詩人:さみだれ | [投票][編集] |
さよなら
手を振った
ランドセルを背負った君
また明日
駆け出した
ランドセルを背負った僕
重たくて嫌になったのはこの瞬間
帰りたくなくて嫌になったのは振り返ってしまったから
大丈夫
また学校に行けば
遊べるんだ
おはよう
声をかければ
遊べるんだ
上履きを履く時間だってもったいないくらい
昨日よりもっとたくさん遊んでいたい
久しぶり
手を振った
髪の伸びた君
元気か
歩み寄った
背の伸びた俺
どれだけの時間を無駄にしていても
君といる時間だけは大切にしてきたから
重たくて嫌になったランドセルは空になって
上履きを履かず飛び込んだ教室も無くなって
それでもあの頃と同じ気持ちのままで
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私はあなたが好きです
毎日思ってます
連絡がないとさみしいです
私は好きな人から何かを与えられないと生きていけそうにありません
あなたに会えないと私は泣きます
それだけであらゆるものが醜く映ります
あなたの存在は私にとって悩むべきものです
だから私はさみしいのです
そんな思いをしてなお私はあなたを好きでいます
あなたは私に優しくしてくれるし
つらいときにはそばにいてくれる
私はあなたを愛しています
私は
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彼は夢の中
無邪気に遊んでる
好きになったり
離れたりして
彼女は部屋の中
無垢な笑顔が
影を落としたり
甘えたり
記憶の中じゃいつも
二人はレンズの向こう
像が離れて
戻らないよう
彼は夢の中
幸せをかみしめる
好きになったこと
離れないこと
彼女は光の中
闇に抱かれてる
深い眠りのあと
思い出せない
記憶の中じゃいつも
二人は絵画の向こう
息を殺して
動かないよう
彼が彼女に歩み寄る
彼女が彼の手を握る
そんな希望が
無くならないように
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犬ばかり
塀の上
マンホール
動物園
尻尾を振ってる
何が楽しいのか
パタパタ、パタパタ
おまけに足に飛びついて
吠えている
黙って動かないでいたら
犬はどうするんだろう
ま、なんだっていい
犬しかいないんだ
嫌でもわかるさ
深夜の遠吠えが連鎖して
人間は夜行性へと進化した
3時のおやつは骨にかぎるぜ
人間は骨を拾い続けた
名前をつけても被るので
名前はつけないでいる
首輪をつけると怒るので
放し飼いにしている
いよいよ犬が出馬する時代になった
とこで出馬って言葉の由来はなんだろう
なんだっていい
犬が教えてくれる
そのうちわかるさ
ワン
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彼方の君よ
無線が途絶えて
どれだけの時間が経ったのか
君の希望がまだ明々と据わっているのを
信じるほかない
この無線は私の希望だ
私はまだ君を諦めたわけではない
だからどうか君よ
諦めないでいてくれ
彼方の君よ
その瞳が青く輝いていることを
私は信じている
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あなたの尊さは
命をも越えたのでしょうか
そばに咲く草花を踏みしめては
向かうべき場所はどこでしょうか
揺らいでいるのは
ただ一人ではないでしょうか
霞んでいくのは
かつて尊いとされた何かでしょうか
見失った
今はもう陽炎となった頃でしょう
窓辺に置いた花は
いつか逃げてしまうのでしょうか
道標にした石は
もう自分の知るものではないのでしょうか
ならば
ならばあなたの手に届きたい
それは単なる甘えだ
感じることを忘れた天使は言う
新しい足は
道なき道を歩もうとする
あなたの夢は
かつて見た幻であった
生きることを恐れた
生きた人間の創造でしかなかった
見つかったものは
すでに心の中に息吹いていることでしょう
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目の前のごちそうに
よだれを垂らして
食い付きの悪い肉だって
噛みきってしまいそう
いつもベッドはもぬけの殻
冷えきってしまって
当たり障りない話も
冷蔵庫に隠した
それを切って炒めて
味を調えて
今すぐにとはいかないけど
お皿はもう並べてる
部屋の電気を落として
夕べのことも暗くなったら
そのうち巡ってくるさ
誰かが隠し味を持ってくるんだ
レシピには載ってない
でたらめな心
単純じゃないから
深く濃厚な味わい
デザートはまだいらない
まだまだ話していたい
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思い通りにならない
あなたは勝手な人
そんなことで泣いたって仕方ない
あなた以外のすべてがあなたであるはずがない
だからあなたに辛くあたるものや
あなたを憎むものだっている
それらを無視できないのは
おそらくあなたが優しいから
それらに悩んでいられるのは
おそらくあなたの本心だから
泣くための涙じゃない
生きるための涙じゃない
死んでいくための涙じゃない
あなただけの涙じゃない
相対するものが必ずある
あなたはそれに気づかないだけ
あなたを幸せにするのは涙じゃない
喚く時間が多ければ多いほど
楽しい時間は減っていくんだから
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化け物たちは縄張りを作った
それぞれがそれぞれの形で寛いでいる
俺は部屋の蛍光灯をLEDにした
シンデレラのために
しかし化け物は光が気に入ったらしく
ぶざまな取り合いを始めた
その挙げ句粉々に砕けてしまう
俺は怒らない
誰も悪いとは思わない
だからまたこつこつと貯金をした
何ヵ月、何年、何十年、と
そのうち化け物たちは一人、また一人と死んでいく
気づいたときには一人暮らしの初日だった
俺は泣かない
寂しいとは思わない
部屋のゴミ箱にはシンデレラの手紙が何通か捨てられていて
俺は燃えるごみの日に窓から放った
ちょうど収集車が通る時間に
いつか
という夢を見なくなった頃
俺は死ぬ
何の実感もなく
ただいつものように眠っただけだった
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あれは写真だから
そこに私はいない
一瞬だったから
何を思っていたか忘れた
だからそれは脱け殻
そこに私はいない
忘れてほしい
ただ過ぎた季節
色褪せていくよ
どんなにあがいても
あれは詩
そこに私はいない
笑ってはいない
泣いてもいない
つまり心なんてない
ただ文字の羅列
廃っていくよ
どんなに願っても
これは私ではないのだから