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浮浪霊の日記

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詩人名 : 浮浪霊
詩人ID : strayghost
年 齢 : 37歳

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めも
2010/11/21(Sun)

私的にはアイアムアヒーローの早狩比呂美ちゃんは、性格あのままで可愛い系の男の子がよかったとおもう。


★☆★


共有幻想『黒衣の女』の話


★☆★


網上楽土(まほろば)を


★☆★


 鬱は治る病気
 薬を飲めば二週間であっさり症状が緩和するよ
 だって脳内の化学物質の分泌異常に過ぎないんだもん。

(作業中のパソコン画面から目を移すと、
 彼は頬杖をつきながら一見無表情に携帯をいじっている)

 君の不幸なんて、そんなもんなんだよ。

(私は彼の表情筋が笑う一歩手前の状態にあるのをみとめ、
 彼がまた何かろくでもない事を考えている事を知った)

 放置すればあっさり死ぬ程度の、治る病気。
 人間の不幸なんて、その程度のものなんだよ。

 

浮浪霊

弐號試滅 【実動風紀】 肉之章 / 靈的破局 - PsychoHazard / 共歐圏二
2010/11/20(Sat)

「好い犬達だね」
『アヤメ』は、手に携えた猟銃で庭の方を指した。
「毒を食わないんだもの。殺すのが大変だった。飛び道具に対する訓練もしたんだ? 誰の相手を想定してたのかな?」
酷くにこやかな声特徴、そしてその極端な無表情の合成は、不気味の一言だった。





 その事件は、金曜の夜、南区分校との連絡が途絶えたことで始まった。
当初、電子連絡網にまた技術的問題でも生じたのだろうくらいに考えられた。技術部込魂のインフラで生徒総聯の継承する文明の象徴だったが、如何せん子供がでっち上げたもの、週に一回は断線するのが常で、命令されるまでもなく技術部は週二回の定期点検を繰り上げ、明け方三人組の整備班を街に派遣した。 
この整備班が帰ってこなかった。更に不気味なことに、都心からの朝毎の物資供給も途絶えた。

また彼らの出発と入れ違いに、市街からの最初の…少数の、救援要請も兼ねた避難民が校都に到着し始める。午前中十六人が、正午を挟んで雪崩を売ったように五十人余りが命からがら、助けを求めて校都に辿り着く。内二十人余りが酷い咬傷を負い、四人が間も無く死んだ。

彼らは言った。
犬の群れが街に溢れ、人間を喰らっている。

そして八時ごろ、街での異変について学府に相次いで連絡が入る。


二番校都より総聯各校に告ぐ、警報。
数百匹規模の猛獣化した犬が油井市南部に氾濫、
猛犬の一部は弊校の管轄街区の一部、及び二番校都本校周隣まで到達、少なくとも九人の死亡を確認。
事態が把握できない。情報を求む

登美野区分校より本校へ緊急連絡
分校周辺に野犬の群が出没!
街区巡回に出た分校生は未帰還、南区分校との定時連絡は途絶した。
救援を要請する! 充分な兵力の派遣を求む、注意されたし
件の野犬群 人間の襲撃をまるで躊躇せず!

こちら番長連合都心部。
これは一体何の冗談だ?
市南方より都心部へ数百匹の野犬が殺到、妖精帝國を包囲。人食いだ。
何人か食われた、うちの物資供給班は三番校都へ到着したか? してたら事態が収拾されるまで先方での保護を求む。謝意


血まみれの浜川天下班長代理が抜身の刀を手に、狂ったような速度で自転車を駆りご登校遊ばれたという。井浦基樹副委員長は保健室で手当てを受ける彼女を見舞う。彼女は全身が血に濡れて真っ赤だった。
「もうね、すんごい追い縋って来んの」彼女は腿に負った噛み傷…幸いにして、かすり傷程度…を保険委員に診て貰いつつ、くすくす笑ってのたまった。「大丈夫! 血は殆ど返り血よ、自転車を手放し運転しながら怒鳴り散らし刀振り回し撃退したんだよ? 私偉くね?」
「ひく。」
「何かにぶつかったりひっくり返ってたりしたら死んでたね、あれは。いやもうね。感動したよ、犬って自転車より全然速いんだぜ、知ってた? こっちは下り坂でぐんぐん加速してるってのにまるで逃げ切れないの」と愉快そうに。その余りに屈託無い様に、空寒いものを感じる。
「…無事で良かった」
「街はまるでゴーストタウンだよ。誰もいないなんておかしいなーって思ってたんだけどね。通学途中犬どもが車道の真ん中でなんかに群って喰っててさ、よく見たらそれが人の死体なわけよ。げーって思うじゃん、んで犬追い払おうとしたら逆に襲い掛かって来るんだもん、ビビったよ」
…頭が痛くなってくる。
「何匹くらい居たん、班長代理?」
「十八匹、内数匹は私が斬って捨てたけど。三番班で狩って来ようか、副委員長?」
ふざけて役職名で返してくる。浜川はかなり気分が昂ぶっているようだ。
「馬鹿か。手負いの癖に」
「お前が馬鹿だ。なんだこんなかすり傷」
「…分校の様子だけ見てもらうかも。十八匹だけのはずが無いんだ。確実に、もっと居る」
「ねーよw 何処から沸くんだよ、そんなにw」
「市街からばらばらに怪我人数十人を含む生徒が避難して来てるんだ、君を襲ったのが全部とは思えない。登美野区からは『人食いの野犬群』の警報が入って、物資も途絶えてる。南区分校からは連絡ないし、しかも回線直しとかで技術部の整備班が早朝街に出たっきりさ」
「ぶはっ。凄いね、それ。他の分校は? 他校や妖精帝國は?」
「回線は繋がってる。向こうも状況を把握できてないけど、避難民は数十人から数百人、住人の救援要請もひっきりなしだって。嘘か本当か知らないけど、妖精帝國は何百匹という犬の群に包囲されてる状態だって…どうしよう?」
天下は、こんな状況だというのにクスクス笑った。
「警報鳴らそうよ。地域学民さっさと校都に避難させちゃわないと。分校は三番班で見てくるからバスかトラック貸して。あと催涙弾と催涙スプレーと人数分のプロテクターと棍棒と犬を数匹とえっとサイレンおくれ。ああ後人食い犬餌付けするからドックフードかなんか」
「委員会に掛け合ってくる」
「あ、あと爆竹! 爆竹も頂!
んじゃ班員ども叩き起こしてくるか〜」


