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ちょっと怖い話B(後編)
2016/05/12(Thu) どれだけ経ったのか、急にDはKに起こされた。 目覚めるとKが顔をしかめながら何も言わずにある一点を指差している。 「ん?なんだ」 そう思い指を差すほうを見ると青白く光る何かが闇の中にうごうごとうごめいている。 闇の中に発光する物体。人がいるのだろうか。 じぃーっとそれを見ていると急に じゃぶじゃぶというまるで水をかくようなそんな音がした。 川を魚が泳ぐ。そんな姿がイメージできた。 「魚か。でもなんで光ってるのかな」 そんなことを考えているとそのじゃぶじゃぶという音がだんだん二人の元に近づいてくるような気がした。 じゃぶじゃぶ… じゃぶじゃぶ… じゃぶじゃぶ… その音は次第にはげしくなりだんだん泳ぐスピードは速くなってくる。 「逃げよう」 そうKが言う。 続けて 「川は確か逆方向の筈だろ。あっちには川はない」 その言葉を合図にするようにDはKと山の中を走る。 荷物のぶんだけ体に負担がかかり走るのは辛い。だがそんなことは気にしない。 タッタッタ… タッタッタ… タッタッタ… 途中で何かを落とした。ヤバい財布かもと思い拾おうとした。 そしてKの持つ懐中電灯の光がこちらを照らした。 Kが叫んだ (ギャアー) その叫び声にびっくりして懐中電灯を向けられた先を見ると人間ほどの大きな魚が二人の真横をザブンと波を立てて通りすぎていった。それはまるで地面を水面のように泳いでいく。 だが、魚というには少し違う。 顔は魚のそれではなく表情のない仮面を張り付けたような人間に近い顔をしていた。 そのあとあれだけ迷ったにも関わらず不思議なことにさほど迷わずに下山できた。 まるで夜の闇の中を水面のように泳ぐ魚のような怪物を見たといっても誰も信じてはくれないだろうが、私もKも紛れもなくこの目で見ました。 どるとる
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