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どるとるの日記

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詩人名 : どるとる
詩人ID : gaga777

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ちょっと怖い話B(前編)
2016/05/11(Wed)


「夜の魚」

雨が降り出したのは山に入ってから間もなくのこと。

Dは友人のKとS県にある山に川釣りに来た。

広く知られた話だが山の天気は変わりやすく晴れていてもすぐに天気がくずれ雨が降る。
そんなことは珍しいことではない。

例により雨が降ってきた次第である。

小雨はすぐにどしゃ降りに変わりDとKは雨宿りできそうな場所を探しながら走るとちょうどいい場所があったのでそこで雨をしのいだ。

それから何分かして雨は嘘のようにあがってしまった。
釣りは予定どおりできそうだ。

釣れると評判の川に向かい満足するまで川魚を釣ったあと下山することにした。

それほど大きな山ではなく迷うはずなんてないのになぜか行けども行けども下山できない。

道はあっているはずなのにまるで山が帰すまいとしているように一向に出れる気配がない。

迷うこと二時間、くたくたに疲れ果て少し休もうと腰をおろしたときにはもうすでにあたりは暗く夜になってしまった。

夜の闇の中に懐中電灯の明かりだけがぼやっと浮かんで二人をかすかに照らしている。

音もなくシーンと静まり返った山の中、黙って野宿するかなどと考えているうちに眠くなってしまった。
どれだけ経ったのか、急にDはKに起こされた。

目覚めるとKが顔をしかめながら何も言わずにある一点を指差している。

「ん?なんだ」

そう思い指を差すほうを見ると青白く光る何かが闇の中にうごうごとうごめいている。

闇の中に発光する物体。人がいるのだろうか。

じぃーっとそれを見ていると急に

じゃぶじゃぶというまるで水をかくようなそんな音がした。

川を魚が泳ぐ。そんな姿がイメージできた。

「魚か。でもなんで光ってるのかな」

そんなことを考えているとそのじゃぶじゃぶという音がだんだん二人の元に近づいてくるような気がした。

じゃぶじゃぶ…

じゃぶじゃぶ…

じゃぶじゃぶ…

その音は次第にはげしくなりだんだん泳ぐスピードは速くなってくる。

「逃げよう」

そうKが言う。

続けて

「川は確か逆方向の筈だろ。あっちには川はない」

その言葉を合図にするようにDはKと山の中を走る。

荷物のぶんだけ体に負担がかかり走るのは辛い。だがそんなことは気にしない。

タッタッタ…

タッタッタ…

タッタッタ…

途中で何かを落とした。ヤバい財布かもと思い拾おうとした。

どるとる

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