詩人:里雨夜 | [投票][編集] |
ようやく一息つく
爆速でハイハイの音がする
眼鏡を取ろうと体を伸ばす
あごに頭が触れる
駆け寄る足音がきこえる
背を向けて座り体を預けてくる
あごに頭が当たる
腰を伸ばし立ち上がる
おずおず上目遣いで近づいてくる
抱き上げるとおでことおでこがこんにちは
詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
蝉の鳴く一生 とても短いと
昔から嘆かれ歌い哀しまれ
エゴだろう 人間の生も短い
五・七・五のリズムに乗せて
歌を詠むあなたの姿 鏡見てんの?
型にハマった生き方をしても尚
慈悲の心で哀れむなんて
鶴は千生きて 亀なら万生きて
人は百まで生き切れば良いほうで
それぞれの時間に違いはあるけれど
五・七・五のリズムに当てて
歌を詠むあなたを見て
鶴や亀なら嘆くだろうか
ましてやさぁ?
蝉を見ながら一句
歌を作るような真似しないって
五月蠅と書いてウザいと読むのはいいとして
情に任せて情を移して情に浸っているのはね
五・七・五のリズムに合わない
僕自身 超個人的感想で感情なので
鶴や亀からすれば似た者同士
人はみな人かな
五・七・五のリズムに乗せて
歌を詠むあなたの姿 僕も作るよ
型にハマった生き方を歌にして
心の隙間を埋めて・・・
詩人:桜井 楓 | [投票][編集] |
雨の降る通り
街路樹から落ちていく雫
古い街並みに見えるのは
あの頃に通(かよ)ったレコード店の
閉じて錆びたシャッターが
どれだけの時間が経ったのかを
僅かばかりにズレた
記憶の断片が
必然的に頭の中に閉じ込めた…
人は誰もが
気にしまい、大したことではないと
思い続けると
かえって
古い滓(おり)が水面へ浮かんでくるように
思い出してしまうもの
本当に忘却できぬそれは
まるで
雨で溜まった水面に薄氷が張り
それを知らぬ間に誰かなのか
はたまた陽の光が溶かしたのか
一度は無くなり
しかしまた一晩にして冷えて凍りついては
再び覆い被せるものとなる…
いつかは明けるとは知りつつも
それがどのような姿であるのかは知らず
たかだか知れた人生に於いては
この街並みの歴史に刻まれる事はなく
だがしかし
確かに触れた雨の雫は
古の内心とは差異もなかった…
詩人:とーれぱすて | [投票][編集] |
何かどこかで繋がっていたくて
できることはやってみた
全部が中途半端で
どこにも繋がりやしなかった
探せるものは探した
全部をみんなが知っていて
何もなりやしなかった
誰も知らないきみを知りたい
きみさえ知らないきみを知りたい
僕のことはいい
きみのことだけでいい
全てが一つも許されないこの距離に
今日も手を伸ばす
抗うように
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
真っ白なパレットに
白い絵具をチューブから捻り出す
筆洗いに筆を浸し
どうにも気持の良い気持ちが
気持ち良く水面に広がり
頭の先より
真っ白だらげな心地が雲よりも
理由のような衝動となって
広がって行く
とりはいない
これは
航海なのか後悔なのか
旅だけが、ありのままにつづく
「あてどない」か
そんな事はない
行く先はある、行く先しかない
間違いなく
なんにもならない
ためらいも、容赦も寛容さもない
ごく普通
まっ白いを
愛しているを、愛してはいる
画紙もいらない
詩人:EASY | [投票][編集] |
懐かしさを太陽に
重ねた音を聴いてみて
肌色に染み込んだ
モンゴロイドな僕の耳
肌触りは青くって
耳障りな感触は
480ヘルツら辺の
角を曲がったアパートの
下町風味な味がする
詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
夢の入口だね
あなたの住む町は
過ぎた日の優しさを思い出す午後
そして笑い声が
光とたわむれる
悲しみが遠ざかる そして温もり
