ホーム > 詩人の部屋 > 新着順表示

新着順表示  〜 新着順に10件ずつを表示しています 〜


[198391] 無垢
詩人:遥 カズナ [投票][編集]


たまに、なのだが
だいたい8時頃に
車を大通りへ、乗り入れようとすると
ちょうどすぐ左の路地から
オバーが日傘をさして
メガネをかけた
中学生くらいの女の子と
寄り添うように
歩いて、出てくる

出勤時間を最近
遅らせたせいか
よく見かけるようになった

度々、観察していたのだが
どうやら、少女は
視力が弱いようで
こちらの車の前を
横断歩道で
二人が横切る時には
オバーは右手で彼女の左手を抱えるように
手をひいて
そうして道路を渡って行く

どうしてなのかは分らないが
二人を見かけた日は
元気づけられて

なにかしら楽になって
その日を一日を安らかに
始められる

2024/07/13 22:55



[198389] 色たち
詩人:EASY [投票][編集]

正しいことは
正しいことではなくて

正しいことは
間違ってるって

思わないことだ

2024/07/10 17:39



[198387] 【闇の果てへ】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


泣き濡れた町を
出れば逃れられる

行き先も知らず
飛ばせ 闇の果てへ

アクセルを踏み
悲しみこらえ
逃げる逃げるセリカ

養鶏場の前のカーブで
猫をはねたけれど

咎める人もいないのね


未練だけ残し
砂を噛んだタイヤ

反射して襲う
デリニェータの光

追いかけないで
あなたとわたし
今日で終わりだから

暴力さえも沈黙さえも
追いつけない彼方

取り戻せないあの影絵

泣き濡れた町を出ても
泣くと思う

行く先も違う自由な人でさえ

平成〇〇年の誕生日まで有効──

わたしの免許では
追いつけない彼方
追いつけない明日
追いつけない

あなた

────
デリニェータ・・・ガードレールやトンネルの側壁にある小型の反射板
────



2024/07/09 21:21



[198385] ──弔辞───
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]

深妙院華生日芳信女。

あなたは私のたったひとつの自慢でした。

────
────

2024/07/07 07:08



[198383] 想像の風船
詩人:EASY [投票][編集]

雨に濡れる理由とか
研究している博士とか

アリのいない世界での
アリ地獄という虫だとか

吸いたくないのに吸ってみる
タバコみたいなものだとか

晴れた日に撫でたくて
逃げられてみた猫だとか

2024/07/05 19:24

[198382] 【ここにないもの】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


雨だれが庭を打つ
意味のない日曜日

自転車が濡れるから
買い物に出られない

 歌は資源にならない
 心は痩せてゆく

ここに神はいない
敵もいないけれど

ここに君はいない
時間を戻しても

ここに君はいない


読み飽きたはずの本
それなのに手に取った

猫たちは会いにくる
感情のない味方

 樹々は試薬にならない
 焦りがつのるだけ

ここに祝福はない
焦土は遠いけど

ここに惻隠(そくいん)はない
救いは未定義だ

ここに惻隠はない

────
────

2024/07/04 20:47



[198375] 【ナメクジ・スケルツォ】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


伝令を走らせろ
すべての仲間を呼べ
人類が滅ぶのを
見届けてやる
ためにだ

 祖先の祀(まつ)りを
 忘れたせいだ

長生きをしたいなら
行儀よくすることだ
異教徒の入れ知恵に
耳を貸さない
覚悟で


墓碑銘を彫り直せ
死者に名誉を返せ
不可逆の存在を
忘れてしまう
ためにだ

 梵語のspellを
 忘れたせいだ

因縁が怖いなら
信念を持つことだ
泥仕合するまえに
死に化粧する
覚悟で
─────
─────
spell・・・呪文という意味もある。
─────

2024/06/25 20:22



[198372] 天啓
詩人:高級スプーンあと何年 [投票][編集]

辛抱強く閃きが降りてくるのを待つ
君はきっと生粋の表現者だ
そんなアーティストの作品を見て
凄惨な事件のニュースを見て
くだらないSNSでのやり取りを見て
浮かんだ着想は君と同じと云えるか

天啓とは呼べない思いつきのイデア
考え始めれば どこかには辿り着くもので
正解とは呼べないものでも
思いを形にすることは出来てしまう

たとえ美しくなくても
たとえ面白くなくても
才能がなくても
紙とペンがあれば
今ならタブレットがあれば
閃きがなくても思いつきで描けてしまう
天才じゃなくても
君じゃなく僕でも
表現できてしまうんだ
せいせいできてしまうんだ
評価が得られなくても
誰にも見向きされなくても
世に出た作品を見て
君は何と云うだろうか

湧くかインスピレーション
動くか食指
思い出すか初期衝動
新たな名作の礎に
根幹にキッカケに
ほんの少しでいい
静電気程度の閃光を
君や誰かに走らせられたなら
僕も何者かを名乗れるかもな

2024/06/21 18:10



[198371] 【時津】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


今も忘れない爽やかな彩り
僕の好きだった伸びやかな光

君が忘れたら季節は置き去りで
切り取られたまま埋もれてしまうだろう

 僕はここで生まれたわけじゃなくて
 はがゆくてもどかしい愛しかなくて

夕暮れには夕暮れ色
雨降るなら雨の色に 
染まることしかできず


確かめたくても時は戻せないし
記憶にノンブル打つこともできない

 僕はここに住んでるわけじゃなくて
 柔らかく臆病な愛さえなくて

夜明けにはコバルト色
海騒げばさかな色に 
染まるだけでもいいか
─────
─────

2024/06/21 07:15



[198370] 【はるか空に夢の世紀】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


心地よい風だね
話すこともないね
柔らかい風だね
ラジオが聞きたいね

僕が歌うのには地球は重すぎる
君の合い言葉は百も知ってるけど

はるか空に夢の世紀
君だけを信じてる 夢の世紀


古典を読みたいね
楽譜を書きたいね
ワープロ打ちたいね
お寺に行きたいね

大きな蜘蛛の巣が地球をだめにする
僕は誇り高い文盲でありたい

はるか空に夢の世紀
君だけを見ているよ 夢の世紀

はるか空に夢の世紀
君だけに会いたいよ 夢の世紀
─────
─────

2024/06/20 21:36
5167件中 (181-190) [ << 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 >> ... 517
- 詩人の部屋 -