詩人:黒夢 | [投票][編集] |
思い出して泣くことを否定することはしない。
今も忘れられない過去を否定してしまうから。
ただ、そうして泣くたび
「もしも」と考える自分が嫌になる。
過ぎた時間は戻らないのに。
「もしも」と考えて
違う未来を想像して満足したいのだろうか。
無力な自分を慰めたいのだろうか。
もしもタイムマシンがあれば
すぐに今までの「もしも」を回収しに行くのに。
ああ、ほらまた「もしも」と言う。
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君のその眼は空を見ていました。
僕のこの眼は君だけを見ていました。
だから分かったんだよ。
君のその眼は「退屈」と言っていました。
僕のこの眼は「行かないで」と言いました。
この視線が鎖となればいいのに。
君はその眼で僕に別れを告げました。
僕のこの眼は何も告げられませんでした。
霞む視界に君の進む道は見えなくて。
遠くを見つめる君の眼が
この世界に愛想を尽かしたように見えました
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哀しい生き物だと、漠然と思う。
「恋」という感情に翻弄されて
自分本位な理由をつけて人を貶し。
人はそれを「嫉妬」と呼ぶけれど
こんなに醜いものかと
嘲笑が浮かぶ。
自分から動きもせずに人の所為にする。
誰から見ても、くだらなくて
酷く滑稽だ。
くだらない人間だと、反吐が出る。
醜い感情など跳ね除けて
嫌味の一つでもぶつけてくれば
素直に笑ってやるものを。
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不変。
それは良い意味でも悪い意味でも。
ただ、ずるずると続く。
ぶち壊す術は無く。
我慢。
ただ押し殺せばその場は切り抜けられる。
ただ、じくじくと痛む。
安らぎという一時の傷薬を。
刺激。
不満だらけの日々に少しだけ与えられる暇つぶし。
ただ、ピリピリと騒がせる。
それさえ掻き消す退屈。
永久不変の悪循環を繰り返す。
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その背を、後姿を見るのが嫌いだった。
おいて行かれそうで
その姿を見失いそうで。
隣を歩くのだって怖かった。
道が別れるのはいつ?
君は僕を置いていくのでしょう?
背を向けないで。
おいて行かないで。
まだ一緒にいて。
その時がくればちゃんと見送るから。
引き止めたりしないから。
どうか、まだ一緒にいて。
手を繋がせて。
その手を引っ張らせて。
背中を見るのはまだ先のことでいいから
今だけは君の前に立っていたい。
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夢の中の君は優しかったね。
落としたものを一緒に拾ってくれて
くだらない話にも相槌を打ってくれた。
泣けば欲しい言葉をくれて
笑えば共に笑ってくれた。
夢だったけれど
夢だったから期待してたよ。
でも
その手が僕に触れることは無かったね。
言葉無き応え。
言葉無き拒絶。
そう、それら全てが僕への答え。
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確かめることもなく、ドアは開いた。
振り返る暇さえも与えてくれない、現実。
未だ自分の姿さえも見えてない癖して
人を見下すことを覚えてしまった。
誇れるものも無いくせに
虚勢だけで胸を張ることをしてしまった。
心を上手く整理できる器も無いくせに
人の悪意を知ってしまった。
後悔する暇も無い。
次の瞬間は残像も残さず過去へと変わっていく。
人を嘲笑って
曲がったプライドを持って
そして
向ける悪意と同等のそれを受けて。
逃げられない、背負うしかない。
生きて、生かされて、逝く。
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ゾッとする程に冷ややかな水は
背を向けた君の冷たさに似て。
そして徐々に流れ出すぬるま湯は
想いを癒すように流れ続ける日々に似て。
その度に感じる居心地の悪さは
君を思い出す僕の心と似すぎて。
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迎えた終焉に私の涙を奉げましょう。
あなたは涙を嫌うから。
あなたは終わりを嫌うから。
私は何も言わずに泣きましょう。
認めなくても何も変わらないと。
現実は残酷だと。
どうか意地にならずに私の涙で悟ってください。
初めて知る終焉を私の涙で飾りましょう。