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さみだれの部屋  〜 投稿順表示 〜


[203] 言葉
詩人:さみだれ [投票][編集]

言葉はどこかへ流れ着く
誰かの思いに吸い込まれる
本当の意味を伝えられないまま
あぶくのように弾けて
言葉はこんなにも形を変える
やわらかいときもかたいときも
本当に言いたかったのは
そうやってまた火が水になるように
嘘を繰り返している

言葉は誰のものにもなる
僕のそばを離れたら最後
会えたときにはぼろぼろになって
本当の意味を忘れている

涙はどこへ行くんだろう
胸に落ちるのかな
その胸に誰かの言葉が
どんな姿で寄り添ってくれるのだろう
言葉は行儀よくしてるかな
どうかお元気で
どうか幸せでいてください
今日も葉っぱの舟で旅に出ていく
長い長い旅に出ていく

2011/08/03 (Wed)

[204] 皆既日食
詩人:さみだれ [投票][編集]

彼女は色とりどりの花を並べて
ひとつの花瓶に挿した
窓から入る夜風に
花びらがひとつ離れて
枕元に落ちた
それからは夢の中
月が見せてるんだって気付いていた
だから朝が来れば
終わってしまうんだって思った

彼女は空が好きだった
どこにいても空を見上げて
そのたびに思いを馳せていた
頬を涙が伝うこともあったし
にこにこすることもあった
今この空は
彼女にとってどんな感情になるのだろう

素晴らしいって言いたかった
どんなことがあっても
世界は変わらない
そう信じていたから
あの日海に行った彼女は
泣いていたのだろうか
あの日海にいけなかった僕は
何をしてやれただろうか

夜は長いから嫌だと彼女は言う
昼は一緒にいられないから嫌だと僕は言う
彼女はいつも太陽のように笑う
遠くでは月のように暗い顔をした僕がいる
宇宙からすれば
それは長い長い距離なのだろう
ここからすれば
なんてことない時間のズレだよ
なんてことない距離なんだよ

2011/08/04 (Thu)

[205] 彼女を讃える讃歌
詩人:さみだれ [投票][編集]

ただ静かに寄り添えば
あなたも静かに寄り添ってくださる
楽しくなって笑えば
あなたも楽しそうに笑ってくださる
僕がすっかり落ち込んだ日には
あなたは背中を合わせてくださる
僕が怒って怒鳴りつけると
あなたは雷鳴のごとく僕を叱る
僕が生きたいと言えば
あなたは一緒に生きてくださるだろうか
ああ!それだけのことが僕の心にざわめく

あなたが眠れないとおっしゃるなら
僕はあなたが眠るまで起きている
あなたが幸せでないとおっしゃるなら
僕はあなたのために幸せをかき集めるだろう
あなたが生きていることが嬉しい
そんな僕に慕いよってくださるあなたは笑い

なら私はずっと生きるわ
ずっと生きて愛するの

こんな彼女がほしいものだ





ヴェルレーヌ「心しずかに」に模して

2011/08/04 (Thu)

[206] ING
詩人:さみだれ [投票][編集]

【ねぇ、これまでのことってこれからどうなるのかな。昨日の晩御飯が一年後の朝御飯になるのかな。ねぇ、君はどう思う。昨日の晩御飯、一年後にはどうなっちゃう?】

夕べの空は綺麗だったなぁ
明日は晴れるよ
だってこの気持ちに嘘つくような世界なら
誰だって本当のことは言えないから
よくわかんないけど

=君はある意味で絶望的だね
前置きはいいから早く教えてよ
明日が来ちゃうよ?

※これはただのモノローグではない

あ、そういえばツバメがいたよ
なかなかかっこよかった
また冬になったら帰るのかな
出掛けるのかな
帰るのかな

【なんとなくわかったかも。昨日の晩御飯ね、唐揚げだったの。たぶん一年後には飛んでるね。飛んで帰ってくるんだね】

これまでのことってこれからの先だよ
これからどうなるのかはこれまでが教えてくれる
昨日だって明日になりうるんだよ
明日だって昨日なんだよ

=つまり今日だね

2011/08/05 (Fri)

[207] 魔女のほうき
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見えない月の裏
泣いてる魔女のほうき
太陽に焼けないように
少しずつ解けていった
魔法の効き目
こんなときに笑えないよ
青い空に帰りたいんだ
また自由に飛びたいんだ
風のように軽い君を乗せて

