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浮浪霊の日記

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詩人名 : 浮浪霊
詩人ID : strayghost
年 齢 : 38歳

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メモ (推敲中)
2010/06/10(Thu)

それは、灼熱

☆★☆


『最近、祈ることを覚えた』っていうフレーズが最近頭を離れない


☆★☆


四月四日 木 

 黄色い清潔な建物が何処までも何処までも続いているの夢を見た。
 其処では窓は曇ってて、私達は建物の外を見たい一心でガラス窓掃除人て言う伝説の救世主を待ってるんだ。

 おかげでノートが取れなかったぜ。

 四日目の授業中早くも爆睡とかどんだけ神経太いんだ私。

 休み時間に缶コーヒーでも飲むかと蛍さんを誘って校舎を出たときだった。
「百円くらい貸してくれたっていいじゃんか」
「そうですねえ」
 林蝶惹君が先輩と思しき二人組みと話しているのだった。私にはそれが絡まれているように見えて顔が強張った。
 林君は薄笑いを浮かべて
「ご氏名住所電話番号と用途、それを証明する書類とあとサインをいただければ日率5%の利子でお貸ししますよ」
 すげえな。
「なに、また絡まれてんの、彼?」
「え、やっぱ絡まれてるんだ、あれ?」
「絡まれ上手だよ、彼は」
 たしかに可愛い顔して随分人を馬鹿にした口を利く子のようだ。
 だがいかんせん脂汗が浮いてるぞ。目も泳いでる。
 二人組みを見てみる。
 ……お近づきに成りたくない雰囲気が漂わせた感じの人たちだ。
「助け舟出してくる」
「え? ちょっとやめなよ余計な」
「林君」
 三人が同時にこっちを見た。ひい
「覓征さんが探してたよ」
 林君はそれを聞いてニッコリと笑った。
「ありがとう」
「いいよなあ可愛い彼女が呼んでるかあ」
「可愛い(笑)?」
 見苦しい連中だ。私は眉を顰めた。
「そのようです。今度お会いするときは書類くらい用意してから来てくださいね」
「「!!」」
 ひい

 


 よく見るとこの子も結構可愛いじゃないか
 
 
四月五日
 どこかへ向かっていると思いたいものだけど。

浮浪霊

メモ 詩徒詠唱録 (執筆及び推敲中)
2010/06/09(Wed)

現代、ハンガリー共和国 首都ブダペスト カロイ環道
メディタカフェ

「宇宙が国力の有る大国の物であるという発想は致命的な慢心です」
「でも20世紀後半において宇宙開発は大国に限定されていたじゃん。スウェーデンや韓国みたいな小国じゃ、一人当たりの総合力が高くたって宇宙に打って出るには到底足りないと思うけれど」
 牧岡黎都は鼻で嗤った。
「姉様(ズィーヤン)、貴方は古い発想を引きずってらっしゃる。それは旧世紀の宇宙計画が利益度外視のお祭りで、国庫くらいしかそんな馬鹿げた酔狂に金を出す者が居なかったからですよ。そして最大の列強でさえ宇宙を征服するには貧弱すぎる。だから停滞した。だから宇宙開発は停止したのですよ、姉様」
「……宇宙開発が利益のでるものになれば、民営企業に駆逐されるって言いたいのか?」
「その通りです、やはり姉様は頭がよろしいw そして民営企業が主導する宇宙時代が到来したとき、そこに小国のネックは霧消します。アメリカ他先行諸国の有するわずかばかりのリードは減滅するでしょう」
「ムカつく褒め方だなあ」
「サムスンが来ます、LGが来ますよ、姉様! くっくっく」

※※※



「中華神道の神様も「おいこら」道教の神々も宇宙進出の時代ですから!」

中華民国

「台湾同胞!!?」
 開拓するんです。


 その宇宙船は不恰好だったが、それの意味するものは巨大だった。
 その細長い船体には、翼を広げ に る猛々しい鷲の国章(エンブレム)と、国号が雄雄しく辣印表示されている。即ち、