そういうことになった。


(状況説明)


「生徒総聯は事態収拾に向けて努力しております! 付近住人の皆様はくれぐれも戸締りを確りした上で、不用意に出歩かないよう御願い致します!」
街宣車よろしく、運転手の天下はサイレンを鳴らしながら拡声器でがなり立てる。三番班の面々を乗載した中型バスは、道すがら点々と転がる人間だったものに群る犬の群を軽快に轢き殺しつつ連絡の途絶えた分校を目指す。勿論犬と一緒に人間様の死体まで轢き潰してしまうのだが、故人にとって犬に貪られるに任せられるのと果してどちらがより不名誉かは定かではない。
車内はガヤガヤとにぎやかだ。
「ガソリンとか使い切っちゃったらどうするんだろうね? あと何ガロン残っているのやら。校家機密とかで教えて貰えないんだよね」
「ビビったっスよ、化けて出たのかと思ったじゃないスか。朝起きたら行き成り血濡れの班長代理が立ってるとか」
「わんっ!わん!わうう、わう、がうがうがうっ!」
「本当どっから沸いたんでしょうね、鮫みたいに血の臭いに誘き寄せられて来たりしたら嫌だなあ。あ、いや、班長代理の浴びた返り血の話じゃなく、いやそれも有るけど、私今真っ最中なんです」
「代理―っ、結局催涙弾は貰えなかったんですよねーっ!?」
「三十一匹… 四十一匹… 四十八匹… ちょ、遂に五十匹越えたんだけど」
「あー、でも替わりに人数分の催涙スプレー貰って来たけどね、化学部謹製の奴ねー。マスクとゴーグルして使えってさー」
「ちょ、支給されたプロテクター下半身分だけってそれ引きずり倒されたらお終いじゃん!!?」
「…どいつも酷い毛並み、まるで手入されていない。傷だらけで、怯え切ってる… でも、野良犬とも違う…」
「落ち着けよ、榎木。冗談に決ってるだろ。ほら、腕用」
「わう、ぎゃわん、がうがうぐあ、きゃんきゃんきゃんきゃんっ!」
「うちの化学部の謹製品… 目に入ったら失明とかしそうだな、こえーっ・・・」
「お前らちょっと減速するからちゃんと犬どもにスプレー効くか試しとけよー」
「了解、開窓! 窓から飛び込まれないようにしろ!…無いか、いくらなんでも。  
 …ってこ、こらっ窓から飛び出すんじゃないこの馬鹿犬っ!」
「代理、運転上手くなったスねー、いい調子っスよ!」
「紀美の特訓のお陰さーっ♪」

三番校都の保有する虎の子の武装戦力、風紀委員会の実動部、その三番班。
総班員数十三名、動員兵力十名、技術部員二名。総勢十二名。
採用兵装、日本刀『円華』一振り、技術部製六式戦棍四振り、同じく一式鉄棍八振り、現代社製K15中型バス一台、化学部製散布型刺激液『三式吹悶』十四丁、プロテクター十二人分、マスク十二人分、ゴーグル十二人分、爆竹十一発、雑種大型犬三匹、シベリアンハスキー一匹、アニマルハピネス社製ドッグフード40キロ(使用期限外)。
指揮官、浜川天下班長代理。
人食いの獣とその犠牲者達をひき潰しつつ、無人無影の道を往く。


「あーテステス、こちら番長連合都心部。
これは一体何の冗談だ?
市南方より都心部へ数百匹の野犬が殺到、妖精帝國を包囲。人食いだ。
何人か食われた。うちの物資供給班は三番校都へ到着したか?
してたら事態が収拾されるまで先方での保護を求む」
「こちら三番校都通信部。通信を受信、内容を理解した。
供給は途絶、供給班は到着していない。残念だ。発見次第保護報告する」
「謝意」
「数百匹と言ったか?」
「数百匹だ。街のそちら側に野犬群はもう達したか?」
「幸い、本校へはまだだ。だが南区分校の連絡は途絶、登美野区分校からは救援要請が入っている。あと避難民が数人」
「南区か…。爆心地だな」
「そのようだな」
「今のところは以上だ。重要な進展が見られたら…」
「分った、有難う。此方でも何か分ったら連絡する。番長猊下万歳」
「会長猊下万々歳」




