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山鳩の部屋  〜 新着順表示 〜


[62] 冬のダイヤモンド
詩人:山鳩 [投票][編集]

君は冬のダイヤモンドを知ってるかい


あの夜空にかがやく一等星たち


時空を超えて


星星を越えて


僕らの肩に降り注ぐ


銀河の雫


生まれて今日まで


何度空を見上げたのだろう


寄り添うポルックスとカストルに


思いを寄せるふたご座の君よ


春の訪れに


ようやくかなしみはあの地平線の彼方に

2007/10/27 (Sat)

[61] 彼女のほほえみ
詩人:山鳩 [投票][編集]

君の前では

素直に笑顔ができない

なぜか身構えてしまって


それが理想?なんて

君はすぐ口にするけど

理想主義で潔癖で

血液型からは想像できないほど

整理整頓された財布のなか身

僕の言葉の語尾が直ぐに気にかかる


茜色に染まる街並みに

スーツ姿の君は

さっそうとヒールの靴音立てて歩く

地下鉄の駅の入り口で

じゃあねの手を振れば

その自信に満ちたほほえみに

僕のこころのどこかに

寂しさを残してゆく


もう秋ゆく街

通り過ぎる人ごみにまぎれて

背中丸めてポケットのチケット

探してる

2007/10/26 (Fri)

[60] 復活の涙
詩人:山鳩 [投票][編集]

悲しみの涙は海に注がれて



太古の海は次第に塩辛くなってゆく



その頬につたうナトリウムのしずく



復活の涙はいま石のなかに


*********************************

およそ六千五百万年前、隕石の衝突により
絶滅したという恐竜たち。
その出来事は、束の間の出来事。
絶滅した恐竜たちの涙は海に流れ、そして
化石となってその中に封じ込められた。
私のこころもこの出来事に重ね合わす。
ある人への想いはずっとここにある。
閉ざされたこころはいつに日か復活すること
を願い、日々の暮らしに流されてゆく。

2007/10/25 (Thu)

[59] カタルシス(katharsis)
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哀しみが引き潮のように

次第にこころの片隅から

消えうせようとしている


不思議にも別れた後で

僕にとっての君の存在が

客観的に見れるものであることに気付いた


皮肉なもので

一緒にいる時には

多面的な見方などできるはずもなく

それ自体が魅力の虜になっていた

ある種の恍惚状態であったかもしれない


ずっとこころの片隅で淀んでいた

長年のしこりのようなものが

いま打ち砕かれたような気がする


君が去りここに残していったもの

よみがえる君の言葉の数々から

多くのことを僕は学んだ

それらはすべてこれからの

僕のこころの浄化に

作用している

2007/10/24 (Wed)

[58] かなしみの詩を書くために
詩人:山鳩 [投票][編集]

かなしみの詩の最初の行に

君との楽しい想い出を書き


その次の行には

君のこころを知った

あの真冬の夜更けのことを書き


その次の行には

僕の誕生日が

君との別れの日だったことを書く


でも


その次の行からは

目が潤んでしまい

書くことができなくなってしまった


僕はペンを捨てて外に飛び出して

真冬の夜空を見上げてしまう



満天の星空にきらめく

ペルセウス座の流星がひとつ

キラリ

2007/10/23 (Tue)

[57] 回帰線
詩人:山鳩 [投票][編集]

あこがれとともに暮らす日々が過ぎて


何年ものあいだ閉ざされていたこころが


ようやく打ち砕かれ


あの日以前のわたしに戻ろうとしている





〜だいせんじがけだらなよさ〜

       愛する・寺山修司少女詩集より

2007/10/20 (Sat)

[56] あのこのうさぎ
詩人:山鳩 [投票][編集]

まんげつのよるに

あのこのうさぎは

つきにめされました

つきにめされたあのこのうさぎは

いつもそらから

あのこをみつめています

つきのまるみをなぞるように

せなかをまるめて


あのこのうさぎは

あのこのよびごえをきいています

あのながいみみで

あのこのうさぎがはなった

ぎんいろのひかりは

あのこのかなしみをいつか

だれかをあいするこころにかえるでしょう


あのこはまたひとつ

なみだのながしかたをおぼえました

2007/10/19 (Fri)

[55] 哀しみの捨て方
詩人:山鳩 [投票][編集]

ここでは哀しみのポイ捨ては


禁じられています


哀しみは決められた場所に


決められた要領で捨ててください


もう海は哀しみで満杯です


ただし


哀しみはリサイクルできません


・・・・・


かなしみよ さようなら

かなしみよ こんにちは〜

     ポール・エリュアル
       「直接の生」より

2007/10/17 (Wed)

[54] 孤独を愛する人
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孤独を売り歩く行商人

名前はロマノフ・ヒトリボッチ

誰か孤独はいりませんか

お安くしますよ

それじゃあ

私に孤独ひとつください

いいえその傷のついたのじゃなくて

そのとなりの真っ赤に熟れた

おいしそうなやつ

はいありがとう

お代はこのカナシミの箱にね

さあ次はあのマッチ売りの少女

2007/10/16 (Tue)

[53] 君に質問
詩人:山鳩 [投票][編集]

君と僕との愛は微妙で

詩のようなもの

行間に隠されている

さまざまな言葉の模索と

果てしない想像に似ている


なんて僕が言っても

君はジュエリーショップの

ガラスケースの前から動こうとはしない




ところで君に質問

詩でマイホーム購入のローン組みできますか?

詩と泥棒の言うこととでは

どちらが正しいと思いますか?       

2007/10/15 (Mon)
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