  了
  合   
  諸 
  州 
  之
  務
  導
  國
     / United States of America

 務導(アメリカ)合州国航空宇宙局の宇宙開発計画、『据星体議文(Constellation Program)』の目指す有人火星飛行の露払い。火星軌道上の宇宙ステーションを建設するため、火星表面や近隣の小惑星群の資源を発掘していた。
 そしてそれは市民が領有を主張する火星・小惑星不動産への度重なる侵入と無断採掘を意味していた。
 務導ルナエンバシー社が二十世紀初頭無責任に売って回った星外不動産が結局国際的認知を受けることなく終った理由の一つに、不動産私有の前提条件に件の不動産の活用や物理的代理的な所在などが設定されていた。

 我々の経典詩徒詠唱録の御句の基

「株主総会で決議されたんだからしょうがない」
少なくとも二十八年後のことだった。

地球外開拓代理会社 衞☆局



☆★☆


いやだなあ。
僕は怖がって、逃げ回ってばっかりだ。
私は弱い。弱すぎる。
 
ふー、怖いな怖いな。頭ががんがんする。
 

☆★☆


死病の一つも患えば、こんな私でも限りある命の大切さに気づける。そんな風に思っていた時期が、私にも有りました。

けど全然そんなこと無かったよ!


☆★☆


うちの元母が最近いよいよ凄いことになってる件について。
子供は親の所有物だから好きに殴る権利があるとか、殴ろうと思えばもっと殴れたんだから感謝しろとか。人間じゃねえ。

 

浮浪霊

メモ 自分年表 秦式格調:飢えと喜捨と良心と偽善、姉様の哲学
2010/06/08(Tue)

 
何かやりぬくということが出来ない私は、結局このまま何一つ成し遂げられないまま終って行くのだろうか? 
本当は起業したり、政党作ったり、他人と好き合ったり、映画撮ったり、小説を書き上げたり、宗教興したり、子作りしたりしたいんだ。
私は自分は天才だと思いがちだけど。実際の私は大口ばかり叩いて駄目な子だなあ。

自分年表でも書いてみようかな?

 うんじゃ、そうさね。とりあえず風呂に入って勉強する。
 上がったら、世界が滅ぶようにお祈りしてから試験勉強。
 試験まであと一週間あるから、内三日社会学学説、二日社会進化論を勉強する。余りの一日は卒論の資料集め。
 小説は毎日書く。試験の日まで短編のひとつも書き上げる。
 月末までに網上京の企画書仕上げて送信。中編小説を一つ上げる。
 七月一杯卒論書いてあと英語の勉強。
 年末までに長編小説書いてどっか応募。企画書を各社に持ち込んで職探し。


☆★☆


小説はどうしようかね。中二っぽい異能物でも書くか?
それとも大人の死滅した世界で不良を殺戮する風紀委員会実動部の話とか?
寂れたホームページを愛好するクラブの話はどうよ。
霧が侵略してきて皆死んじゃう話、
無限に続く建築物の住人が『窓』のそとを見たい一心で『窓硝子清掃人』と呼ばれる能力者を探して右往左往する話とか、
月経が来ないなーと思ってたらまだ生まれもしないうちに生まれてくる子供の全てを親が鬼に捧げてた事実が判明して解呪に躍起になる女の子の話、
人外で人食いの化け物と付き合うための手引きなんてもあるぞ。
校内でキリスト教原理主義者が陰謀を働かせることを阻止するために生徒総聨が運用するアンチキリストのエージェントの話や
頭のたわけたBLだって書いてみたいし、
インターネットが無限に拡散していくことでページあたりのネチズン密度が過剰低下する話や、
重力の代わりに斥力が支配する地球の下垂都市で飛び降り自殺の流行る話、
祖母から獏憑きを継承して毎晩夢の中で食い殺されるのと引き換えに生理中のみ具現化した人食い獏を使役できる少女の話、
空に浮かぶ月が増えていくと思ったら実は伝染性の集団幻覚な話も捨てがたい。
今米ルナエンバシー社が無責任にうりまくってる地球外不動産が実質的土地運営を実現できないおかげで法的に何の意味も持たないことを救済することを目的にした国籍不明の民営宇宙開発会社がクライアントの『私有物件』を侵害するものを(国家機関含めて)かたはしから攻撃しまくって大いに顰蹙を買うなんて話もある。

