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黒夢の部屋  〜 新着順表示 〜


[117] 離れた場所から
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『好きです』

口にするだけで、まだ胸が痛む。



思い出だって関係だって

会えなくなったと知った時、忘れたつもりでいた。



人伝に話を聞くだけで、その名を口にするだけで

蘇る、懐かしい思い出。

脳裏をよぎる、愛しい面影。



『元気ですか?』

『新しい生活はどうですか?』

『まだ私の事、覚えてくれていますか?』



忘れたつもりで蓋をした、哀しく安堵する想い。



想うだけで満たされていたあの日。

話をしただけで喜んだあの時。



今は互いの距離がどれだけ遠いかさえも

分からなくなってしまった。

募る想いにひたすら気付かないフリをしている。



怖いから。

隠した想いに気づいてしまうのが。

隠し続けたい。



駄目になってしまいそうなんだ。

このまま君を忘れたフリを続けたら。

君に好きだと伝えたい。




消える事ない想いを消そうとする心と


それを拒もうとする、矛盾した心。




思い出の中の君の笑顔でさえ

    複雑な心情に邪魔されて

        ぼやけて見えるよ。

2005/05/28 (Sat)

[116] 両手
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僕は何も持っていない。


君を守る力も


君を幸せにする権力も財産も。


それでも


君は言ってくれた。


この手が何よりも温かいと。





気の利いた言葉が無い代わり


僕はこの両手で


ありったけの温もりを君に伝えよう。

2005/05/24 (Tue)

[115] 暗い感情
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目の前にいる家族を
殴り飛ばしたくなった。


片付けることなく溜まっていた本の山を
崩したくなった。


どうでもいい事に酷く苛つくんだ。





負の思いに支配されたこの眸を映す鏡を
割ってしまいたい。


意味も無く身体を傷つけてしまいたい。


俺を非難する声を掻き消す為に流す
大音量の音の洪水。


そこに 癒しも安堵もありはしないさ。


唯、虚しくこの心を乱すだけ。


唯、沸き上がる激情を抑える術にすぎないよ。




取り乱すわけにはいかないんだ。


俺の精神を正常の範囲に保っているのは


情けないことにやたらと高いプライド。


蜘蛛の糸の様な 細い 細い 理性。




もう少ししたらいつも通りに笑えるようになるさ。


こんな思いは一時的なものだから。


心の中でそんな馬鹿な自分を嘲笑うんだ。




もう俺は二度と脱出できないくらいの


深く 暗い 繰り返しばかりの


複雑な輪の中に入ってしまっている。

2005/05/20 (Fri)

[114] 逃避
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涙を流すほど悔しい夜も。


空を真似た狭い天井に伸ばした手も。


君の頬を伝った涙も。


それを拭ったこの指も。


全てが過去に消えてゆくけれど。





僕等には生きていく上で背負うリスクがある。


それはきっと、忘れること。


どれほどに大切なものでも


僕等はいつかその存在を忘れてしまうだろう。


記憶の片隅にその残像を鮮やかに残して。





あの日の僕を形成していた強く脆い想いが


きっと今の僕を迷わせる。


誰かに焦がれること。


誰かを想うこと。


きっといつの日も僕は繰り返すだろう。






消えゆく過去は未来に


小さな鈍い痛みだけを預けて。







消えていく今。


それでも見えない明日。


刹那のこの想いを ただ 抱きしめていたい。

2005/05/18 (Wed)

[113] 過ぎた時間に
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故意に無機質な日々を重ねて。


君と過ごした日々を


確かに在ったものとして記憶に刻もうとする僕を


人は笑うだろうか。


時間を無駄にしていると、叱るだろうか。




今を大事に生きろと


過ぎた時間はもう戻ってこないと


そんな簡単なこと僕自身がよく知っている。


それでも


割り切れるわけがない。




だから僕は


君が無い今を色無き世界にして


君が居た過去を鮮やかな色で染め続ける。


それが全く意味を成さないことだとしても


僕は記憶の中で時間を遡り


君に会いに行く。




最後に行き着く先に、変わらない君がいれば


きっと僕はあまりにも簡単に


今を捨ててしまえるだろう。

2005/05/15 (Sun)

[112] やるせない
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どれほど君に言葉を伝えても


君には僕以上に


欲しい言葉をくれる人がいるのだろうね。

2005/05/14 (Sat)

[111] 感じるままに
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月の様に温かい光を持っていた。



風の様にこの手をすり抜けた。



太陽の様に笑う人だった。



雨の様にその想いだけでこの身を濡らした。



星の様に儚い夢を抱かせたまま



雲の様に掴めない存在となった。



目を閉じても、耳を塞いでも



私の五感はまだ、貴方を感じているまま。


2005/05/14 (Sat)

[110] いつまでも隣にいるよ
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忘れてくれていい。


恨んでくれていい。


忘れてほしい。


願いにも似ていた


あの日の僕の言葉。

2005/05/14 (Sat)

[109] 
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振り払った手でさえも

触れた部分に熱がこもる。

もし

その手に掴まれたのなら

この心はどうなってしまうだろう。

2005/05/10 (Tue)

[108] 安売り
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太陽なんて眩しいもの

僕には必要ない。


上辺しか照らさない蛍光灯の

まるで僕の愛の様な

安っぽい光が丁度良い。


囁く愛。

向けられる笑顔。

ささやかな裏切り。

歯の浮く様な言葉の羅列。

塗りたくられた真実。

変わらない距離。

報われない願い。

続く関係。


本物という言葉を知らず僕は

足元さえも照らさない蛍光灯の下で

安っぽい愛を流出している。










2009/01/18 (Sun)
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