このご時世電気もガソリンも酷く貴重なのは当たり前だが、まだ電気の方が融通が利くのもまた当然である。




鍵句

 複合繁華街『妖精帝國』。

 学府首脳

 參號校都
 
 耶賀瀬ミツウラ生徒会長猊下 

 生徒総聯
 
 田口食肉のロゴ


☆★☆


 宙を巨大な十字が飾り、天使の群が無数の羽蟲のように空一面に蠢いている。
 啓典の宗教圏が、死の光に呑まれるのを、黎都(アドリャーナ)は衛星を介し見降ろしている − 和礎(エルサレム)、平都(ローマ)、聖二禁域(ハラマイン)、神門(バビロン)、塩湖都(ソルトレークシティ)の諸聖地には存也(ヤハウェ/ソンヤ)の猛絶な神力が充実し、その勢力圏である西洋一帯、すなわち仆神(イスラエル)、没日郷(ヨーロッパ)、務導(アメリカ)、埃土(アフリカ)、遵厦(ダール・アル=イスラーム)を覆い尽くして信徒と無信心者の別無く殺し、そして朝鮮も攻撃を受けている。
 第四十四次『毀断之丘(アルメギッド)』充実。存也(ヤハウェ/ソンヤ)の定期的殺戮茶番劇が始まりを告げたのだ。






 巫師(タートシ)は言った。
 
 人は魔に成り神に成り、神魔は人の間々に棲む。


☆★☆


「いいよ、おいで」
 少女は言った。私は勇んで彼女に並び、一生懸命歩きだした。
「あなたは、神についてどう思う」
「はあ?」
「あなたは、神はいると思う?」
「神様は、居るよ」
 私をみて笑った。私は更に
「そう、神様は存在して、皆を見守ってくれているね」
「皆を?」
 少女の疑問符は嘲るような感触で、私はムッときた。
「そう、皆を」
「はは」鼻で嘲笑って彼女は視線を私たちから路上の信号に移した。
 冗談じゃないのに。
「えっと、神が私たちの為に何をしてくれたか知ってる?」
「私の為に死んでくれた」
「そう」
 私はつい大きな声を出し、身振りまでつけて強く唱えた。
「神は私たちを愛してくれていて、私たちの為に命を投げ出してくれた!」
「はは、いや」
 少女は笑いながらその底知れない、感情の欠落した眼を私に向ける。
「あの子は私を憎んでいるよ」


*** 


「叶ちゃんて、変だね」
「そうかな」
 私は紺野と喫茶店でお茶をしていた。
 彼女は私が勧誘されるのを見るや、すぐさま距離をとり、五メートルくらい遅れて聞き耳を立てていたのだ。
「宗教の勧誘に、付き合って上げるなんて」
「だめかな」
「気持ち悪いじゃん、頭異常しいし」
 対象語が無いので、形容詞の列挙が信者か信者の話に付き合った私を指しているのか一瞬判別がつかなかったが、別に両方でも適当であることに気づいて一人得心した。嘘だけど。紺野よりも? そう訊いてみようかとも思ったが胸中に秘めておく。



***


 神前に平伏し、目を閉じて
 私は念じる

 美しいものを

 死を




浮浪霊

粗書
2010/11/10(Wed)

私「あの、さ」
母「……」
私「お茶さ、淹れたんだけど…」
母「……」
私「一緒に飲まない?」
母「なんで」
私「…はぃ?」
母「だから、なんで」
私「いや、なんでって」
母「何が目的だ!」


浮浪霊

メモ エホバ
2010/09/28(Tue)



「不幸とは弱く愚かしく醜く邪悪である権利の事だ」

★☆★

彼「ち〜っす! カルト宗教いかがっすか!」
私「ん?ああ、ちわっす。って、は? なにがどうしたって?」
彼「カルト宗教いかがっすか?」
私「…は?」
彼「エホ証です。(ものみの塔を見せながら)
 今なら先着で一四四〇〇〇名様に極楽往生が付いてきますよ〜」

私「……」
彼「……」

私「…きみさ、何世?」
彼「四世になります……」
私「…まあ、あれだ… お姉さんがお茶をおごってやろう」
彼「御馳走になるっス」


浮浪霊

メモ
2010/07/03(Sat)

僕が目を覚ましたのは、授業が終ってからだった。
見ると、もう電気も消され、誰も居ない。思わずため息を吐く。先生にせよ塾友にせよ、講義中誰かが寝ていても誰も起さないし、終ったら放っといて帰ってしまう。本当に皆薄情だ。僕も僕で、いったい何のために塾なんかに通っているのやら。


浮浪霊

黎都
2010/07/01(Thu)

