詩人:黒夢 | [投票][編集] |
『好き』という気持ちが理解できなかった。
きっとそれは
理解できなかったのではなく
理解したくなかった。
その想いを自覚して、認めたら
嫌な人間になりそうで。
醜い人間になりそうで。
心に決めた。
見ているだけで幸せだと。
この想いが届かなくてもいいと。
ある人に言われた。
「聞いているこっちが痛くなる」と。
「純粋だ」と。
そんな綺麗な想いなんかじゃない。
嫉妬もした。
妬んだりもした。
それのどこが純粋というだろう。
過ぎていく一日一日の中で
忘れたいことも、新たに見つけたことも
何でか君に繋がっていった。
伝える事と、黙ったまま忘れる事。
どちらが自分にとって楽なのか。
どちらが自分への悲しみが少ないのか。
自分なりに考えて、現実に流されて。
結局、君には何も言えなかった。
この想いを、恋だと認めた。
それでも
この想いをどう表せばいいか
君の姿を見なくなった今
もう分からない。
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互いを温めるかのように繋ぎ続けた手が
離れて、空いた手が冷え始めた頃に
世界の理不尽さを知る。
『続き』なんて知りたくなかった。
『これから』なんてほしくなかった。
素敵な物語を描いてたまま
『そのまま』を誰よりも僕は望んでいた。
『明日』などいらなかった。
君がいなくても明日がくる事を知っていたから。
泣いても、いつか笑うのを知っていたから。
僕が全てをなくしても
明日が来るのを
知ってしまっていたから。
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君の思いが綺麗過ぎて。
君の言葉が真っ直ぐ過ぎて。
君があまりにも他人の事に必死になるから
今まで作り上げた自分が壊れてしまう気がする。
僕自身がどう変わろうと
僕が僕である事にはかわりないのに。
ただ。
差し出された手を握るのが怖いんだ。
変化するのが怖いんだ。
だって。
こんな簡単に変化して
新しい自分に成れた時
これまでの自分を忘れてしまいそうで。
もがいて、足掻いて。
頑張って、格好つけて。
後悔して、我慢して。
そうやってきた前の自分は
変わってしまえばもう終わり?
そう思うと
どうしても君の手を取る事を躊躇う。
君の心が綺麗過ぎて。
君の全てが真っ直ぐ過ぎて。
君はその心の変化を
どうやって受け入れた?
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命儚き夜の虫。
命の消えるその刹那、全てが僕の為にあれ。
命輝くその刹那、全てが僕の為であれ。
きっときっと、最期まで見ていよう。
その亡骸を拾い上げ
もう一度この地に還してやろう。
いつかもう一度、誰かがお前の姿を目にするまで
その命が再びこの世に戻るよう、願っていよう。
お前の灯火が消えるまで
命を
己を
その姿を
誇っていれば良い。
命儚き夜の虫。
永遠の命が無くとも
短いお前の一生を、僕だけが見ていよう。
だから
僕の為だけに。
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いくつも、数え切れないくらい
気付く暇も与えずに、時間は過ぎていった。
そして、後になってから
その時間を愛しく思う。
かえってこない時間を、惜しむ。
それじゃなんにもならない事は分ってる。
今が何よりも大事だって事も
振り返っても意味は無いことも。
それでも、時々考える。
今だけが本当に大事なのか、と。
振り返っても意味は無い。
それでも
そこにあった瞬間は本物だから。
それだけは覚えておかなければ。
過ぎた時間からしか学べないことだってある。
今の僕を成長させる為の
忘れてはいけない場面がある。
だからこうして
過去に囚われない程度に
後ろの方を振り返る。
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聞きたくない言葉なら
幼い子供のように耳を塞げば良い。
それでも
その声が貴方だから。
貴方の言葉は優しいものと信じていたから
私は何の躊躇いもなく
貴方からの別れの言葉をすんなりと
耳に入れていた。
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ホントは、本当は
伝えたい想いで溢れていたよ。
ただ、捨てたくない言葉がたくさんあったよ。
それでも、全部隠して私は笑うよ。
きっと、これからも私を苦しめるだろうね。
胸を締め付ける理由なんてすぐ解るよ。
出かけた言葉を必死になって抑えたあの日。
持っているものなんて何一つ無いよ。
無いはずだから、涙は流さない。
何も知らないフリをして
時間だけが私を傷つける中で
心の伴わない笑顔で貴方と笑うよ。
私は、自分が信じた想いを裏切った。
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風が吹いた。
僕の背中を強く押す。
耳に届いた声。
その唇がつむぐ言の葉。
僕にだけ吹くその風はきっと。
風に身をゆだねる。
風に声を重ねて。
遠く
そして、誰よりも近い場所で笑う君に。
『ありがとう』と。
せめてこの言葉だけ
伝われば良い。
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星が囁く、声が消える。
夜は続く、月が笑う。
闇に手を伸ばせば
僕は音もなく消えていく。
少しでも此処に在ると言いたくて
僕は歌う。
誰かに届けようとは思わない。
少しだけでいい。
少しだけ音の無い闇の中に
この声を響かせてみたいだけ。
声が生まれる、星が消える。
太陽が輝く、朝が始まる。
また、夜が訪れるまで
僕は眠る。
僕は夜を愛す。
そして
僕は夜の闇の中で、歌い続ける。
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揺れる意識。
頭が考えることを拒否する。
耳に届く穏やかな波の音。
このまま目を閉じれば、君が見えるかもしれない。
水というガラスを透して見た、歪んだ太陽。
零れ落ちていく水を、この想いと共に
すくい上げることができたら。
流れるままに、波に身を委ねていれば
君の元に辿り着くだろうか。
命の還る場所と言われるその場所に
僕も
長く短い『生』を全うした後
還って来たい。
そして
ようやく君の手を掴むんだ。
全ての命が還ってくるその限り無い海原で
僕等が
僕と君の魂が
もう一度、出逢えることを
切に願う。