原稿用紙三十枚分くらいを想定することにしよう、とりあえず。



☆★☆


「ばかばかしい。私が仮に文革時代の餓えた困窮児童だったとするぞ。そして日本人でブルジョアなお前にパンを恵んでもらったとする。そのとき、お前がそれをナルシスティックな偽善からしたか、聖人然とした自己犠牲からしたかなんて、私の腹が膨らんで飢え死にしないで済んだという事実や私が感じたろう安堵や感謝には『まるで』関りがない。逆に恩恵を踏みとどまったとして、お前が喜捨を断念した事に崇高な良心の裏づけが有ったのかそれとも確信的な悪意の帰結だったかなんざ餓えて死んでいく私にはやはり関係の無い事さ。早い話が、ナイーブな連中が善意を重視するのは分かるが、善意の確立を目指すばかりでは他者利益を目指したことにはならないし、従って善だろうと偽善だろうと他者利益に自身の善意の確立を優先することは結局エゴイズムだってことさ。相手に恩恵を与えることは偽善を脱却し善へ到達することの前提なんだよ」
 

浮浪霊

ポエム/ノベル・コミュニケーション・サービス 
2010/06/05(Sat)


pixivに対応するような、詩や小説に特化したソーシャル・ネットワーキング・サービスが無いのは惜しいことよ。

無いものは造ってしまうのが一番だ。同志募集。

http://www.pixiv.net/

浮浪霊

メモ、練習文 秦式神判、禱の級友観察記
2010/06/04(Fri)

 
「黎都(リツ)、お前の思考と行動の様式がおかしな物になるのは、キリストを対等な論敵と看做すことが許されて居ないからだ。『右の頬打つものあらば左の頬を差し出せ、汝の敵を愛せよ』。これらの教句は説得するものに非ず。命令、そう、あなたとの議論を求めるものではなく服従を欲するものだ。善人たることを命令され強要への屈服を教育された哀れなお前の善行は服従の発露即ち単純な偽善である可能性に常に呪われている。いまやあなた自身自らの善行が義務と遵則から来るものなのか良心に根ざすものなのか判るまい、お前は自らの感情にさえ不信と疑念が掃えない」

「あなたの愛と犠牲はゆがんでいる。おお子羊よ、お前の愛と犠牲はゆがんでしまった!」

「キリストが命令者としてあなたに接したことが、あなたの尊敬を勝ち取る努力を否定したことが、あなたを主体として人格として敬う事をせず侮辱したことが、黎都、お前をゆがめたのだ」

「お前が愛を行うのはわたしがお前の愛に値するからではない。お前にとって愛が貴いからでさえない。キリストの命令が、キリストへの服従が尊いからに過ぎないではないか。おお子羊よ」

「あなたは 醜い」
 

※※※


キリスト教の大ファンな無神論者の書いたキリスト教入門書


※※※


十矢人の女の子が殴り合いのけんかをしないことについて
 

☆★☆


(キャラを使いまわしてるけどストーリーは無関係)

四月一日 月

 どうなることかと思ったけど、無事に高校生に成れた。この感激(嘘)を記念して、今日から日記を再開しようと思う。
 さあ、今日から新しい学校、新しいクラスメイト。 また、振り出しだ。一人の友達も居ない。
 友達百人できるかな? なんてね…… 百人は無理でも、せめてクラスの皆位とは仲良くしないとね。
 中一のときみたいに、クラスで一人ぼっちなんて二度とごめんだ。
 おや、登校の時間だ。続きは帰って来てから。

 つかみはオッケー! 手応え有り!
 後ろの席の成見蛍(なるみけい)さんと、左隣の江藤幌(えとうあきら)君と話が出来た。好い感じだ。
 
四月二日 火

 蛍さん可愛いなあ。
 小物とか小洒落てるよね。洒落てることって大事だと思うんだ。私服姿はどんなんなんだろ、ファッションのことは、私にはよく分からないけど。
 好(よしみ)からメールが来てた。玲紀とは上手くやっているんだろうか。最初のころはうるさいほど玲紀の話ばかりしていたのに、最近は親の悪口ばっかりだ。全寮制の高校に入れて有頂天になってるみたい。
 今日は蛍さんと、あと氷見要(ひみかなめ)って子と一緒に御飯を食べた。学食って皆あんな不味いのかな。

