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望月 ゆきの部屋  〜 新着順表示 〜


[234] 朱夏
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

伸ばした腕の先の
手のひらの先の
中指の先っちょが
触れるか触れないか、
のところまで
夏が。

列車を待つ顔たち
照らす陽射しの角度を
知ってか知らずか
右へ傾く

くる夏
線香花火の終わる瞬間
誰を想い
なにを願うのだろう

世界のどこかで
かわらず
砲弾が飛び交っているであろう
その時

庭の片隅には
もぎ忘れられて
今にもぱちん、と弾けそうな
プチトマトが。



2004/06/18 (Fri)

[233] とこしえ
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洋ナシをひとつ
手にとって、
戻した

わたしは今
シアワセです と
伝えたくなる
たとえ
嘘だとしても

洋ナシは好きじゃない、と
言った
ひと

伝えるすべもない
ので
紙コップを口にあてる


ワタシハ
イマモ
ヒトリ デ イマス。

2004/06/17 (Thu)

[232] ブルーホール
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秒針がふるえて
ぼくは ただ
青くなってゆくばかりだ

深みが光を吸収し
かわりに
無数の粒子が
まとわりつく

探してた言葉は
どこにも見えず
たえなまく


見上げると
水と空の境界線は
消えていた

いつだって
きみには
垂直でふれていたかった
だけ

2004/06/17 (Thu)

[231] 
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どこから夢で
どこまで夢だったのか
わからない
という 朝

さざ波がたっていたので
ただ 
風をさがした

前に進むための
1オンス


やがて
なにもかも
嘘だった
と。

2004/06/16 (Wed)

[230] 飛沫
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気がつくと
きみは魚になってしまっていたので
ずっと
きみを知っていたのに
はじめて見たような気さえした


望遠鏡をのぞくと
いつも
波がよせては砕け
飛び散る

セロハン越しにそれは
琥珀となり
バラバラと
ふる


もう ぼくは
イソバナで
ほんのときどき



きみの胸びれが
かすめゆくばかり。

2004/06/16 (Wed)

[229] 漁火
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その時のぼくには
どんな光も
光 だった

高層ビルのあちこちでは
松明が焚かれ
人はそれを
空から眺めては
都会などと
よぶ

灯台ならば
向かうべき先を
教えてくれただろうか

手をのばしてみればいい


明るい場所で
ぼくたちは逢おう。



つかまえて
   くれないか。


2004/06/14 (Mon)

[228] ストロマトライト
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呼吸したり
成長したり
引き潮を待ったりしてたら
20億年
あっという間に過ぎた


海底では
あらゆる生物が
地球を
ぐるりとくるんでいる

さながら
生物たちは
地球に生かされている
ようにも。


ずっと
大地を踏みしめていると
思ってた

ほんとうは
ただ 地球に
持ち上げられているだけ
なのかもしれない。




また、引き潮。

2004/06/14 (Mon)

[227] 晩餐
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あなたを 食べたい。


まちがえた、

あなたと 食べたい。

2004/06/13 (Sun)

[226] てのひら
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四角四面なこのぼく。


どうぞ
その 皺の波間を

どうぞ
存分に転がしてやって
ください。

2004/07/31 (Sat)

[225] 斜陽
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傾きはじめた太陽が
ボンネットで屈折し
ぼくを射す

さよならを言い出したのは
ぼくで
結局のところ
決めたのは きみだから
ぼくは フラれたのだろう

車は無駄に走り続け
困り果ててまつ毛は
飛んだ

刺さっていた太陽も
明日へ消えた


またね。
と言ったけど
約束じゃなかった





さいごにキス。

2004/06/12 (Sat)
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