詩人:EASY | [投票][編集] |
光りは意識を反射して
夏の昼間をお膳立て
ポジティブみたいな太陽が
夜空みたいな輝きだ
お腹が空いた猫たちの
毛並みが綺麗に見えるのは
至れり尽くした現代の
優しさみたいな微笑みだ
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
蓋のある漆黒の
グランドピアノの弦を
こそばゆらせるように
黒い猫の尻尾が
弦を撫でている
見上げると
ステンドグラスが
爛漫と輝き
人の自責を拾おうと
手をさしのべている
蓋の中から
そっと、降り立った黒い猫は
鉄の釘のような匂いの
まるで女の性を摺り付けるように
ピアノの足を撫で
じっくりと固唾を呑むような
わがままさで
私の足に辿り着く
いいよ
私の膝の上に
お乗り
きっと優しく
撫でてやろう
私も私の性を
擦り付けるように
詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
峠を下れば左手の谷間に
流れも清らな小川が見えるはず
半農半漁の小さな世界まで
ゆらゆら流れる小さな川のうた
若菜川よ 若菜川よ
誰のために行く
僕もいつか川を伝い
あの人の里へ
若菜川は 若菜川は
浅い春のいろ
そして今日も
あの人とは会えないよと
告げた
・
・
許されるものなら僕も川になって
夢見たあの人を焦がれて流れたい
若葉の光を反射してただよい
小さな憂いを集めた川のうた
若菜川よ 若菜川よ
好きな人を得よ
僕もいつか川になって
あの人の許へ
若菜川は 若菜川は
僕を待たず往く
そして今日は
このあたりで引き返せと
告げた
─────
─────
詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
誰が為のliar 己が為のliar
嘘に嘘を重ねて生まれた虚構の火種は
現実へと侵食してfire
愛想笑いに疲れる君は嘘が嫌いだ
信じる者は報われない
罪悪感と背徳感の間を行き来する
脳内麻薬が僕に苦悩と悦楽を与える
隠れてこそこそコソ泥みたいに
小さな欲望を叶える
嫌がる君の顔は見たくはないのに
バレるかバレないかのスリルを味わいながら
塵も積もれば山となる罪と嘘を重ねてゆく
作り物のエンタメにハマらない人はリア充か
といえばそうでもなくて
平日は仕事や人間関係にヤられて疲れが蓄積し
帰宅後も土日も興味のないショート動画を見続けて
あとは眠るだけ
君が悪夢にうなされている間
僕は虚構に現を抜かしながらこの手を悪に染める
昔みたいに仲良く手を繋いで遊びに行けないな
追求されれば苦しい言い訳をして
後ろ手で君から見えないようにまた罪と嘘を重ね
事実は小説より奇なりに基づく実話ベースで小説を読んで
酸いも甘いも現実も知った気になって
毒にも薬にも金にもならない妄想で毎日を潰して
小さな小さな器を満たす
溢れんばかりの汚水を啜り
分泌された脳内麻薬と共に味わって
もう終わってる人生を反芻するお前はクソだ
嘘が嫌いな君は全てを暴いて真実を突きつける
悪夢から目が覚めてもまだ悪夢を見ているような目で僕を見て
失望して涙も出ないよな
絶望するよなこの世界に
罪深い嘘を説くイエス
フィクションよりも馬鹿げたノンフィクション
この手で作り上げ 強制的に観せた
興味のないショート動画よりくだらない嘘にまみれたリアル
誰が為のliar 己が為のliar
眩しい光に集まる羽虫の習性のような欲望は
やがて我が身を焼き焦がす
だけでなく 燃え盛る黒い炎は
それでも信じた最愛のマリアまで焼き尽くす
誰が為ののliar 己が為ののliar
嘘に嘘を重ねて生まれた虚構の火種は
現実へと侵食してfear
二人幸せだった思い出まで含めて全てを焼き尽くしTHE END
あとに残るのは焼死体が二体
なんてこったい 笑止千万
しょうもないどうしようもないショータイムで昇天してBAD END
詩人:里雨夜 | [投票][編集] |
ようやく一息つく
爆速でハイハイの音がする
眼鏡を取ろうと体を伸ばす
あごに頭が触れる
駆け寄る足音がきこえる
背を向けて座り体を預けてくる
あごに頭が当たる
腰を伸ばし立ち上がる
おずおず上目遣いで近づいてくる
抱き上げるとおでことおでこがこんにちは
詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
蝉の鳴く一生 とても短いと
昔から嘆かれ歌い哀しまれ
エゴだろう 人間の生も短い
五・七・五のリズムに乗せて
歌を詠むあなたの姿 鏡見てんの?