「あなたが淫売の下衆女郎なせいで、私の人生はめちゃくちゃなの。誰かに話せば私を貴女から助け出してくれるだろうけど、私はいい母親だから貴女がいかに下らない犬畜生かを世間に黙ってあげてるのよ」
「・・・・・・そりゃどうも。ああ、そういえば友達がどうして僕があんたに殴り返さないのか理解に苦しむとか言ってたな。ごめんねー、下らない犬畜生だからかな、世間様にあんたのこと黙ってられないの」
「(絶句)・・・そんな友達と付き合うのはやめなさいっ!」
「僕はあんたと付き合うのをやめたいけどな」


☆☆☆


「黎都、貴女また太ったんじゃない?」
「太ってねーよ」
「絶対太ったわ、だって豚みたいよ?」
「(絶句)・・・太ってねーッつってんだろ、むしろ栄養不足なんだよ。もっと野菜食わせるか死ぬか僕に料理する許可するかしてくれよ、貧血で体育の時間とかキツいんだよ」
「それは脂肪ね」
「は?」
「」
 


浮浪霊

メモ クロノトリガー
2010/06/21(Mon)


「お前が愛していたあの娘ももう居らぬ……」
「それをこの上」
「たった一人で」
「一体何を戦うというのだ!!」

浮浪霊

メモ 硝子の珠、日矢神判
2010/06/20(Sun)

貴方の瞳って、虚ろでまるでガラス玉みたい。そういって笑って、彼女は私の頭をワシャワシャとなでた。私はその詩的な表現に感心した。その夜私達は寄り添って眠り、翌朝彼女は荷物をまとめ去っていった。 私は一人残された。

狭い住居だったが、一人になった私には厭に広く感じられた。散らかし魔の彼女がいないと部屋も片付くから余計にそうだ。恋が終わっても、人生は続くことを痛感する。 八時間が過ぎ、午後四時になる。何をするでもなく、全くの無為の内に。 

それはあまり例の無いことだった。普段は落ち着き無く、常に何かしら立ち回っているように思う。最後にこんなふうに無意味な時間を過したのは一体いつだったろう? 陽気にうつらうつらしながら考える。私はちゃんとショックを受けれているのだろうか?

それとも、嘗て言われたように、フリをしているだけなのだろうか?眠ってしまうのは厭だった。私は起き上がり窓際を離れ、台所でお茶を沸かせる。見ると、急須のお茶ガラと三角コーナーの生ごみが処分されずに残っている。「駄目だなあ、発つ鳥跡を濁さずって言うのに」私はその両方を処分する。

感慨は無く、そしてそれはいつもの事だった。人生が味気ないのではない。私の味覚がイカレてるだけなのだ。彼女も味はしなかった。ただ傍にいると、少し、よく眠れる気がする。それは確かに替え難いことだったが、居ない所で不眠が酷くなるだけだった。私はお茶を手に、居間の机に突っ伏した。

再び眠気に襲われる。眠るのは厭だ、怖い夢を見るんだ。眠るのは……


私は大学も半ばになってやっと、真似事では本物の感情の代りにならないということを理解した。友情の醸成にはともに過す時間が、運営には此方からも働きかけることが必要で、他人なら悦びを覚えるその両方が私には異質な作業だった。

定期的に接触して優しい言葉を繰り返さないと愛しては貰えない事に私は気づかされ、そして私が他人というものにたいし如何に無関心かを知った。強制的な共同生活ならば誰にでも好かれる私だっが、わざわざ拒絶される危険を冒してまで興味も無いのに他人と関わるのは酷いストレスだった。

他人の苦痛が、歓喜が、どうでも良かった。苦しみを分かち合いたいとも喜びを与えたいとも思わなかった。私は求めるだけだった。相手の与えてくれる善意や温もりが欲しいだけだった。旧知の友人達や家族とは疎遠になり、私に一二年以上付き合いの長い人間はいなくなった。

私は彼女等の温もりだけが恋しかった。彼女等が友達甲斐の無い私のせいで感じている筈の孤独や苦痛は、どうでもいい事だった。

私は可笑しくもないのに笑うこと、愛も無く人を可愛がることを識っていたので、大学時代底の浅い友達が沢山できた。彼女らは皆私が見返りのみを求める確信的無関心の権化、怪物的欺瞞であることに気付かないか、気付いて離れていくかした。

ただ優しさに餓え渇き、人を欺き友を誑かし、無責任に惑わした挙句私は彼女らを離れることが多かった。居心地のよい距離感というものを見失うわけにはいかなかった。近づきすぎるのは恐ろしいことだった。私は責任感という概念を知らなかったので、友情の代価を負うことも考えられなかったのだ。

私は急速に夢に堕ち込んで行く。視界が雲濁し、自我が崩律し、再構築され晴渡る。夢が始まり、私の世界は再び鮮やかに存在を始める。私の経てきたあらゆる時代と空間が混在するのがわかった。そこは学校だった。あらゆる時代の友人たちが一同に帰す教室で、私は前に出てその視線を一身に浴びている。

哂い声が聞こえる。私は何が起こるのかを知っている。人間の悪意を喰って地獄がぞわりと立ち上り、数百人が整然と着席する教室を一種の冒涜的な絨毯の様に覆って行く。私は口を半開きにしてその様を観察する。それは蟲だった。人面の、歪な蟲の奔流が、人食いの人罰が迫ってくる。哂い声が聞こえる。

