詩人:中村真生子 | [投票][編集] |
その時
とある感情が
心の底から湧き上がる。
その湧き上がった感情が
覆っていた垣根を
一つ取り除く。
その様に
自らがたくさんの垣根を
作っていたことを気づかされる。
画期的な発見!
だからといって
すべて取り除けるはずはなく
再びぐるぐると歩き出す。
けれどほんの少し明るくなって…。
雲の切れた梅雨空のように…。
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大地に染み込む
雨のごとく
友の優しさが
染み込んでいく。
雨がもたらしてくれた
ありがたい贈り物。
そんなふうに
優しさをもらって
生きていることを
これから時々
思い出すのだろう。
今日のような
降りしきる雨の日には…。
否
忘れまじき。
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置きっぱなしの椅子と
咲き始めた白いアジサイの間の
小さな隙間に
こぼれ種で芽吹いた
ゼニアオイが
赤紫色の花をつけていた。
遅れて咲いて
小さな茎に
小さな花一つ。
けれど
なんだか誇らしそうで
なんだかこちらも嬉しくなった。
今日もどんより梅雨曇り。
けれど
パーッと心に陽が差した。
庭が時々見せてくれる
小さなマジック。
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蛍を初めて見た
あの子は泣いた。
「こんなにきれいなものを
見たことなかった」と。
その涙を見て
大人の目にも涙が光る。
空の上では星がキラリ。
真っ暗な山間に
蛍の光と涙と星と…。
もう空と地の
境もなく…。
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葛アンがかかった
見た目も爽やかな
茶碗蒸しの具は
黄色い銀杏でもなく
白い百合根でもなく
赤い梅干し。
茶碗蒸しも
夏のしつらえ。
優しさの中の
酸っぱさが心地よく…。
その心遣いも
ありがたく…。
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波のうねりと潮騒の音。
母なる海から
生き物は生まれ
母の海から
人は生まれ…。
波のうねりと潮騒の音。
母と泊りし
海辺のホテルにて
子守唄のように
海は囁く。
過ぎ去りし日の思い出を…。
体を流れる血潮となって…。
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木はいつも笑っている。
ハハハって。
どんな木も笑っている
ハハハって。
木はいつも笑っている。
そよ風の日は小さな声で。
大風の日は大笑い。
ハハハって。
風のない日も笑ってる。
木は誰にも笑ってくれる。
ハハハって。
そうして木は癒してくれる。
佇む人を喜びで包んで…。
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月遅れの端午の節句。
子どもたちとちまきを作る。
粉に少しずつ水を加えて
混ぜてよくこねて
小さな手や
大きな手で丸めて
竹の串を差して笹で包む。
大きな鍋でゆでて
アツアツを
砂糖じょうゆでいただく。
今年もまた
子どもたちと作った
ちまきをいただく幸せ。