四月三日 水
 
 今日は西紀覓征(にしきみゆく、と読む)さんと話せた。
 彼女は休み時間余り教室に居ない。クラスに友達がいないっぽい。
 お昼を食べに蛍さんと学食に行ったら、他のクラスらしい人たちと駄弁ってた。
 男の子が一人、女の子が一人。女の子の方が美人の白人なので凄い目立ってた。男の子も豪く可愛い子で、華の有る集まりだなあって思わず注目してしまった。何の話をしてるんだろうと思って耳をそばだててみたら、日本語じゃなくて二度吃驚した。
「凄いね、あの子。なんて子だっけ」
「あんまり係らないほうが好いよ」
 驚いて蛍さんのほうを見ると、無表情にA定食をつついていた。
 なにやら因縁が有るらしい。

 放課後下駄箱のところで偶然覓征さんと出くわしたので、ちょっと話しかけてみた。
「学食で見たんだけど、凄いね。外国人の友達が居るんだ?」
 覓征さんはにっこり笑って、「いないよ」、と一言だけ答えた。眼がぜんぜん笑ってなかったのが私には興味深かった。
「え、んと、誰と話してたのかな?」
「三組のノエー・ヒルと一組のリン・ディアラ」
「へえ、じゃあ二人とも… えっと、あれって何語?」
「私のは韓国語。また明日ね(私の名札を一瞥して)、笹谷禱さん」
 再びニッコリと笑うと、覓征さんは踵を返しスタスタと去っていった。
 得体の知れない人だと私は感心した。

 インターネットで確認したら、例の二人は励丘(ノエーヒル)さんというオーストラリア人と林惹蝶(リン・ディアラ)君という華人らしく、西紀さんとは中等部時代からの友人同士ということで、ネットは彼女らが林を取り合う三角関係にあるというゴシップで持ちきりだった。
 

浮浪霊

めも 自炊・あいのうた・曬昧府
2010/06/02(Wed)

 
自炊ってすばらすぃ。
自分で御飯作るようになってから食費が七分の一に成ったし、温野菜が!温野菜が!温野菜が!食べれるようになったし。

ほんの数年前までは某肉親が私が包丁を持ったといってはヒステリーを起こし鍋に火をかけたといってはヒステリーを起こし味が成ってないといってはヒステリーを起こしていたので、料理など考えることも出来なかったが。

お陰で高校時代は肉(焼いただけ。いわゆる肉のみ、内臓は無し)と生野菜(刻んだだけ。ドレッシングなし)と御飯(炊いただけ。死ねば好いのに)ばかりを何年も何年も食い続けるはめになった。そりゃ貧血にもなるさ! 拒食症も発症するさ!

親子の縁を切られたとき私が喜んだ気持ちがわかるだろう?
 

☆★☆
 

 駅前の塾の窓から外を見晴らすと見えるもの。
 昼も夜も盛況な鉄と偽石(ベトン)のパラダイス。
 人と車で今日も昨日も一杯一杯、
 明日も明後日もずっとずっと。

 そんな春の日。
 
「お嬢様」
 げ。
「憂鬱でございますか。如何ですか今宵は一つ街の方へと繰り出されては」
「……。」
 猪原この野郎気安くお嬢様とか呼びやがって猪原な顔してニヤニヤすんな身の程を弁えろこの畜生が汁物にするぞ。
 うう。僕は辟易した。いじめっ子の猪原はなぜか酷く僕のことをお気に召したようで、最近つと付きまとってくるのだ減量しろ。
 なんとかしてぎゃふんと言わせてやりたいものだが。
 上手い切り返しは無いか無いか。
「そうだね」脳内で忙しく罵詈を吐きながら出来るだけ事も無げに言い放つ。「エスコートしてくれるなら考えないでもないかな」
「……。」
「………。」
「……ぶはっ!」
「……っ!!!」
 猪原がげらげら笑い出すのと周囲で腐女どもの黄色い歓声が上がるのはほぼ同時だった。恥ずかしさに顔が赤くなる。なんたる屈辱、しかもてめえきめえ顔して唾飛ばしてくんじゃねえ!
 恥ずかしさの余り穴があったら猪原を殺して埋めたい。ありがたいことに後席で友人の瀬戸川慶(けい)が憤ったような深刻な顔をして加勢に来てくれたようだ。彼に幸あれ!
「うっそ、今のってデートのお誘い? 嬢哉(ジョウヤ)は猪原みたいなのがタイプなん?」
 前言撤回死ね! 今死ね直ぐ死ね此処で死ね!
「……分からないかな、俺は外見で判断しないんだよ」
 もう引っ込みがつかない。
「「…………グハっ!!」」
 ああ、やっぱり!  
 二人してひいひい笑いやがって! そ知らぬ風を装ってつんとしてなきゃなんない俺の身にもなってみろ! あと女共手前らキャーキャー騒ぎやがってウゼエんだよ…ってどうして歓声に男が混じってんだよ大丈夫なのかこの国!?
 だめだもう収拾がつかない。早く樹(シュウ)と帰りたい。