型にハマった生き方をしても尚
慈悲の心で哀れむなんて
鶴は千生きて 亀なら万生きて
人は百まで生き切れば良いほうで
それぞれの時間に違いはあるけれど
五・七・五のリズムに当てて
歌を詠むあなたを見て
鶴や亀なら嘆くだろうか
ましてやさぁ?
蝉を見ながら一句
歌を作るような真似しないって
五月蠅と書いてウザいと読むのはいいとして
情に任せて情を移して情に浸っているのはね
五・七・五のリズムに合わない
僕自身 超個人的感想で感情なので
鶴や亀からすれば似た者同士
人はみな人かな
五・七・五のリズムに乗せて
歌を詠むあなたの姿 僕も作るよ
型にハマった生き方を歌にして
心の隙間を埋めて・・・
詩人:桜井 楓 | [投票][編集] |
雨の降る通り
街路樹から落ちていく雫
古い街並みに見えるのは
あの頃に通(かよ)ったレコード店の
閉じて錆びたシャッターが
どれだけの時間が経ったのかを
僅かばかりにズレた
記憶の断片が
必然的に頭の中に閉じ込めた…
人は誰もが
気にしまい、大したことではないと
思い続けると
かえって
古い滓(おり)が水面へ浮かんでくるように
思い出してしまうもの
本当に忘却できぬそれは
まるで
雨で溜まった水面に薄氷が張り
それを知らぬ間に誰かなのか
はたまた陽の光が溶かしたのか
一度は無くなり
しかしまた一晩にして冷えて凍りついては
再び覆い被せるものとなる…
いつかは明けるとは知りつつも
それがどのような姿であるのかは知らず
たかだか知れた人生に於いては
この街並みの歴史に刻まれる事はなく
だがしかし
確かに触れた雨の雫は
古の内心とは差異もなかった…
詩人:とーれぱすて | [投票][編集] |
何かどこかで繋がっていたくて
できることはやってみた
全部が中途半端で
どこにも繋がりやしなかった
探せるものは探した
全部をみんなが知っていて
何もなりやしなかった
誰も知らないきみを知りたい
きみさえ知らないきみを知りたい
僕のことはいい
きみのことだけでいい
全てが一つも許されないこの距離に
今日も手を伸ばす
抗うように
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
真っ白なパレットに
白い絵具をチューブから捻り出す
筆洗いに筆を浸し
どうにも気持の良い気持ちが
気持ち良く水面に広がり
頭の先より
真っ白だらげな心地が雲よりも
理由のような衝動となって
広がって行く
とりはいない
これは
航海なのか後悔なのか
旅だけが、ありのままにつづく
「あてどない」か
そんな事はない
行く先はある、行く先しかない
間違いなく
なんにもならない
ためらいも、容赦も寛容さもない
ごく普通
まっ白いを
愛しているを、愛してはいる
画紙もいらない
詩人:EASY | [投票][編集] |
懐かしさを太陽に
重ねた音を聴いてみて
肌色に染み込んだ
モンゴロイドな僕の耳
肌触りは青くって
耳障りな感触は
480ヘルツら辺の
角を曲がったアパートの
下町風味な味がする