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望月 ゆきの部屋  〜 新着順表示 〜


[204] 知ってたから
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

なに?
と 問うわたしに

呼んでないよ。
と 不意打ち顔


なに?
と 問うわたしに

なにも言ってないよ。
と 不服顔


だって

もうすぐ呼ばれるって

知ってたから



知ってたから。

2004/05/21 (Fri)

[203] 森園
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

そこに訪れるたび
答えをさがす


水面から急潜行すると
彩色をほどこした
世界がまぎれもなく存在している

潮流に逆らうことなく
傾いている
イソバナを縦横斜めに
宇宙遊泳ですすむ

苔むした空き缶では
ミジンベニハゼが同棲していて
なにか 見てはいけないモノを
見てしまったかのように
ついと目をそらす

そらす直前
チラリと盗み見
失敬。

そこに生息するすべての者は
ひどく自分をわかっていて
みな 思い思いに城を築く

時にそれは砂の中
時にそれは葉の裏
あるいは ヒトデの腹

ウミウシ牧場での一期一会
限りある酸素
限りある時間
の中で

ここを森と云わずして
なんと云おう

探しているこたえは
まだ 見つからない

問いかけは
なおさら。 


永遠に

2004/05/20 (Thu)

[202] また、あした。
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

今日が終わり
明日がやってくることの
必要

今のこの瞬間が
あっという間に
次の瞬間にうつりゆく
必要

ななめ45度の視界
うす曇りの送電線を
キラキラとまわって過ぎてゆく
星星のような 晴れ間

幸せだった今日のせいで
明日の訪れを恐れる
かわいそうな
ぼくら


今日の日はさようなら

デニム帽を
貸してよ。
それは
明日のための
計画的犯行


バイバイ
また、あしたね。

と無邪気に手をふった
幼き頃の 

狂おしいほどの愛しさよ 








2004/05/20 (Thu)

[201] 
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

「風船」

つばめの急降下にも
動ずることなく
ただよう風に押されて
やがて 点
水面に映る丸い残像


「滝」 

世の中のすべての音を盗んで
アピールするものは
引力 あるいは 重力
無数の直線を描きつづける
気まぐれに
虹をたずさえて


「シャボン玉」

世界をさかさまに見てみたら
悲しみも 苦しみも
泡となって消えてしまった
高架線の向こうにいるであろう
誰かにも 見せたい


「扇風機」

主役にして脇役
顔面からこぼれおちたものは
風 あるいは 風
もう ぼくは
きみ無しには生きられない
脇役にして主役



風をそっと裏返すと
涼、涼、と風鈴が鳴く

こっそりと
夏の残り香をなつかしむ
ぼくのもとに
夏はまた
訪れようとしている

2004/05/19 (Wed)

[200] 太陽の顔面
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

いつだって
熱くなれるのって
うらやましいこと
このうえない

放出するだけが
能じゃないことも
ちゃんとわかってる
から 
やれれる

きみの額に
フライパンをのせて

ホットケーキを焼かせてよ

2004/05/16 (Sun)

[199] グリムよ。
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

お菓子の家は
どこにあるの


雲ひとつ見つからないほどの
青い青い空が広がった
あの日

雲だけでなく
あの人までも
見つからなくなった

心からあの人を
信じていた
ので
道しるべさえも残さずに
ここまで来てしまった

パンくずなどは
もってのほか


お菓子の家に
たどりつかない


グレーテルなら良かった。
置き去りにされても 
ヘンゼルが隣で微笑み
手をひいてくれた

あの人は わたしに
魔女さえも与えないまま
わたしから見つからない
場所へ 消えた


お菓子の家は
なかった


壁のチョコレートを
剥ぎ取って
あの人に持ち帰ったなら
ほめてくれたかも
しれないのに


グリムよ。


物語は誰の手に


物語は
誰のために

2004/05/16 (Sun)

[198] 果て
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

こんなハズじゃないよ。


ぼくの勇気が

邪魔をしたのかい


もう このままじゃ

もう ぼくたちは



きりがない

2004/05/15 (Sat)

[197] 本屋にて
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

街外れの小さな本屋で
彼女と再会した

偶然。

本屋でよかった
きりりとした空間では
おしゃべりにならずに
すむ

彼女が手にしている
水色の背表紙の本が何であるか
なんてことは
気にする余裕はなかった

今日のぼくのシャツは
かつてぼくらが恋人同士だった頃にも
着ていたものじゃないか、と
気づいたら
そればかり気になる

物持ちよくっていやになるよ

ページをめくる音は
嘲笑のようにも聴こえ 
この場を切り抜けるすべを
探る

人はいつも変わりたいと願い
人はいつも変わらないでいて欲しいと
願う
好きだった人なんかには とくにだ

程近い小学校の
チャイムに助けられ
ぼくは レジに向かった

小銭を差し出すときになって
彼女が手にしていた本が
なんだったのか
気になってしかたない

出口でちょっと泣きそうになり
気がついた。
懐かしさを恋ととりちがえるほどに
偶然すらも
必然ととりちがえそうになるほどに
今のぼくは
さみしいのだ。

気がつけたら
途端に
なぜだかとても
イキワクな気持ちになり

下校途中の小学生の
ランドセルの波に
するすると乗りながら

今週末はサーフィンにでも
出かけよう、と
さっき買った雑誌を
脇にギュッと挟んで


小さな本屋にお尻をふった。

2004/05/17 (Mon)

[196] 
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

れんげの土手を揺らして
ごうごうごうと
やってくる

葉桜の一本道を突っ切って
ひゅうひゅうひゅうと
やってくる

門柱に横っ面ぶつけては
カンカン カンカン
と鳴く

耳障りな表札は
やってきたそれに剥がされ
どこかへ飛んだ

行方は気にならない

ただ あのひとが
迷ってしまうのだけは
困る

門灯の下に
ダンゴ虫の行列
目印に

ここへ来る途中に
あのひとまでも
それに
巻き込まれて


飛んでしまってなければ
いい

2004/05/14 (Fri)

[195] 落っこちているぼく
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

きみの通り道に
ぼくはいつも落っこちている

目立つように 
とはいえ ひっそりと

ビー玉のように光るでもなく
目覚まし時計のように鳴くでもなく

ニュース速報のような
興味もひかない
ぼく

賞味期限は心配いらない
そうはいっても
ね。


今日が昨日になっていく
現在(いま)が過去になっていく


通りすがりに 拾ってよ
見落とさないで


ピアノ線は最終手段。
卑怯だと思うかい


ここに いるから


落っこちたまま いるから

2004/05/13 (Thu)
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