 
☆★☆


おーし、見えたぞ。

 ☆物語の舞台

時は西暦二千二十年代。我らが主人公牧岡神與(みよ/Matyás)はバーチャル学園都市『曬昧府(レイメイフ)』に在学している。
三次現実(基定現実と仮想現実が錯綜する拡張現実のこと)に存在する曬昧府は衛星軌道上に設定されたお洒落な仮想建築物で、見晴しし最高な高所恐怖症者にとっての地獄である。
牧岡黎都が構想し東洋先進諸国と欧州連合が出資して、グローバル化が後戻りできないところまで進行してしまった以上いっそ未来を担う各国の次世代をごっちゃにして教育を施し、世界市民的意識を醸成しようという割と夢見がちな意図を以って設計された。

 ★舞台背景

直接民主主義への復古運動の成果、大韓民国発民主カトリック運動・法王選挙の制定化・キリスト教の強大化・常設十字軍の設立・キリスト教権威主義・平州語(ラテン語)の復権、情報化の完成と空間のインターフェース化、旧字体の再使用及び漢字文化圏の回復と拡大、漢文の復権、民間宇宙開発の進行
西洋に於ける宗教的帰属意識の強化と民族的国民的帰属意識の減退
視覚言語使用の拡大
 『曬昧府生徒会』によるキャラクラシーの実験、生徒総聨による直接民主主義、学府自治の希求と曬昧府独立運動
智の超国家機関学際連盟
琉球民国の成立、東洋共産圏の民主化と華国の成立、朝鮮半島の統合
曬昧府設立十周年記念学園祭
牧岡の家習、22歳までに相手が見つかればウィーンパレスでの結婚式を贈呈
インターネット神道

 ※主題

文化の並存と衝突は致命的な分化と反目を招くか。
牧岡神与は結婚相手を見つけることができるのか
 

第一章 『空間は翻訳される』

一話 曬昧府

翻訳空間の定義。

曬昧府は十年で随分大きくなった。
曬昧府の前身は生徒総聨:国際共学ネットワークサービスという牧岡財閥が運営する国際交流SNSに毛が生えた程度の民間サービスだった。教育補助ツールの一種として系列の国際企業Civilizacio.netが開発。
作中時間の十五年前にWeb4.0サービスとして仮想学園の提供を開始。商業的に失敗しかけるも教育の新たな(そして有効な)モデルとして支援を取り付け、曬昧府として再スタートする。
 

浮浪霊

めも
2010/05/27(Thu)

 
祈れ 私のお前への憎しみを記念して


★☆★

「あのさ」大宮光華の注目と発声は高梁理之をぎくりとさせた。人の視線になれていない人間は人に見られているというだけで均衡を見失う。
「高梁さん、刺されてるよ」
「え」
「……だから。高梁さん、刺されてるよ。ここを。蚊に」
 いかにもあきれたように、一語一語しっかりと発音しジェスチャーを交えながら、光華は説明する。高梁は動揺し視界さえ揺れた。
「ど、ありがとう」
「どうもありがとうだってさ」
 取り巻きの友人たちに目配せすると、くすくすという笑いが起こり、そしてそれは嘲笑だった。
 高梁の世界が赤くなる。息苦しさが絶頂に達する。
「げっ、飛んだ」
「あ」高梁の血で満杯になった蚊は、よろよろと大宮たちの方へと飛び立った。漂っていく昆虫。大宮が動き、拍音がして、高梁の心臓が跳ねた。
 大宮の手のひらに、赤い染みのようなものが出来た。
「汚〜」へらへら笑うその顔を、高梁は反射的に張っていた。

