詩人:黒夢 | [投票][編集] |
まだ少し、雨の匂いが残る 雨上がりの午後に。
僕はすれ違おうとした男に問われた。
「貴方は神を信じますか?」
僕は何も言わなかった。
『神様がいれば、こんな辛く悲しい現実はないだろう』
そう思ったけれど、僕は心の中に止めておいた。
僕だって時々神頼みをするから。
都合のいい時だけ、名だけの神様を利用する。
なんて身勝手な生き物だろう。
こんな人間が多いから
【神様】は何も叶えてくれなくなったのかもしれない。
僕は、話しかけてきた【神を信じる】男を無視して
ぼんやりとそんなことを思った。
【いつも通り】の街の光景。
誰かが泣いていて、誰かが笑っている。
誰かが不幸になって、誰かが幸せになる。
僕はそれにも目を向けず、ただ自分の道を行く。
誰にも平等で、全能な【神様】という名の存在が
少し嫌いになった雨上がりの午後。
顔を出した太陽が、ひどく眩しかった。
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涙を流す前に、君の痛みを少しだけ僕に分けてほしい。
そして僕も涙を流すから。
きっとその方が、独りきりで泣くよりいいと思うから。
僕の自己満足でも偽善でも、エゴでも。
君が僕を拒んで罵っても、それでも
『君ガ楽ニナルノナラ、僕ハ構ワナイ』
君の苦しみも悲しみも、全部僕が背負うから。
怒りをぶつけたっていいから。
だから、どうか。
『独リデ泣クナンテシナイデ』
僕が此処にいるから。
何時だって何処にいても、君の所へ行くから。
だから、どうか。
『泣キタイ時ハ僕ノ胸デ泣イテ』
君の心の中を少しだけでも僕に教えて。
僕にどうにかできる事ではないと解っていても。
それでも
少しでも君に笑っててほしいから。
だから、どうか。
『涙ヲ流スソノ前ニ、心ノ中ヲ教エテ』
そして、どうか。
『独リデ震エナガラ泣カナイデ』
君の弱さも、涙も、苦しみも、悲しみも、憎しみも。
その震えも、全ての感情も。
まとめて僕が抱えて歩くから。
君の全てを、全部。
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新年を迎えて。
それでもいつも通りの生活を送る僕。
きっと年が変わろうと僕には何の関係もないんだ。
だから今年もいつも通りに過ごしたい。
いつも通り
キミと笑って過ごしたい。
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嗚呼、また今日が終わっていく。
嗚呼、また繰り返していく。
いつも通りが一番好き。
それでも
嗚呼、僕が此処にいたという証さえも残せずに。
嗚呼、昨日の僕は、死んでいく。
矛盾したやるせない心を鎮めるのは
やはり今日を生きるということだけ。
嗚呼、時間が過ぎていく。
嗚呼、何も遺せなかった僕が死んでいく。
消えていく。
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『さよなら』
そんな言葉で、それまでの日々全てを
忘れることなど出来るはずがなく。
僕は多分、まだ君の事が好きだよ。
あと少しだけ、君を想うことを
どうか許して。
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空を見上げて青いと思った。
君を見て眩しいと思った。
空に手を伸ばして遠いと思った。
君の背中が遠いと思った。
君と空は紙一重だなんてやけに女々しいことを考えた。
でも今はそんな事さえもう、どうでもよくて
ただただ、空が青いことを
ぼんやりと再認識した僕がいた。
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今、僕が此処にいる意味なんかないとしても。
理由が見つけられなくて迷ったとしても。
昨日を後悔して涙を流したとしても。
生きる意味が解らなくなったとしても。
例えそれでもいい。
ただ、僕がこの道を歩いたという
確実な足跡を此処に残せたなら。
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大きな音がして、ぼんやりと顔を上げた。
ドラマで見るように、水色の傘が宙を舞った。
それにあわせて、ゆっくりと、本当にゆっくりと
実際は一瞬なんだろうけれど
人の身体も宙を舞った。
心臓の音が、自分にもよく聞こえて。
『コワイ』
考えるよりも先に、僕は事故現場を通り去った。
何度も何度も
宙を舞う傘と、人の身体が、頭の中で再生されて。
救急車を呼ぶべきだった?
人を呼ぶべきだった?
それよりあの人は無事だった?
『ボクハナニヲスベキダッタ?』
僕は僕が大嫌い。
判断力のない自分が大嫌い。
他人任せになる自分が大嫌い。
『ナニモデキナイボクガ、ダイキライ』
また頭の中で、あの日の出来事が再生される。
こうなることが分かっていたら
別の道を歩いていたのに。
そんなことを考える自分が
世界で一番、大嫌い。
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迷う苦しさも、些細な悲しみも、小さな疑いも
会えない辛さも全て、君が居たから。
鬱陶しいぐらいの醜い感情も
嘲笑したくなるぐらいの女々しい感情も
全部、君と居たから。
全部きっと、君と居たから。
全部きっと、君が居たから。
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生きる中で何度躓くことがあっても
辛くて何度立ち止まることがあっても。
それでもまだ、僕はこの歩みを止めはしない。
ひたすら歩き続ける。
例え血を流すことになろうとも。
此処に居る価値が僕になくても
この命に意味がなくても。
それでもいつかきっと、歩き続けてそれを見つける。
僕の存在の意味。
例えその先が地獄か天国であろうとも。
この身体が動き続ける限り。
この心が生きている限り。
血塗れた道でも構わない。
絶望が待っていても構わない。
意味なんかなくたって。理由なんかなくたって。
この身体が動き続ける限り。
この心が、僕である限り。