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浜崎 智幸の部屋  〜 新着順表示 〜


[85] 【吐血】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]



ほんとの愛ならば
とこしえに変わらぬと

誓いの血を吐いて
てのひらに擦(なす)れ

そんな細い腕で
誰を抱きしめられると言うのか

吼える獅子のごとく
すべての軛(くびき)を壊し
走り出せ


偽善者を笑うな
真実を庇護するな

誓いの血を吐いて
沈黙に耐えろ

そんな弱い息で
誰を守れるとか言うつもりだ

愚者は愚者のままで
すべての知恵を求めて
動き出せ
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2024/04/15 (Mon)

[84] 【天馬】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]






夜空の高みを走る天馬
わたしの窓まで降りてきたなら

ためらうことなくその背に乗り
子供の寝顔を見て回りたい

 おやすみ ぼうや 強くなって
 わたしの不安を救ってね

 おやすみ ぼうや 賢くなって
 誰かの予言を破ってね


あなたが生まれた悲しみより
わたしが生きてる意味は軽いね

ラムネの泡より短い夏
それでもひとりじゃもう歩けない

 おやすみ ぼうや 厳しくなって
 わたしの不正をあばいてね

 おやすみ ぼうや 鋭くなって
 呪文の矛盾を見抜いてね

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2024/03/04 (Mon)

[83] 【茂木】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


波が立つときは舟影が消える
よそものたちから身を隠す

古里の海は古代の躍動
深く魚たち眠る茂木

忘れてしまうなこの海を
数えてしまうなこの船を

命が熔けてはいないのか
水面が赤く染まる茂木


漁が立つときは笑い顔あふれ
閉ざされた海をなめてゆく

女たちだけは強く手を合わせ
海よ安かれと祈る茂木

夕陽を招くか三毛猫よ
舟霊(ふなだま)祀るか漁火よ

漆黒の闇が訪れた
古里の海を忘れるな

漆黒の闇が訪れた
古里の茂木を忘れるな
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茂木(もぎ)・・・長崎市郊外にある漁港。海は東になるので「夕陽を招くか」のフレーズはリアルではない。
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2024/04/08 (Mon)

[82] 【十一点鐘】
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水色の窓際であなたの右手に水差し

そのままで名曲が聞こえてくるように思う

愛していいなら
いつでも愛せる

愛していいなら
いつでも愛せる

髪を撫で 急ぎ足
外出の支度をしてる

敬虔(けいけん)な日曜の
あなたしか知らない時間


ほら光 そして恋
あなたの自由な持ち物

近すぎて怖くなる
あなたはいつだって自然

短針が滑る まもなくイレヴン
短針が統(す)べる まもなくイレヴン

時打ちが終わったら
ひとつ願いが叶うだろう

崇高な日曜の
あなたしか要らない時間

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2024/02/08 (Thu)

[81] 【らぷそでぃ】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


かるくてをたたきそしておどろうよ
よるがあけるまでうたいつづけよう
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう

よるにひかるほしひるにねむるほし
まわりのすべてをひかりでかざって
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう


きみなんかだいきらいだからもうはなさない
いきのねをとめるほどだきしめてよあけまで

つよくてをあわせそしていのろうよ
なみだかれるまでわらいつづけよう
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう

よるにのろうほしひるにほろぶほし
まわりのすべてをひばなでかざって
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう


きみなんかたくさんだだからもうゆるせない
しんぞうをとめるまでだきしめてよあけまで

よるにもえるほしひるにさめるほし
まわりのすべてをほのおでかざって
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう


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点字の原文ママ
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2024/01/22 (Mon)

[80] 【チャルダッシュ4】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]







朝霧が涙に混じる
君以外見えなくなる

もう一度髪をほどいて
僕の横で寝てほしい

よこしまなまなざしよりも
純愛始末に困る

それはその言葉自体が
偽善の手垢まみれだから

──記憶の画布のうえに
悲しみの裸婦を描こう──

Philosophical crisis
災いの恋
Philosophical crisis
いま
愛情は災害


嘘が多く混じるほど
キスは甘くなるという

そんな卑怯な君の肌を
抱いたことを悔やむから

──光も熱もない
差別の街へ行こう──

Philosophical crisis
致死量の恋
Philosophical crisis
いま
愛情は猛毒

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2024/01/17 (Wed)

[79] 【チャルダッシュ1】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


何があなたにとって幸せといえるの

涙ながらにそっと囁いて

夢を壊さないと何もできないから

勇気を奮いだして

愛してよ

抱いて私の肩を強く
私以外のことは考えず

きっと真実が強いはず
傷はいつか癒ると信じれば


やすらぎの怖さを忘れないでいてね

夢がぼろぼろになる

今だから

抱いて私の肌をきつく
私以上のことは考えず

きっと欲望が強いはず
目をそむけることさえしないなら

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2024/01/04 (Thu)

[78] 【チャルダッシュ2】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


もう夢をすべて見尽くしたと思うなら

そっと私の肩を抱いてほしい

それであなたが白痴のように喜ぶならば

もう私は土に還ってしまいたい

走れ 走れ
二度と光がささない道を

走れ 走れ
冷たい水に肌を切らせて


もう誰も信じてくれないと思うなら

深く激しく私を責め抜いてほしい

それであなたがもう一度立ち上がれるならば

もう私は泥にまみれて眠りたい

走れ 走れ
素足と夢が触れあえるまで

走れ 走れ
小石の雨に肌をさらして

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2023/11/30 (Thu)

[77] 【チャルダッシュ5】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


僕は君の堕落を願う
君の夢を根絶やしにする

君は僕に呪文をかける
だけどそれじゃ僕は死なない

泣きながら刺し殺し君を黙らす
朝の街に死体を捨てる

その瞬間に君は目を開け
低い声で僕の名を呼ぶ


僕は安い洋酒で眠る
君の夢を見たくないから

君は僕に毒素を混ぜる
だけどそれは僕に効かない

ひと筋の血が流れ
悪性の愛の花が開く胸の谷間に

最後の夢は君の未来を
裁くために成就するのだ
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2023/11/12 (Sun)

[76] 【こんなに愛していた】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


夕暮れになると道で足を止めて

祈りを捧げるように頭(こうべ)垂れた

やすらいのなかはすべて無色だった

謙虚な人の溜め息あつめていた

いつでも「かたち」が心を乱すらしい

語られぬ悲しみが影のように寄り添う

瞼が重いだろう
その重さに逆らうな

しゃがんでしまえばいい
この場所で膝を抱いて

さあ




薄明(はくめい)の町を一人ゆるく歩き

優しい人の残り香そっとなぞる

涙を流せるならば終わるだろう

こんなに愛していたと言えるだろう

いつでも「ながれ」が心を変えるらしい

減らせない苦しみに僕は慣れていくのか

目を閉じてもいいのなら
正直な子供になり

寝そべってしまいたい
この場所で泣きじゃって

そう

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2023/10/19 (Thu)
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