★☆★

 料理をするのが、好きだった。
 最初、それはただの趣味だった。中学時代、私は家庭科の授業が得意で、家で練習したり、お弁当を作ったりするようになった。
 作ったものはママにも食べてもらった。最初、文句を言いながらも食べていたママはやがて残すようになり、終には手も付けなくなった。それは私の腕前の上達と並行していた気がする。
 自分で料理するようになってから、実質生野菜と肉だけだった以前の自分の食事が如何に貧弱だったかを知った。貧血と窒息感は間もなく無くなった。栄養不足が解消されたから。
 中学三年の秋の終わりごろ、母は食事を出さなくなった。
「お母さんの作るものなんか食べたくないんでしょ?」それが彼女の言い分だった。彼女は食材用の金を私に与え、お互い自分のためだけに料理するようになった。

★☆★

 井浦穂の実は友人が突如襲われたことに驚愕し、殆ど反射的な暴力を以って応えた。彼女の右拳にみぞおちを捉えられ、電流に貫かれたような感覚に打ちのめされ高梁は屈服する。
 崩れ落ちる高梁を前に構え、大宮を後ろに庇いながらも、穂の実はしたことにもされたことにもひどくショックを受けていた。
「ちょっ、穂の実」
「うん。どうしよう。やりすぎたかな」
「いや、貴方は悪くない。多分私がまた無神経なことをやったんだ。どいて」
 大宮光華は跪き空気を求め苦しんでいる高梁に近づき助け起こそうとしたが、出来なかった。
「高梁さん、大丈夫?」

※※※


 机の下から這い出て溜息をつくと、私の八つある奇病の一つ、『耳を塞いでも 聞こえてくる声がある』が去ったことを確認する。

 

※※※


何度戻しても、嘔吐に慣れない。酷く惨めな気分に成るのは勿論、親の視線にも最近怒気が混じってきた気がする。

 彼女の八つある奇病の一つ、『目覚めは反吐の華の香り』である。 深く息を継ぐ。\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\

 大抵は二時か三時ごろ、理之が憂鬱な夢に悩まされている頃合に発作に襲われ、

 いやだな、この感じ。
 まるで、世界中から見捨てられたような。


浮浪霊

めも
2010/05/25(Tue)

  
 
貴方はこのような所でさえ自分を偽らずには居られない

僕に嫌われるのはいやだから


★☆★


今死ね すぐ死ね 此処で死ね 独りで

それはきっと すばらしいこと 

(多分皆で生きることの、次くらいに)


★☆★


お前服を脱がせるのが下手だなあ。ほら、御開帳
文ちゃんは脱がなくていいの 男の裸なんて見たくないし (ええ!?)
どうかな?

(ソファに預けられた南の肢体は小さくて細っこくて酷く綺麗だった。僕は彼の肌がしなやかで白いことを上手く言葉に出来ず、柄にも無くどもって生唾を飲んだ)

俺、女の子には好評だからちょっと自信あるんだけど、ほら、男の子に見せるのは初めてだから 文ちゃんの気に入るといいんだけど

(彼は僕を手をとって引き寄せて、細腕を伸ばして手馴れた様子で僕の顔面というか頭部をゎわわわ、口とか手とか使って愛撫しだした。圧倒された)

男の子は勝手が分からないから悪いけどもう女の子と同じように扱うよ

(彼の肌はやや上気し、声も上擦っていた。南はいつもニコニコしてて今もそれは変わらないのだけれど、なんだかいたずらっぽい、明るい色気に染まっていた。為すがままは嫌なので、負けじと南のうなじに唇を寄せる。あは、と彼の口から笑いが零れた。無駄毛処理の徹底した南の足が僕の腰に回され、くすくす笑いながらしがみ付いてきた)

初々しいなあ。文ちゃんは可愛いね
好きだよ、文ちゃん
ごめんね


ごめんね、文ちゃん……



BGM :
柏大輔 - Coto

★☆★


試験前日には恐怖で反吐が出るくせに恋人の囁きに心は動かず
死の淵をさ迷っても亡びより試験のほうが怖いだなんて

どうせ苦しむなら、
愛とか夢とかに敗れて散りたかった。
同じ死病を患うなら、
生と死の意味とかに思い煩いたかった。

死ねばもうレポートを提出しなくて済むなんて思いたくて今日まで生きてきたわけじゃない

下らない 情けない 悔しい 嫉ましい 嗚呼

同じ
同じ生の苦界なら

僕は貴方のように、





 

