詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
いくつも
橋を過ぎ
小川は
町に出る
夢みてた人は──
今も夢のなか
かすむ笑顔のように
今も夢のなか
・
・
別れは
華やいで
小さな
家のそば
聞こえればいいね
さよならの声が
夢の流れはやがて
深い海になる
・
・
たくさん
人が死に
たくさん
川になる──
出会えたよろこび
なくしたしあわせ
すべてこの川のなか
すべて流れてる
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*この川の名は若菜川。河口は長崎市の茂木(もぎ)地区です。
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・
夜が明ける 夜が明ける
さあ目覚めなさい
さあ目覚めなさい
話しなさい 話しなさい
今見てた夢をささやくように
涙の形の小さな雲が
夜明けの空に消え入るまえに
・
・
悔やみなさい 悔やみなさい
死んだ人たちを
思い煩って
信じなさい 信じなさい
疑うことより やさしいはずよ
泣いた日もあるし
泣く日もくるし
それでもあなたは
止まれないから
死に至る病
何度もかかる
それでもあなたは
止まれないから
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────
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・
恋の一つや二つなど
とるにたりないことだけど
世界はまだ暗く──君の愛撫を待っていた
夜明けの不思議な光が君の輪郭をなぞれば
歴史は武器となり──君の正義を押し付けた
肩に
髪に
腕に
胸に
ふりつもれよ微粉末
僕の敵は僕が倒す──安心して
君が守る君の世界
理想は現実の鏡
・
・
主題もなしに小説を
書いた人たちが増えすぎ
世界は甘くなり──君の殴打を待っている
8分19秒 光が旅するあいだに
遺伝の拡散(核酸)は──君の嘔吐をうながした
膝に
腰に
尻に
臍に
ふりかかれよ深層水
君の敵は神が殺す──むごたらしく
僕は阻む僕の世界
理想は現実の鏡
・
指に
爪に
眉に
舌に
ふりしきれよ真菌類
神の敵の名前は神──間違いなく
僕は妬む君の世界
理想は現実の鏡
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※太陽光が地球に届くまでが8分19秒です。
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・
今も忘れない
爽やかな憧れ
僕の好きだった
伸びやかな光
いまはお互いに
遠い町にいる
いつか会えるかな
晴れた朝の庭で
僕の記憶は
色褪せないよ
信じているよ
君は変わらないと
・
・
今も忘れない
真っ直ぐなまなざし
僕の好きだった
飾らない言葉
それなのにすれ違う
あの頃の不思議さ
しかたなかったと
もう悔やまないから
僕の記憶は
原色のまま
信じているよ
君は笑っていると
────
────
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・
甘やかな眠り つかの間の憩い
幼い頃まで 時間を戻そう
なお善き言葉を
疑いもせず
信じて笑った
私はどこに?
いまの私は罪人(つみびと)?
★★★★
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・
風になるよりあなたは速く
みどりの風のなかに駆け出す
ラララ不思議な風景が僕の前に広がる
大きな樹木の下に立って
空に手紙を書いてるあなた
ラララ恋かもしれないね
恋ならいいのにね
美しい辰砂たち
だから
愛してる
だから
愛してる
あなただけが意味を持つのだ
だから
夢みてる
だから
夢みてる
あなただけに日々は微笑む
────
────
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・
石に刻んだみ仏は
いつも静かに笑ってる
時は無慈悲な鑢(やすり)です
知らず知らずに削ります
誰のせいでもないし
誰を恨むでもないけれど
人よ覚えていてほしい
こんな小さな祈りだけれど
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・
今ふるさとでは
夏の日射し浴びて
人々が歩き
挨拶を交わしてる
昔の仲間たちは
それぞれの町に帰り
なつかしい歌と
ざわめきを愛してる
晴れた午後には退屈なほうがいい
東向きの部屋で
ごろりと横になる
さあ思いきって
雄渾にペンをふるえ
空に手紙書こう
今ならば届くから
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・
秋の夜更けは数多(あまた)の流星
吐く息白く闇に躍った
いつもあなたは夕刊越しに
見えないはずの夜景を見ていた
遠い町の空港では定刻に発つ飛行機が
赤 緑 きらめかせて
自由な町を目指してる
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※旅客機の主翼の両端には赤と緑のライトが光ります。(翼端灯)
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・
思い出をたぐり 息をひそめてる
ガラス細工の手本のような
一輪の花に
笑いかけながら
声を分けながら
絵の具を混ぜて筆を走らす
シフォン色の午後
水が飲みたいときは
この手を休めていい?
こどもみたいに華やいだ
じだらくな夢を見たい
意味のないこと積み上げて
それでも輝いていたい
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*縦読みで、おがわえみこ‖‖
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