詩人:鰐句 蘭丸 | [投票][編集] |
物心がついたころは市営住宅の5階建て鉄筋コンクリート造の4階で家族で住んでいた
冷たいコンクリート壁にうっすらのペンキで
玄関のドアは重たい鉄板製
天井は粗い突起のある左官仕上げで
和風ペンダントの照明がぶら下がっていた
季節は覚えてないが
夜
家族が寝静まった頃
ひとり目が覚めた俺はペンダントの常夜灯を見ていた
すると
毎回 いつものように物語が始まる
常夜灯の月から かぐや姫が降りてくる
降りてくる最中にもなにやらかぐや姫の付き人や取り巻きが騒ぎを起こしている
無事 降りてくると俺と他愛のないやりとりをして
突然 かぐや姫の爺様と婆様がけたたましく乗り込んできて
やれ月へ帰すの 帰さないのの騒ぎが始まる
俺は蚊帳の外にされ
いつものように
かぐや姫は常夜灯の月へ帰って行く
帰って行く最中にも かぐや姫の周りはなんだか大騒ぎ
やがて俺は眠りに落ちていく
本当にあった事だったのか
夢だったのか
半世紀を超えた今も思い出す
常夜灯のかぐや姫
詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
食べる行為が苦手で
眠る行為が苦手で
性行為なんてもっての外
雑踏の中
歩みを止める人は少なく
精神疾患
病名は数知れず
錠剤は数多く
お薬手帳は今日も忘れた
だけど
私の前で
ジェンダーの話をするな
多様性について語るな
マイノリティを叫ぶな
理解されなくていい
歩み寄らなくていい
押し付けがましい平等だ
知ったかぶった講釈だ
可哀想だと思うのは勝手だが
差し出すその手はハラスメントだ
「構わないで」
「放っておいて」
本気で言ってるなら
今すぐこの詩を破り捨てろ
その姿
その想いを
人目に晒すな
詩人:アルバトロス | [投票][編集] |
僕らは流れ星で出来てるんだよ
誰も知らないうちに通り過ぎってった流れ星さ
溜息が折り重なった夜のくせして
どうしてこんなにも澄んでいるんだい?
君の心を埋めていくのは
液体じゃない気体でもない
棘棘がぶつかりあって
なんて今日もザワつく夜なんだ
軋むよ
このベッドもっと静かにしてくれないかな
詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
次に付き合う人は
君と対照的な人が良い
理想を入力して
創造された君が好い
その瞳に光を宿し
笑顔でも笑っていない
人の心などわからない
それで善い
誰も悲しまなくて済む
誰も傷つかなくて済む
罪悪感は抱かない
一方的に愛すから
不気味の谷を越えるな
歩み寄るのは僕だけで
詩人:EASY | [投票][編集] |
何か果てしないものが
あるんだ
風の吹き場所みたいに
曖昧なくせに
じゃなきゃ吹かれない風のように
絶対的なものさ
君は笑う為の
筋肉を備えてしまったのさ
これが進化論
そんなの、ダーウィンじゃなくてもいいよ
昨日の事を忘れてしまったら
今日はよく寝れるね
そしたら明日は楽しみになるよ
何も変わっていないのに
明日は変わる
だからカレンダーなんか
いらないんだ
本当は時計だっていらないよ
ただ、これはゲームだから
その為にそうしてるだけさ
忘れそうなら窓を開けなよ
今日は幾分、秋の風が気持ちいいから
その風は何処から吹いてると思う?
僕にも君にも分からないし
なんか変な科学者にも
きっとよく分からない
でもね、なんか果てしないものがあるんだ
風の吹き場所みたいに曖昧なくせに
それが吹かなきゃ吹かれることのない
風みたいに
詩人:46 | [投票][編集] |
正解なんてないのに
あなたは間違ってるよって言われるわけでもなく
あの人バカねってあちらでクスクス笑う時間
無駄ね無駄ねあぁ無駄ね
それでも傷つく私あーバカね
必死なだけではダメだから
頑張るのは当たり前だから
そう言われましたが
頑張るのって当たり前だったんだ
ここのマニュアルについていけない
間違ってるなら怒ってください
怒る気ないなら心にしまってください
くだらないこの時間
なんとかしなきゃ
詩人:EASY | [投票][編集] |
空っぽな空き缶
こんな表現は詩に適している
言葉の適切性を撃ち落とす為に
核の使用は許されるべきだ
自由に対してはもっと開かれるべきで
それはそうである事の可能性を全て受け入れる
善悪は全て、滑り台みたいに
スリルに満ちている
曇りと雨の境界線は曖昧だ
それより少しだけ、人間が決めた境界線は曖昧だ
例えば、塩ひとつまみじゃ足りない時に
指にまとわったその塩を絞り出す様なものだ
そんなことの為に
僕は生きているんだ
いや、そんなことの為に君を愛しているんだ
どっちだか分からないくらいの方が
いいこともあるんだ
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
考えてしまう
しょうがなさ
ああであれば
もっと
こうであったなら
もっと、もっと
考えて、考えて
考えてはみても
抱き締めて、抱き締めて
毎日、毎日
考えながら
過ごしてみて
それよりもなにより
やっぱり
好きで、好きで
しょうがない
詩人:小さな貝がら | [投票][編集] |
いつこの命途絶えてしまうか
分からない
難病って怖い
自分の目で見ても
変化等分からない
だけど痛んだりする事もあると
不安だけが襲ってくる
なのに見た目
あまり変化がないからか
主治医は病気の経過の受診を
終わらせたいようだ
先生が変わってからだ
前の先生は3ヶ月毎に
診てくれていたのに
もし受診やめてしまったり
あまり受診しない間に
悪化して癌化した時に
何か責任とってくれる
訳でもないのに
次の受診が不安だ
いい加減に対応
しないで欲しい
将来に心配のある
家族と暮らしてるから
こんな心のさ
叫びなんて聞こえないんだろう
1人悩んでも
そんな自分の心
支えてくれる人さえいない
私はひとりぼっち
詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
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夜のなかに生まれ 朝のなかに育つ
愛は空へ走る青い羽の鳥
闇のなかで見えず 君以外は見えず
月の示唆するまま流れに染まりて
ゆらゆら ゆらゆら
漂い 歌うよ 気のむくまま
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