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中村真生子の部屋  〜 新着順表示 〜


[110] 嵐と夏空
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−18℃の寒気が

空の機嫌を損ねさせ

空はゴロゴロと怒りながら

大粒の雨を降らせる。

ズボンの裾をびしょびしょにして

目的地にたどり着く。

しばらくすると

バリバリと大粒の雹。

雹に当たらなかっただけでも幸いか。

一夜明けて

夏のような天気。

夕べ怒った空はすっかり機嫌を取り戻し

夕べ怯えた草木は光の中で自らを癒す。

すっきりと気持ちを切り替えて…。

夕べ集団下校をした子どもたちが

スケッチブックを持って街を歩く。

頭上に広がる空の和解を

眼下に広がる草木の癒しを

心の深いところに刻みながら…。


2012/05/18 (Fri)

[109] 幼なじみ
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久しぶりに会った

幼なじみが我が名を呼ぶ。

昔と変わらぬ呼び方で。

その声は

耳ではなくて体に響き

体に響いたその声は

血潮を巡りて

今と昔にこだまする。

夕まぐれ

どこからともなく聞こえてくる

寺の鐘のように…。

幼なじみに名前を呼ばれ

応え返せば

思い出も一緒に応え返する。


2012/05/17 (Thu)

[108] 民藝に想う
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聞こえてくるのは

作った人の息遣い。

見えてくるのは

使った人の息遣い。

暮らしの中で生まれ

人ともに暮らし

ひっそりと還っていく。

けれど

確かに自分を生きて…。

一個の碗に

一枚の着物に

時を超えて

今も息づく

人と暮らしの息遣い。

「柳宗悦展」in鳥取県立博物館


2012/05/16 (Wed)

[107] れんげ畑
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都心に住んでいた時

所用で地方へ出かけた。

北陸か上越だったと思う。

ちょうど今時分だったのだろう。

田園地帯に入ると

車窓にれんげ畑が広がった。

一面のピンクの花畑。

子どもの頃

よくこの中に入って遊んだ。

お目当ては白いれんげ。

畑の中を蜂のように飛び回りながら

友達と競って探した。

大切な宝物を探すように…。

都心は緑が多く

花も結構咲いている。

ホトケノザやナズナなどの野草も

街路樹の根元や公園で春を告げてくれる。

けれど車窓のれんげを見て思い出した。

この花をまだ見ていなかったと…。



2012/05/15 (Tue)

[106] 聞き上手
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緑や花のあるところで

たいくつしないのは

きっと彼らが

話し上手だからだろう。

否。

聞き上手

だからかもしれない。

何気に心の中で

遠い昔の

思い出話まで

していたのだから…。

たとえばこの藤棚の下で…。


2012/05/14 (Mon)

[105] メビウスの輪
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表と裏と。

くるっとねじってくっつける。

表は裏に。

裏は表に。

もう、表も裏もなく。

けど、表は表、裏は裏。

心と心と。

くるっとねじってくっつける。

私はあなたに。

あなたは私に。

もう、あなたも私もなく。

けど、あなたはあなた、私は私。

野イバラがまた一つ

白い花を紡ぐ…。

遠くでカリヨンの音が

時を告げる…。



2012/05/13 (Sun)

[104] 野イバラの季節
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息を吐くように

心を開く。

その入り口を開けるように。

息を吸うように

心を澄ます。

その御心に仕えるように。

そして

それぞれを通して

その姿が現れる。

野イバラの季節がやってきた。


2012/05/12 (Sat)

[103] アネモネの旅立ち
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冬が返ってきたような

寒い朝。

着ることもなくなっていた

上着を羽織って

窓辺に佇む。

そよぐ庭の木の葉。

なびく土手の草。

強くて冷たい風が

駆け抜けていく。

目を落とせば

片隅に

綿毛になったアネモネたち。

温かくして旅支度。

「また来年。良い旅を!」。

2012/05/11 (Fri)

[102] 宇治にて
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突然降り出した大粒の雨に

傘の花咲く。

その一つの下に

寄り添いながら歩く若いカップル。

睦まじく美しい姿に

二羽のアゲハを思い出す。

さっきまで居た

木花開耶姫が祀られている

神社の座敷の

ガラス障子越しに見た

二羽のアゲハを。

重なるように舞っていた

青いアゲハを。

彼らはもしや蝶の化身か。

そんなふうに思うのも

ここが宇治だからだろうか。

『源氏物語』の舞台ともなった…。

2012/05/10 (Thu)

[101] 旅は道連れ
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日本海側から

太平洋側へと

列車に乗って山を越える。

車窓には

鏡のような水田と

山藤の花で飾られた

新緑の山々。

どの駅から乗ったのか

列車の中に

タンポポの綿毛が一つ。

ふわふわ飛んで

隣の座席に。

しばしともに旅をする。


2012/05/09 (Wed)
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