詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
物語は
誰の手のとどくところにも
きっとあって
それは
誰の事も
見限ったりは
しない
机からこぼれ落ちて
気づかれないままの
消しゴムですら
落とし主に
気づかれなくとも
間違いなくそれは
そこにあり
消えたりは
しない
消しゴムは
持ち主を
置いてきぼりにできず
始まりから
仕事をしている
胸のすくような
潔い
終わりたくない
終わりに
奔走する
掃除機にでも
吸い込まれたか
あるいは
猫が咥えて
とんずらしたか
いや
消えたりは
できない
消すのが
役割なのだから
物語を
消してしまうかどうかは
持ち主が
決める
役割なのだから
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
黄金の折り紙で
何を折ろうか
貝がいいか
蟹もいい
タコも
魚も
黄金色の折り紙は嗅ぐと
一万円札の匂いのよう
日差しにかざせば
眩しすぎて
よくわからない
それがいい
なんだか
いい
詩人:とーれぱすて | [投票][編集] |
きみをまってる
ずっと ずうっと。
間接的すぎてごめんなさい
一番嫌いだよね。
でもこうするしかないんだ。
ここに、ここで、こうするしか。
君の右手の薬指。私の左薬指。
もし、もしまた2人で会えたなら、
もう言葉なんてなにひとついらないんだ。
ありったけのちからで
ただ君を抱きしめる。
きみをまってる
ずっと、ずうっと。
あの時と変わらないよ。君を待ってる。
えっと、君は変わっててもいいんだ
私は変わらない
いや変わっているんだ、
でも深く深く変わっていない
君への変わらない想い
港で待ってる、ずっと、ずうっと。
詩人:beet | [投票][編集] |
明日、自分の人生が終わったとしても
それはいずれ来ること
早いか、遅いか
生まれた瞬間、いやこの世に生を授かったときから
それは始まっている
ならば、人生とは何なのか?
誰も答えが出せない
だからもがく
だから苦しむ
だから笑う
だから泣く
そして、人の意志は受け継がれる
そして、経験してきた事象、訓戒、知識
技術もまた、受け継がれる
それが、人類の歴史
詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
・
生まれたばかりの愛 君の前で光れよ
笑い声をたてよう 妖精たちのように
泉へ いつか行こうよ
静かな瞳がほしい
透明な宝石を 森の奥に探そう
軌道それた惑星 森の奥に探そう
泉が 今日も呼んでる
涼しい瞳がほしい
女神たちの沐浴(もくよく) 僕は見てしまったよ
それで殺されるなら それも仕方ないこと
泉が 夕陽を抱くよ
寂しい瞳がほしい
───────
───────
詩人:梅宮 蛍 | [投票][編集] |
虫の音と風が部屋に滑り入る
ベッドに横になったまま見上げた窓の向こう
下弦の月が逆しまに居る
今日も何もなかった
明日もきっと何もない
満ちず欠けず 歳だけが過ぎる
そんな日々もそう悪くはない
風は幾分涼しくなった
詩人:beet | [投票][編集] |
愛の詩は唄わない
無駄な愛は要らない
それは言わない約束
取り敢えず大丈夫だ
きっと上手く行くよ
大人になって
親になったりして
全て遠い過去に感じてる
君の詩は要らない
耳の無駄は要らない
それは言わない約束
取り敢えず大丈夫
きっと上手く行くよ
誰も見てくれない
誰も聞いてくれない
終わりのない用事をこなしながら
youtubeを見ながら寝落ちしてた
孤独になって
それを自由と都合よく解釈する
犬の動画みて、また眠りにつく
ただの詩は要らない
ただの無駄はもっと要らない
それは言わない約束
取り敢えず大丈夫だ
きっと上手く行くよ
詩人:EASY | [投票][編集] |
最悪と最高の違いを語れる人類は
類いまれている
ため息と深呼吸は
風船を膨らませる時
同じ空気を出すからだ
五次元の数学は
地球で言う所の
小学校の低学年の
道徳とよく似ていて
それは大人が最も苦手なものであると同時に
ピーマンが苦手な子供の周波数を帯びている
自由がどんなものであるのかを
僕たちは知らない
不自由であることさえも自由であるなら
星はどんなに輝き、風はどんなにも気持ちがよいのだろうか
命は終止符ではなく、持ち物である
君のポケットの中にあるビスケットみたいなものだ
それは粗末でないけれど、その全てではない
ただ甘くて懐かしく、哀愁に満ちたものだ
普通に無欲なら、普通に欲深いんだ
特別に作られた君の涙を僕は愛してる
それは否定を必要としない
僕たちの象徴だ
何かが終わったなら、どんな風に終わったか
僕に教えてくれないか?
君がそれを終わった後に話すのは
まるで宇宙の終わりの壁の向こう側を
アイスピックを持って掘ったら、
どうなるのかという会話を
僕と笑いながら話しているようなものだから
どうにもならないことが
この世界をどうにかしたことがあるの?
僕は本気で笑いながら君に言うよ
どうにかした事があるのなら
それは僕が笑って、君に話しかけたことくらいだから
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
蝶を捕まえてみて
逃してやると
その羽の
鱗粉が細かに
指先に残っていて
こんなふうに
細やかなものなら
羽ばたいている最中にも
大気に僅かに
振り撒かれているのだろう
ついでに
持っていた地図を
何片にも破いて
破いて破いて
口に入れて食べてみる
味はしない
その後に
人差し指を舐めて
鼻先で匂いを確かめ
そっと宙へとかざすと
ほんの少しだけ
舐めてやっただけなのに
風で乾いていくのが
よくわかる
そう言えば
あれが蝶の
鱗粉の
味だったのか