星屑にぶつかって
柄が折れてしまって
もう全部嫌になって
知らない人が
近寄ってくるから
砂をかけて追い払った
できるなら友達になりたいんだ
さみしさを忘れてしまいたいんだ
でも今はそっとして

夢なら覚めてと何度も願う
そのたびに魔法が解けていく
太陽が眩しくて
青い空に帰りたいんだ
また自由に飛びたいんだ
雲のように軽い君を乗せて
見えない月の裏
どれだけ手入れをしたって
少しずつ解けていく
魔法の効き目

2011/08/05 (Fri)

[208] プラットホーム
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旅立ちの日は
いつだってわがままだ
誰かを困らせるばかり

いいえ違うわ
あなたはいつだって
祝福を受けているの

例えば月が
その日に限って
丸く明るいんだもの

帰れないかもしれない
そんな背中を
押してくれる風もそうよ

悲しいときは
いつだってわがままに
手紙を送ってください

嬉しいことも
たまには書いてね
そんなあなたを見て喜ぶ人が
たくさんいるから


旅立ちの日は
いつだって不安だ
会えなくなることを思えば

いいえ違うわ
あなたはいつだって
この町に生きてるの

だから私は
いつだって会えるわ
あなたがどこにいても

冷たくなったね
本当はさみしいの
あなたが旅立ってしまうのは

約束するよ
また帰ってくる
君に似合う花を持って
約束だよ

2011/08/06 (Sat)

[209] ウルトラマン
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もしも悪いことばかり続いたら
君はやってくるんだろうか
空を自由に飛んで
僕のもとに来るんだろうか

君の星はどれなのか
わからないけどあるんだろう
僕らの知る光と変わらないのかな
もっと優しいのかな

君のように強くなりたいんだよ
何かを愛して守りたいんだよ
夢の中だけでもいいから
僕を大きくしてほしい

君と空を飛べる日が来たなら
僕は君の星に行きたいな
君と空を飛べる日があるなら
悪いことばかり起こるんだろう
君がいないのはさみしいけど
きっといいことなんだろう
悪いことばかりじゃないから
僕らは僕らの力で生きていける

2011/08/07 (Sun)

[210] 小夜曲
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昨日の月は照れ屋だった
雲のシーツを被ってさ
なのにそこにいるってわかるんだ
光すら隠してるのに

そばにきた星のひとつが
背を押してくれた
震える手を握って
舞台にあげてくれた

その歌声は聞こえないけど
歌ってることはわかるんだ
黄道で見守る星座は
楽器を手に奏でだした

さそりは悲しみのヴァイオリンを
おうしは喜びのチェロを
ししは楽しいフルートを
おとめは寄り添うようなピアノを

月は地上を仰いで
高らかに歌った
僕らが朝まで眠れるように
幸せな夢を見られるように
その優しさに抱かれたまま
今夜はおやすみ
また明日

2011/08/07 (Sun)

[211] 操り人形
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詩が支配する
生も死も持っていかれた
気持ちの悪い目覚めのあとに
無理やり夢を見させて

幻覚の中に優しさを見出だして
楽しんでる
誘惑の枷を切っては
喜んでる
地上は嫌だと言うけど
空はきっと怖いよ
海はもっと怖いよ

壁のしみをひとつひとつ詩にして
つまらないと駄々をこねる君に
嘘丸出しのレッテルを貼って
幸せだと惚ける君に
本当はなんにも詩にしちゃいない

人を励ますことが詩なら
たくさん泣かせてきただろう
人を思いやることが詩なら
誰ひとりこの心にはいないだろう
世界を表現することが詩なら
半径五メートルしか表せず
生命を尊重することが詩なら
共存すらできていない

心の不具合をいくら詩にしても
理解などありえない
理解できないことは怖い
だから死んだりする
拒絶する
理解してしまったことが
何の利にもならなかったなら
忘れようとする
詩で本心を隠す
理解されないように
理解しないように

2011/08/07 (Sun)

[212] 夜に
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行くこともできないけど
夜に置いていこう
悲しみも置いていこう
帰ることも忘れたけど
夜に置いていこう
何でも置いていこう
篭の中なら
なにもしないでいい
頭の中なら
時間だってない
行くことができないから
夜に置いていこう
慰めもしないで
糧を食べて
置いていこう
夜にそっと置いていこう

2011/08/07 (Sun)
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