或る者は縮こまり狂ったように祈りながら、或る者は怒り狂い罵声を張り上げながら、又或る者は泣き笑いながら、狂奏するように地獄に挽き潰されて行く。私はそれを呆然と見ている。哂い声が聞こえる。

唐突に、私はぎくりとする。私の恋人はどこにいるのだろう。地獄に喰われてしまうのではないか。地獄に喰われてしまったのではないか。私が呆としてる間に、精肉され悪鬼の養分になってしまってはいないか。私は何千何万という人間が、のたうつ地獄から逃れようと雪崩を打って逃げ惑ってくるのを見る。

溶合う万色の人声が怪神の咆哮のようになり、練り上げられた悲鳴で世界は崩れ空へ向けて落下を始めた。私は恋人の姿を見つけることが出来ない。名前を呼ぼうとした時、彼女の名を思い出すことが出来ない事に気付く。哂い声が聞こえる。

何時の間にか天地は地獄に喰らい尽くされて、緑色に発光する蟲どもの暗室に私はいた。薄暗いそこで、大きさが人の頭蓋ほども有る美しい蟲が私を見ている。それは人面を私に向け口を開いた。「何か探しているの?」「『何か』じゃない、『誰か』だ」私は答えを求める「私の恋人はどこにいる」

「私を愛しているあの女はどうなった!」暗室にくすくす笑いが起こり、私はそれを不快に思う。「居ないよ」「なんだと?」まったくの無音だった暗室に、哂い声が充満した「あなたに恋人なんて居ないよ」げらげらという下品な笑いに私は打ちのめされた「あなたを好きだった人なんて」

「居たことも無いよ」

サーッと血の気が引いていき、気管が閉塞するのがわかった。何時の間にか、恋人の顔さえ思い出せなくなっている。暗室が解けて散り、地獄の構造が展覧する。無数の蟲によって築かれたその惑星規模の空間に、億兆という人間の死体が並べられていた。哂い声が聞こえる。

「お前を愛してくれる人間なんて、何処にいるというの?」


夢我が張り裂け、私は現に舞い戻った。ひょっとしたら悲鳴も上げたかも知れない。心臓が割れんばかりに打っていた。時計を見ると、三十分も寝ていない。悪い冗談だ。私は口元を拭う。恋人と別れるなり久々の発作に見舞われるとは、私も分りやすいやつだ。可愛いじゃないか。

急に夜が、一人で迎える夜が怖くなった。夜はもうすぐそこまで迫っている。飛び起きて自宅を右往左往し、私は精神の均衡を徐々に失っていった。人は夜が、闇が、夢が、孤独が重なるのを恐れる。何故夜が怖いのか?夜を恐怖し逃げ惑った者は夜闇の孕む数々の危険を回避でき、多くの子孫を残せたからだ。

なぜ人は孤独な夢を恐れ、眠りに就く時身を寄せ合い、温もりを求めるのか? それは例え外襲の時眠りに堕ち夢に捕われていても、愛する者と共に在れば生き残れる可能性があり、その生存の助けとなれるからだ。では私が恋人の傍らでさえ夢を恐れるのは何故か?哂い声が聞こえる。

「いないよ」「だまれ」私は耳を塞ぐ「居たことも無いよ」「うるさいっ!」「身を寄せたところで、お前なんかを助けてくれる人なんて」哂い声が聞こえる「誰も」視界が狭塞まり、私の世界は破綻した。


# 2010年6月22日 21:39:28 webから

* 削除

#
八歳くらいだったろうか。私を溺愛していたおばあちゃんは居なくなり、預け先の無い私を父が家に置き去りにして出張したあの夜(澄はしっかり者だから好い子でお留守番できるよな?)。私は誤ってクーラーを切らないで電子レンジを付けてしまい、家のブレーカーを落としてしまったことがあった。

当時私は配線用遮断機の概念を持っておらず、徐々に暗くなる夏の宵を発狂するほどの恐怖と戦いながら、部屋の隅で縮こまり体を揺すり震えて過ごした。『しっかり者』でなければならなかった私には、誰かの助けを求めることなど考えられない。やがて帳が落ち暗黒が充ち、悪夢が現を汚染した。 2010年6月22日 21:20:49 webから

壁を這い引き出しに潜り込む不定形な物、発光し群生する醜怪な小人、窓や鍵穴や隙間から覗き込む歪な人面、異様な長さを持つ人の腕に似たもの、テレビやパソコンや鏡に移り込む有り得べからざる物、それらの物の息遣いや視線が、私を一晩かけて壊していったのを覚えている。

私は母がいなくなった日のこと、祖母のいなくなった日のこと、あの暗かった夜の明ける瞬間のことを憶えていない。夜を徹しているとほんの時々、ひょっとして祖母はまだ生きており、あの夜はまだ明けておらず、母など私にはそもいなかったかのような想像に捕われることも有った。

永遠の夜に祖母と共に孕まれ、母は存在したことは無くそして父も助けに来る必要はない。私は温もりに包まれ護られながらまどろみ、死者のみが私にやさしくしてくれるのを知る。それは病的な錯覚に過ぎないかもしれないけど。私は友情や恋情を与えてくれる人間を無差別に受け入れる一方、

