詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
時には
安楽椅子で
過ぎた昔を思い起こす
別れた
あの人たちの顔はみんな
微笑み浮かべてる
私はどこまで行くの?
終着駅にはいつ着くの?
つまづき 忘れられても
黙って歩けば近づくの?
輝きを失って
心年ふりて
素直な言葉さえも
疑ってしまう
無明のときがもう
私を閉じ込める
────────
────────
詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
雨もよいの日に
待っていてほしい
大きな画集を持ち
黄色い服で会いにいく
若葉の頃には
思い出せるでしょう
幸せに囲まれて
どうして人が泣くのかを
嘘を操るの
すでにやめました
わたしのことが気になるなら
手紙をください
──────
──────
詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
古い映画のように色が戻る
時間がたつとともに胸が痛む
もっと遠くにいたい
──おねがい
遠くの光が怖い
舞いたつ破片(きらら)のように
何度も瞬くせいで
見返す勇気を減らす
・
・
今も心に残る辛い昨日
私みたいな人を抱いたあなた
夏の終わりに決めた
──さよなら
学生通りをゆるく
行き交う人々たちは
みんなが笑顔をつくり
孤独を追い越していく
──────
──────
詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
疲れはてた溜め息でもいいから
伝えられるものはすべて
わたしの背中に預けて
そしりも 涙も わたしに返して
あなたの大事な彼女(ひと)が泣くまえに
あなたはきっと優しすぎるから
──おやすみ おやすみ
わたしは
──おやすみ おやすみ
さびしさも
愛してゆける
──────
──────
詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
歳を重ねて垂れる乳
爛れる皮膚 痒い痒い
だらしのない
見せる相手のいない
醜い肢体は
自分さえ受け入れられれば
誰にも許しを求めなくて良い
嗚呼どうしてこうなった
漠然とわかっていたクセに
己の怠惰を
根拠のない自信が
結局 虚飾であることを
ぬるま湯はその分
冷えるのが早い
止まらない震え
思考停止
心肺停止まであと少し
詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
ひとりぼっちのワンルーム
君とまた話せるようになるには
まだ足りないか
生活していくのに苦労はあるが
一人でも生きてはいけている
人の声を再生すれば
どうにか孤独にも耐えられる
灰色の空を見れないくらい
家に閉じこもる一日も
薬があれば狂いはしない
ひとりぼっちのワンルーム
君とまた話せるようになるには
まだ足りないや
時間が経てば記憶は薄れるなら
夢を見るたび
どうして鮮明になっていくの
息遣いまで聞こえてきたら
あと一歩かな
ひとりぼっちのワンルーム
君とまた話せるようになるには
まだ足りないか
詩人:猫のあし | [投票][編集] |
秋の夕方
やらなきゃいけないことはあるのに
何もできなくて
やる気にならなくて
なんとなく外を眺めて
一日を過ごした
空はずっと雲がかかって
家は電気をつけないとなんとなく暗くて
のんびりの過ごし方も分からなくなっちゃったなと
何をしていいのか分からないまま
どんどん夜が深くなる
夜はなんとなく眠れなくて
明日が来るのが憂鬱で嫌で
でも、いつの間にか眠っていて
朝になってる
そんな毎日
詩人:EASY | [投票][編集] |
命を耕す畑では
とても熟した権力が
大量生産されている
そこから見える太陽が
皮肉に綺麗に見えるのは
AIが言いそうな
ブラックジョークとよく似てる
詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
酸いも甘いも知ってまだ
地に足をつけてないから
十代の子の弾き語る
青い唄を聞いて
浮き立つ心と地蔵の体
鏡を見ろよ
お前はケツの青い
皺くちゃの赤ちゃん
若さはない幼さは
実社会から爪弾きにされ
と言うか逃げるように
閉じ籠もった六畳間で
自分探し
みんなやさしいからね
疲れたなら休んでいいよ
って言う
苦しまないで無理をしないで
わたしは心身衰弱
最初は本当だったんだろう
救いの言葉を鵜呑みにして
いつまで休むつもりだ?
少し歩いただけで
呼吸が乱れる
ダメだ
鬱で死にたくなる
そりゃそうだ
ずっと寝たきりだったんだから
重い重い腰を上げて
錆びた手足を動かせば
軋む心臓に痛みも伴うよな
足の裏から伝わる衝撃が
怠惰な我が身を疾走し
ぼんやりする頭を揺らす
何もしなくても湧いてくる
これらを形にして
藍より青い唄より青い
それらを世に出したい
十代の子にも
寝たきりの誰かにも
見せたいものがあるんだ
書き出しは違えど
行き着く先はいつも同じ
わかってるんだろ
救いの言葉はまやかしだ
他人の優しさを都合よく言い訳に使うな
よくあるあるあるあるあるクソッタレの半生
だけど歴史には微塵も残らない人生を歩んでいるのがお前
何も残せずに終わるごく普通の人の生
どうせそう
それでも
いつか斃る日まで
踠いて足掻いて虚しくなって
特別な才能はないと気付いても
誰にも必要とされず
誰にも見向きされなくても
この行為に何の意味もなくても
別にやらなくてもいいんだよ?
いつまでも休んでいてもいいんだよ?
それでもやるしかないんだ
死ぬまで苦しみ続けても
やることをやるしかないんだよ
それ以外に答えは無いから
お前がお前自身を納得させるには
それしか無いから
特別な才能がなくても衝動がある
運がなくても湧き続ける着想がある
頭の中にあるそれを
それらを形にする
表現する
創作する
発表する
それを続ける
死ぬまでやり続ける
無駄じゃない
なんて言わない
無駄だよ
今すぐ死んだ方がいいかもしれない
それでも気付いてるんだろ?
他に選択肢はないと
唯一無二の無為を
無為のまま無にするな
やれ
やるしかない
やれ