浮浪霊

メモ 失明
2010/05/24(Mon)

 
 音樹の発案で自在箒が即席の白杖として代用されることになり、人数分が急いで取り揃えられた。もっとも、螺子で固定されているブラシ部分は如何しても取る事が出来ず、鬱陶しく汚らしい事この上なかったが背に腹は代えられない。
 驚くべきことだが、必要ないと言い張る者もおり、そういった連中を音樹は
「絶対、要るよ!」
 と一人一人説得し、最初こそ使い方が分からなかったが、結果的にそれに非常に助けられた。
  最初は帰り着くまでに死者が出るのではないかと思われた私達一行だが、今では時折互いの脛を大いに打ち付ける以外は大した不便もない。

 市の中心を突っ切り、蒼葉区を目指す − それには自転車で約50分掛かる距離を踏破する必要があり、そして我々は愚かだった。
 冷夏とはいえ五月末の日射を負った強行軍になけなしの体力は著しく消耗し、判断能力と理性は早くも擦り切れつつあった。
 蒼葉区居住の私達十六人の道程、やっと二十分の一くらい。
 今日中に帰り着く希望などとうに潰えたが、当初の目標だった仙台駅にさえ、とても辿り着けそうに無かった。
 今は一体何時なのだろう。日光の触覚が失せる気配の無い事から、日没が未だ遠いことが辛うじて把握できた程度だった。
 認めたくは無いが、クタクタだった。皆疲れは神経に来るようで、モップの柄で打たれたいや打たないでつかみ合いの喧嘩が何回もあった。
 数時間かけて、未だ私達は幾キロも踏破できていなかった。

「だめだ、普通に死ねる」前進は結局、日美(イルミ)の掠れた提案で停止された。「どっかに身を寄せて、日が暮れるまで待とう」

 私達は道すがらに位置するコンビニの一店を占拠・略奪し、腹ごしらえをした。
 コンビニには既に先客が居り、当然向こうも不法占拠なのだが、当然同じ災難を共有するもの同士、歓迎してくれる。

 喰うものを寄越し、休ませろ! 

 渡す物など無い! 他所を当たれ!

 本当だね、
 冗談じゃない。

 埒があかなかったが、結局数の暴力が事態を打開してくれた。向こうも血迷ったもので、十六人もの疲労と空腹で気の立った青年と掴み合ったりするものだから、あっとゆうまにフクロにされて店から放り出された。戦慄である。私達はごく端的に言って暴徒であり、そしてそれは恐るべきことだった。

 だが私は祈ることも忘れ、大いに喰い、そして飲んだ。

 音樹は一言も口を利かない。
 日が暮れるまでを皆が身を寄せ合い浅い午睡を取って過ごす中、私は音樹の肩を固く固く掻き抱き彼の体温を感じることで、窒息を免れた。彼はがたがた震えていた。私もまた家で待ってるはずの従妹を想って微笑った。見えない目を瞑って彼女の面影を目蓋の裏に浮かべながら、憔悴しただ機械的に句を紡ぐ。


 神よ、世のものを皆御創りになった母よ、
 祝し賜え用い賜え
 願わくば我々を、
 そして我々の食した糧々を

 一切は主の恵みによってこそ
 一切は御業が栄えの為に

 感謝のうちにこの日を終わります。

 貴方の愛(いつく)しみを忘れず、全ての人の幸せを祈りながら
 私達の主、救神(イエス)濡膏(キリスト)の御名に於いて


 正定(アーメン)

 


 ……そして私は眠り、涙を流す悪魔の夢を見た。

 

浮浪霊

荒書
2010/05/22(Sat)

 
痛い人目指してます。


☆★☆

*読む前の注意
 作中に登場する呪文はモノホンの呪(アートク)なので、
 良い子の皆はくれぐれも声に出して読んだりはしないでね!
 変なものが召喚されても知らないよ!