私は友情や恋情を与えてくれる人間を無差別に受け入れ彼ら彼女らにしがみ付く一方、愛を与える能力の無い自分がいつでも棄てられ得る事に奇妙な確信を持っていた。それは不信と恐怖の澱だ。私が彼ら彼女らに対して感じるのは、一方的な愛の給与についての感謝と欺瞞の成功への満足感に過ぎなかった。

夜毎傍らで束の間眠りを貪れたところで、朝起きたときにはもう居ないに決まってる、居る筈が無いという観念を隠し笑う私は、孤独を確信する余り去るものにしがみ付く事さえ出来ない。私の如き人外と共に居てくれる酔狂者に感謝を。 去るものにはその無駄だった犠牲に謝意を。

私には、声が聞こえる。お前は人間を擬態し獲物に近づき、愛情を演じて誘惑し、心を肢体を開かせ犯す獣、愛される価値など無くそれを自覚しながらなお愛を騙し取る獣、愛を貪る獣だ。蟲どもは哂う。騙し取った愛は瞞しだ、お前に向けられた物ではないのだから。獣であるお前を愛する者など居るものか、

お前は愛されうる者を騙っているだけだ、お前に向けられたように見える温もりは結局お前の演じる愛すべき何者かが持って行ってしまうのだ。あの女はお前を愛していないしお前を愛していたことも無い、お前が騙っていた別人を愛していたのだ。彼女はお前に失望したのではない。

なぜならお前と共に居たことなどないからだ。人違いだったことに気付いたに過ぎないのだ。お前と共に居るように見えて、実際には別の誰かと過ごしていたのだ。実際にはお前は最初から最後まで一人だった、お前は、始終一人で他人が愛し合う様を視聴していたにすぎないのだよ。

唐突に能天気な旋律が私を現実へと連れ戻した。彼女の設定した着信音だ。そういえば、もう数週間はこの着信音なのに、私はこの局の作者の名も知らない。もし私が彼女を本当に愛していたら、或いは彼女の好みにももっと興味を示していたかもしれない。私は電話を取る。

「もしもし」ああ、誰か私を好いてくれる人でありますように。「紺野澄、です」「……澄? え、澄だよね?」 「回線が悪いのかな、澄の声じゃないみたい」

「随分散らかってるね、澄の部屋じゃないみたい」私の部屋を見渡して、京野美智は言った。「今朝振られたばかりでね」私は疲れを前面に押し出して言った。「まだ片付ける時間が無かったんだ」「道理で声が掠れてると思った」「飲み明かそうぜ」「澄お酒飲むようになったんだ」そんな事実は無かった。

私の作戦は単純だった。傷心の私に同情する友人の善意に付込み、潰れるまで飲ませて一晩だけでも『温もり』を確保して安眠する。私は、酔うだけでは眠れないのだ。「どんな人だったの」「暖かい(体温的な意味で)、人間の出来た人だったよ。淡々と別れた」「どうして別れたの」

「…… 私の目が虚ろで」「え?」「なんでもない。閏は今誰か付き合ってる人はいないの?」「丁度いないなあ。私も別れたばっかでさあ、ほんの三週間前。何、サークルの活きのいい小僧でも紹介しろっての?」「いいねえ。てかさあ、もう閏が付き合ってよ」「うおお、いつからそんな危ない人にっ!?」

友人とくっちゃべっていると考える。私はこうした時間が退屈だと。私にとって閏の恋愛事情など、限りなく如何でもいい事柄だった。遠く哂い声が響く。彼女を欺いて近付き、情の深い人間を擬態する獣。身も心も開かせ強姦する獣。「どうしたの?澄、顔色悪い」「何でもない。お酒、ちょっと久しぶりで」

蟲どもの哂い声が、閏の笑いに重なる。怖気が私を捉える。私も笑う。神様。

私は彼女がすっかり酒に呑まれた頃合を見計らい、布団を敷いて彼女を寝かし、その傍らに寝そべり、その胴に手を回した。(…)翌日私が目を覚すと、見知らぬ女が私を見下ろしているのと、あと澄にしがみ付かれているのにぎょっとした。澄は寝惚けるか酩酊し昨日別れたと言う恋人と間違えでもしたか。

謎の女鼻白んだ表情で私たちを見下ろしている。二秒ほど見詰め合ったあと、彼女の方から目を逸らした。無言のまま、私たちのことなど無視して箪笥の引き出しの中を調べたりしている。「…あんた、誰」「はあ?」いや、はあ?って。私のほうなど見もせず、その無造作に束ねられた長い髪を揺らしている。

「… 押入り?」「ハアっ!?」いや、ハアっ!?って!「ちょ、ねえ澄」「……」「起きてよ変な人が居るよ」「……」二日酔いでコンディションの酷い澄は私に揺起こされ、半分だけ拉げた蛙みたいな緩慢な動作で頭を上げ闖入者を見、驚いて口を開いた。「久、ちゃん?」『久ちゃん』は不快そうに笑った。

「忘れ物を取りに来ただけだよ、あと合鍵を置きに」久ちゃんは地面に転がる酒瓶を足先で小突いいて続けた「何飲んでんだ、弱い癖に。好きでもない癖に」私は事情が分り始めて青褪めた。「……きそう」「?」澄は顔を伏せて何事か呟いた。私たちは聞き取れず問うようにして見やる「吐きそう」「「げ」」