──人が学べることは
あまりに少ないけど
──人が愛せるものは
数えきれないほどに
この町のあちこちにあるよ
和楽団地
・
・
愛を試すものは
いつでも多いけど
永遠の約束も信じられるね
弱気になるときも
未熟を恥じる日も
あなたを思い出せば
うまくいくはず
──僕が歌えることは
あまりに少ないけど
──歌いたくなるものは
数えきれないほどに
この町のあちこちにあるよ
和楽団地
──────────
長崎県西彼杵郡長与町
──────────
詩人:梅宮 蛍 | [投票][編集] |
ねぇ マチルダ
きみの笑顔が 今日の日を鮮やかに 染め替えるよ
白く濁った目は総ての景色をぼやかしてしまうけど
きみが笑ってくれる日は
なんだかくっきりとして見えたんだ
ねぇ マチルダ
きみの笑顔が 世界を鮮やかに 包み込むよ
悲しい事ばかりが耳に飛び込んでくる インターネットも 現実も
きみが笑ってくれる日は
距離を置いて息をつけたんだ
僕達は こんな時代に生まれたね
とても便利で とても豊かで きっととても恵まれてる そんな時代
知らないままではいられなくて たくさんのものを持て余して 疲れ切った そんな時代
ねぇ マチルダ
僕は今でも きみを探して時々泣くよ
街角に 道の向こうに 街路樹の影に
見慣れたワンピースが見えた気がして
走って近づくけど誰もいないんだ
ねぇ マチルダ
きみの笑顔が 僕の時間を鮮やかに 止めてしまったよ
ねぇ マチルダ
悲しいニュースは 今も流れてる
ねぇ マチルダ
ねぇ マチルダ
愛してたよ
詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
弦(いと)に滑らす指を見ていた
風になろうと弦は泣いてた
光の庭で都会を忘れ
無邪気な心取り戻そうか
コン・ソルディーノ
君の声は小さすぎるよ
少し硬いし
コン・ソルディーノ
君は音楽
・
・
青いドレスを褒めてみようか
それとも細い脚にしようか
画家も詩人も出番がないよ
君は君だし 今は今だし
コン・ソルディーノ
君の声はかき消されるよ
少し痛いし
コン・ソルディーノ
君は音楽
──────
──────
コン・ソルディーノ・・・弱音器をつけて
詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
ミナソコノアオニ ポツリ オボロヅキ
今際の際に流すエンドロールに使いたいな
眼前に広がる景色はどこまでも続く地平線と
藍より青く塗られた群青の空
放物線を描く七色の向こう側から光が射し込む
自然のステンドグラスだ
神々しさを感じて訪れる涙
自分にもこういう感情があったんだと
気付かせてくれる絶景に
どれだけ人生の旅を重ねようと度々は出逢えないが
同じ道を辿っていてもふとした時に見上げた夜空が
心に残っていたりする見慣れた景色のはずなのに
ネオン街から離れてもまだ白む都会の夜に浮かぶ月が儚い
それは自身の大切なバックグラウンド
心象に残る風景 一番奥の奥にあるのは夜を描いたレイヤー
深層に潜む背景 それはフェイク動画のような
湖のほとり 水面に揺れる朧の月 思い出は写し絵
良いように改竄されていたとしても誰も迷惑しないだろう?
昔に浸るのは夢を見るまで 過去の切り貼りは夢の中で
スクリーンに映し出される物語のピースはまだ足りないか
席に着くのはもう少しあとかな
朝の隨に 白昼も其処其処に 黄昏は徒然に 宴も酣に
今宵もひとり
帰り道に振り返るとそこには
The ephemeral Oboro moon, shimmering against the backdrop of the watery depths of my chest, bluer than indigo, dwells in the very core of my being.
(藍より青い胸の奥の水底を背景に揺蕩う儚い朧月が僕の根幹に宿っている)