※※※


「もう一人」
「もう一人」三人の反濡膏(アンチキリスト)が動いた。
「居るってのか!?」

 ばある之御名に於いて。
 暗い尽くす黒光が神殺しを呑み込んだ。


「ちッ、貧弱だ。やはり匈土は駄目だ、異教徒共奴」威誉(ロラン)が嘆息する。
「やっちまったよ!」
「けど、利点も有るわ。ばあるの喰闇も濡膏圏を外れると神性が滲んで中々神々しいじゃない。私は好きよ」擲鑓(フラン)がニコニコしながら応える。
「確実にパパに殺されるwwww」
「たしかに闇にいかづちが奔(ハシ)るのはいつ見ても好いものだ」
 立上る殺塵に戦列を組み、頭を抱え身体を捻らせ悶えている濡膏子(クリスティン)を挟んで、絶大な悪意を立上らせる威誉と擲鑓。邪悪な視線を朦朦と立ち込める埃壁の一点に集中している。彼女達には明らかに何かが見えていて、それを警戒していた。
「どうも面白くないな。異教の地で、殺神騎(ディーサイダー)を相手にこちらは僅か三人とは。おい濡膏子、いつまでも頭沸いてんじゃねえっ!」
「はひ!?」
「ヘリを離陸させて対人砲で援護して、でないと親父の手を煩わすまでもなくなるんだから!」
「来るぞ!」

 立ち込める煙碍のうち声がした。

「『無神/ Nincsen Isten』。」 = 神はい無い

 びりびりという劈(つんざ)くような異音と共に、ばあるの神域が端から端まで破れ去って破綻した。喰闇の呪われた食い残しが固定され中空に静止し、殺神騎を見失い反濡膏たちの視線が動揺する。

「無神論で来るか」
「好いわね、私大嫌いよ、無神論者」
「いくか?」
「いこう!」


 双子の反濡膏(アンチクリスティナ)の冒涜的な詠唱が始まった。


「「耳有らば呼びかけに応えよ、
  貴方を呼び召し来たれば祝い、
  見得ざる様に慄き拝もう!
  虚ろな御座に巣食う鬼、
  汝霊的太陽よ!
  仇(サタン)よ、眼(マナコ)よ、欲望よ! 
  張り上げよ! 轟け! 声を大にして叫べ!! 
  車輪を巡らせろ父ばある、この落魄(おちぶ)れた太陽め!!」」



    アーメン!!



 見得ない獣が前方一帯を根こそぎ食潰し、空に釘付けられていた塵芥が霧消するように呑み尽され視界が拓けた。更には既に先ほど一舐めされ剥き出しに成った地面がまるで液体が沸騰するように貪られてゆき、見る見る が下がっていく。 

「さすが」舌を巻く威誉。
「流石だね」あきれ返る擲鑓。

 その絶体絶命の死地の中心に、殺神騎は立っていた。
 ばあるの暴食する車輪さえ食い尽くせない煮え滾るような鬼気を漲らせ、今や台のようになった食い残しの地片の上に立っていた。

「『全失眼汝前/ Minden Vesszen a Szemed Elől』。」=汝眼前より全てはみ失われよ

 神殺しの呟きで周囲土壌が起爆するように弾け飛び、束の間一掃された煙碍が復元される。

「「っ撃(て)えッ!」」

 がらららら、という転がり落ちるような音と共に、対人バルカンが火を吐く。射線が二人の頭上を掠め、神殺しが一瞬露わになった辺りを抉り掃い、ガラスを引っかくような鋭い音が響いた。

『擲鑓! 威誉! 当ったか!?』
「命中だ。干渉音がした」
『打神撲了(Guta Ütné meg)、熱探知機がノイズで真っ黒だ!』
「だが仕留めては居ないわ、排神圏が健在だもの。クックッ」
『今ぜぶぶ之視界を詠唱完了、神域展開・神源捕捉…… おい! 神源が増えてるぞ!!』

 瞬間、威誉が旋回・後退・抜刀するのと同時に、真っ黒い塊がその一瞬前の位置を掠めていった。斬撃は硬い音を響かせ撥ねのけられ、彼女の肩からは血が迸りその口が歪み声が漏れた。
「ちッ……」
「威誉っ!?」
「ぃたぃっ・・・!」




浮浪霊

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