時計を見ると、まだ八時だった。私は息を吐く。澄は吐くだけ吐くと再び布団に倒れ込み死んだ。私に謝りながら。私は急に疲れて、居間のテーブルに腰かけ煙草に火を点ける。澄の新しい彼女(?)が私のほうを見ているのに気付いた。如何したものか迷うが、結局聞くことにした。「吸ってもよかった?」

「あ、ははい」「吸う…います?」「え?あ、いや。じゃあ、ええと。はい、頂きます」一本だけ受け取った。二人して沈黙し、気まずく煙をくゆらせる。「あの」彼女が口を開いた。「私、京野閏って言うんですけど、その、ええと…」「射水久那」「その、射水さんが誤解されてる気がして」「はあ」

なんだなんだ。彼女は私を意識しすぎてしどろもどろだった。目も合わせない。「その、私、澄の友達ですけど、その、それ以上じゃないです。彼女多分、酔払って分んなくなって、射水さんの積りで抱きついたとか、そういう事だと思うんです。昨日、振られたって凄い落込んでたし」私は黙って聞いていた。

「もう起きてきた」(…)私が射水さんに促されて振返ると、相変わらず半死半生の澄が寝室につながる戸の所に立っていた。「よく眠れた?」錆びた声色で射水さんが問う。「蟲が」私は驚いた。澄が顔を覆って泣いている。「哂って…」澄がぐずぐずと泣いている「久ちゃん、戻って来て」

だが射水さんは頭を振った。その酷く残酷な無表情が、私の胸を打つ。「久ちゃん」私は初めて聞く澄の縋る様な声に動揺した。「好きだよ、澄」射水さんは無感情に言い放ち、次の瞬間希望を打ち砕く。「澄の事が好きだからこそ、澄にとって私が換えの利く存在であることに耐えられない」

「久ちゃん、どうか…」なおも懇願する澄に、射水さんは疲れた様子で、だが明確に話は終りだと言った。「だめだよ澄、諦めは良くなくちゃ駄目だ。御仕舞いの時が来たんだよ、澄」その時だった。澄は唐突に泣きやみ、冷めた表情を浮かべだろうね、と誰へとも無く呟いた。三十秒程の沈黙の後、

今度は射水さんが涙を流している事に私は気付いた。「ご免ね」彼女は掠れ声で言った。「一緒に居てあげられない、もう耐えられないんだ。私は」彼女は立ち上がり、荷物を取る。「私はあんたの愛が欲しかった」(…)

極単純に友人として、私は澄の事がとても好きだった。いや、私だけでなく、大学時代彼女は先同後輩に酷く人気だったように思う。彼女があらゆる人間に頼られ、彼等彼女等にかまけて私に構ってくれない事に、私は滑稽にも嫉妬すら覚えていたのではなかったか。

☆★☆

二人で愛し合いましょう お互いさえ居れば、もう誰も要らない、そう思い合える関係を持ちましょう 唯一永遠の絆を結び永久に 死が二人を別つまで。 (そう呼びかける声に応えて覓征は嘲笑んだ) それは違うよ 愚かなひと
愛し愛される事は強く生きていく為の支え それが究極的には手段に過ぎない事を否定しあたかも生に代わる根源として目指す事は瞞しだ。自分を騙せ人を騙せても、いずれ避け難く破綻するだろう、伝子の復讐に遭うだろう。その終りが一年後なのか百年後なのか はたまた一万年後なのかは分らないけれども
☆★☆
キリスト教徒の従妹が、キリスト教を好きな無神論者なんてものはありえないと言い出した。これまでこんなことはなかったんだけれど。これはつまり、彼女が無神論者のキリスト教徒に対する敵意という構図を必要としだしたことを意味する。世界観が動揺して、維持に敵が必要になったのかもしれない。
でもそれは非常に有害なことだ。そもそも人間はキリスト教徒だから誰かを愛するのではなく、愛するに値するから愛するに過ぎない。キリスト教がシンパシーを感じさせる宗教なら無神論者でも好ましく思うし、逆もまた同様だ。
彼女が無神論者はキリスト教を嫌うことを前提に生きていくなら、知り合っていく無神論者の面々にもそれを踏まえて接していくことになる。それは無神論者たちの多くにとって不愉快なことだろう。また全く好ましくなく、彼女がそれをキリスト教に結びつける以上キリスト教に対する心象も悪くなるだろう。
それは相手にとって好ましい存在になろうという努力の放棄だ。そして無神論者達を異質なものとし友好を拒絶する思考だ。自分に愛される価値は無いかもしれないという不安を、キリスト教徒だから愛されないのだとすり替える欺瞞だ。また、人としてではなくキリスト者として愛してもらおうという弱さだ。



浮浪霊

めも 悪母について
2010/06/16(Wed)

ヤハウェの良心、罪悪感、生きる意味、夢、愛憎

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 三年ほど前のことだ。

「お前の生きている音とか聞きたくないんだ♪」
 母はそうほざいてベニヤ板と絶音板(!)を買ってくると、男友達と私(!!)を動員して私の部屋と母の私物化している居間を繋ぐ扉を封鎖させた。

