
切り取られたまま 埋もれてしまうだろう

僕はここで生まれたわけじゃなくて
はがゆくて もどかしい愛しかなくて

夕暮れには夕暮れ色
雨降るなら雨の色に
染まることしかできず

僕はここに住んでるわけじゃなくて
柔らかい 臆病な愛さえなくて

夜明け頃はコバルト色
海騒げば紫蘭色(しらんいろ)に
染まることしかできず

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2025/07/28 (Mon)

[132] 【曙町】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


この町に住んでいいのは慈悲のある人だけよ

私はまだ私を許せない

たまにだけど 自分のこと
意気地なしだと思う

ベランダで花を育てています

曙町へようこそ 日当たりのいい町です

曙町へようこそ 坂道に猫がいます

 世界はここからです




この町に住んでいいのは正直な人だけよ

私はまだ私をさらせない

夜明け前に目が覚めても
伝える手段もない

リビングでラジオを聴いています

曙町へようこそ 洗いざらしの町です

曙町へようこそ 女学生も歩きます

 世界は今日からです

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2025/07/27 (Sun)

[131] 【和楽団地】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


夢の入り口だね
あなたの住む町は

理想に挫けるとき
訪ねてみたくなる

そして笑い声が
光と戯れる

どこよりも気高くて
それなのに優しい

人が学べるものは
あまりに少ないけど

僕が愛せるものは
かぞえきれないぐらい

この町のあちこちにあるよ

和楽団地

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2025/07/17 (Thu)

[130] 【滑石】かっせき
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


生まれてくるとき
母の声を聞く

洗礼(先例)をうけて
ひとの世に入る

幸あれと
祈りの声

平穏(やすらぎ)は
二度と来ない




滑らかな肌をもって
生まれれば

不幸せなどは
知らずにいたものを

休めよと
産土(つち)が告げる

「滑石の色をあげる」

欲しいのは
滑石の‖‖‖

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2025/06/29 (Sun)

[129] 【夢の狩人】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


川のなかを見てごらん
野をゆく川を

透明な水のなかを
泳いでいるよ

覚めたくない夢だよ
つかまえようよ

たぶんみんなこうして
歩いてるよ


人の汗を見てごらん
貴い汗を

愛する家族のために
働いてるよ

気高すぎる夢だよ
なんにも言わず

疲れている瞳で
笑ってるよ

・ 
流れる血を見てごらん
慈悲深い血を

命の重さを伝え
チューブを走る

かけがえない夢だよ
生きていこうよ

分けられない痛みも
分けたいんだよ

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2025/06/15 (Sun)

[128] 【鋼玉】コランダム
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


少女は
母の持ち物の指輪を
そっとはめてみる

誰もが
そんな悪戯を
通って生きてきたんだね

臆病とか怯懦とか

どうでもよかった航跡




扉を開けた 三面鏡
禁忌と慚愧 交差する

残酷よりも甘美な血
蒐めて輝く宝石

恭順とか彌縫とか

どうでもよくなる光量

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2025/06/10 (Tue)

[127] 【星の降る街】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


混みあう国道
山に向かってステアリング

そこから始まる
蒼い夜のハイウエイ

深い悲しみを
クレスタに乗せたら

星の降る街に
さよならと言える

鈴田峠までに
君のソアラを抜こう
鈴田峠までに
星を撃ち落とそう

・ 
空港の島は
人工にきらめく

君はいつだって
僕をだましてた

ハンドルはいつも
傷つかないほうへ

溜め息にまかせ
浅く切ればいい

多良見インターまでに
君の嘘を暴こう
多良見インターまでに
夢を見限ろう

深い悲しみを
助手席に乗せたら

君がいた街に
さよならと言える

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2025/05/20 (Tue)

[126] 【廃墟の春】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


すべて燃えた
すべて消えた

深い悲しみから
生まれた「いのち」

ひとしずくの
露のなかに

ちいさな胞子が
つくられました

春がきました


・ 

誰もいない
誰も来ない

黄泉の国のような
静寂<しじま>の朝に

鳥が鳴いた
一羽だけで

たった一羽だけで
鳴いていただけ

春が来ました

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2025/05/15 (Thu)
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