 私はうれしかった。私の生きている音は、いつも母を凶暴にさせたから。


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私がここでこんなんなのは、やっぱオフで明るい人やってる反動なのかな。
生身の人間にこんな話できないもんなあ


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結局さ。

うちの元母親は、私を殴ったことも私を傷つけたことも私に嫌われたこともまるでなんとも思っちゃいないんだよ。

わたしはこのこととこの先一体どうやって向き合っていけばいいんだろう。


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母があそこまで私を虐待した背景には、おそらく彼女が幼少期順応した狂った環境を脱皮できなかったことが背景にある。

親子間の信頼のような曖昧な基盤に基く関係は母の常識では対処不能であり、彼女のそうした状況に非常な不安を覚える人格となった。

だからこそ、『あやふやな不安』の解消のため、家庭内暴力や近親憎悪といった彼女が慣れ親しんだ関係性が家庭内で支配的になるまで母は錯乱と虐待を続け、彼女の罵詈と暴力と強迫で建設的な繋がりが一掃され根絶されて行くにつれて、彼女の精神は急速に安定していった。私の負った傷の深さに反比例するかのように。

私たちの親子関係が相互的な好意という彼女にとって未知の物によって裏付けられていたころ、彼女は常時不安に悩まされ憤怒の発作を起していた。一方私が彼女を憎悪し始め害意の応酬が支配的なものとなるや暴力行為は無くなり、今や彼女の精神的自己像は一方的な敵意に晒される被害者だ。

彼女は、私に一方的に憎まれるという彼女にとって正常な状況を再現したいがゆえに、憎くも無いのに私を殴り辱めたのだ。


☆★☆



思い出した
私は、幸せになりたかったんだっけ



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蠢く闇は夜行性 夜闇に紛れる夜行性

もぞまぞ  のとぬと  ずるぶる  じょろん

夜闇に雑じれて人を狩る

ざわぞわ  にょろぎり  がりごり  ぶちん
ぐちぶち  めきみぇき  がりがつ  ぐりん


☆★☆


網民密度は無限に減少してゆく
インターネットは限りなく無人に近づいてゆく


☆★☆


始まりは、奇妙な焦げ臭い臭いと茶色い雲、そして鳥の屍骸。

空が燃えている。


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理想の恋と理想の死は似ている

実行しろといわれても困るし、

概念 美学的作品に過ぎず 実在しない

浮浪霊

メモ 
2010/06/14(Mon)

「繋がるよ」


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『私』は夢
『貴方』は影
世界は砂
心は移ろい

 生きることは 灼熱だ


☆★☆


文化とは囚われるのでは無い。御すものだ。



歌が聴こえる。
人生の素晴しさを謳った歌だ。
世界が美しいことを、愛が愛おしいことを、神がことを歌った歌だ。




嘗てお前が恐れと疚しさの虜だったのを憶えているか
確かなものなど何も無く、人はお前を愛さず、お前も人を愛さず、お前は与えられない救いをいつまでも甲斐なく求め苦しみ、また只傷つけあい傷つきあう世衆が哀れで堪らなかった、呻喘嗚咽するこの世界を救済したかった

神はお前ら哀れな人間どものため降って沸いた救いだ

『お前』を愛せない人の代わりに。そしてお前が愛せない『人』をもまた代わりに。神に愛してもらおうというわけだ。


だがそれは不毛だ!


『私』は夢
『世界』は砂
生きることは灼熱だ
そんなことは分かりきったことだ! そして此処が此処こそが救いだされるべき人間の孤獄だ!
 だがお前の救いを必要としていたこの世界にお前が与えたのは神の救いだった! お前は世界を愛せなかったのだ!

「でも」
(私は必死だった。こぶしを握り叫んだ)
「でも! 信仰で人は救われる! アメリカを見ろ! インドネシアを見ろ! 皆幸せじゃないか! 神を愛し神に仕え、私よりも誰よりも幸せじゃないか!」

瞞しだ そんなもの!

「まやかしだと! まやかしと言ったな、無責任な! 私たちのその下らない拘りで誰が一体救えたっていうんだ!」

(私はなおも叫ぶ。叫んでしまう)

「お前はまやかしでない愛があるとでも言いたいのか!」

(私は口を押さえた。『』は満足したように沈黙すると失せ消えた)


☆★☆


彼女は毎日のように子供を殴らなければ気がすまない異常者だったが、それと同じくらい毎日愛を語った。
愛してるといわれては殴られるのを繰り返されて育ったあの子は、
暴力と両立する愛を信じるようになっただろうか?

皆も、あんまり考えなしに子供をたこ殴りにしてると私みたいなのが育っちゃうから気をつけてね!


☆★☆


歌が聴こえる。
人生の素晴しさを謳った歌だ。
世界が美しいことを、愛が愛おしいことを、神がことを歌った歌だ。

悪魔だ。
悪魔が賛美歌を、
革服(レザースーツ)に身を固めた悪魔が、神を讃えて謳っている。
血を涙し諸手をひろげ歌っている。
恍惚と目を瞑じて。悪意ある笑みを浮かべて。悪魔が
悪魔が目を見開き



私は目を見開いた。
歌が遠ざかる。


 一切は闇だった。



☆★☆


「此れでも高校時代はもてたんだぞ」
「姉さん高校時代は女子高だったよね」



浮浪霊

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