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哲理
2013/11/14(Thu) 兎は経行の者を供養せしかば 天帝哀みをなして月の中にをかせ給いぬ 今天を仰ぎ見るに月の中に兎あり (松野殿女房御返事P1394) 昔独りの人有りて雪山と申す山に住み給き其の名を雪山童子と云う、蕨をおり菓を拾いて命をつぎ鹿の皮を著物とこしらへ肌をかくし閑に道を行じ給いき、此の雪山童子おもはれけるは、倩世間を観ずるに生死無常の理なれば生ずる者は必ず死す、されば憂世の中のあだはかなき事譬ば雷光の如く朝露の日に向ひて消(きゆ)るに似たり、風の前の灯の消へやすく・芭蕉の葉の破やすきに異ならず、人皆此の無常を遁れず終に一度黄泉の旅に趣くべし、然れば冥途の旅を思うに闇闇として・くらければ日月星宿の光もなく、せめて灯燭(ともしび)とて・ともす火だにもなし、かかる闇(くら)き道に又ともなふ人もなし、娑婆にある時は親類・兄弟・妻子・眷属集りて父は慈みの志高く母は悲しみの情深く、夫妻は海老洞穴の契りとて大海にあるえびは同じ畜生ながら夫妻ちぎり細かに、一生一処にともなひて離れ去る事なきが如く・鴛鴦の衾の下に枕を並べて遊び戯る中なれども・彼の冥途の旅には伴なふ事なし、冥冥として独り行く誰か来りて是非を訪はんや、或は老少不定の境なれば老いたるは先立(さきだち)・若きは留まる是れは順次の道理なり歎きの中にも・せめて思いなぐさむ方も有りぬべし、老いたるは留まり若きは先立つされば恨の至つて恨めしきは幼くして親に先立つ子、歎きの至つて歎かしきは老いて子を先立つる親なり、是くの如く生死・無常・老少不定の境あだに・はかなき世の中に・但昼夜に今生の貯(たくわえ)をのみ思ひ朝夕に現世の業(わざ)をのみなして、仏をも敬はず法をも信ぜず無行無智にして徒らに明し暮して、閻魔の庁庭に引き迎へられん時は何を以つてか資糧(しりょう)として三界の長途を行き、何を以て船筏(いかだ)として生死の曠海を渡りて実報寂光の仏土に至らんやと思ひ、迷へば夢覚(さと)れば寤(うつつ)しかじ夢の憂世を捨てて寤の覚りを求めんにはと思惟し、彼の山に籠りて観念の牀の上に妄想顛倒の塵を払ひ偏に仏法を求め給う所に。 (松野殿御返事P1383,1384) 今阿仏上人の一身は地水火風空の五大なり、此の五大は題目の五字なり、然れば阿仏房さながら宝塔・宝塔さながら阿仏房・此れより外の才覚無益(むやく)なり、聞(もん)・信・戒・定(じょう)・進・捨(しゃ)・慚(ざん)の七宝を以てかざりたる宝塔なり (阿仏房御書P1304) 此の曼陀羅は文字は五字七字にて候へども三世の諸仏の御師一切の女人の成仏の印文なり、冥途にはともしびとなり死出の山にては良馬(りょうめ)となり・天には日月の如し・地には須弥山の如し・生死海の船なり成仏得道の導師なり。 (妙法曼陀羅供養事P1305) 然れば久遠実成の釈尊と皆成仏道の法華経と我等衆生との三つ全く差別無しと解(さと)りて妙法蓮華経と唱え奉る処を生死一大事の血脈とは云うなり、此の事但日蓮が弟子檀那等の肝要なり法華経を持つとは是なり、所詮臨終只今にありと解りて信心を致して南無妙法蓮華経と唱うる人を「是人命終為千仏授手・令不恐怖不堕悪趣(ぜにんみょうじゅういせんぶつじゅしゅ・りょうふくふふだあくしゅ)」と説かれて候、悦ばしい哉一仏ニ仏に非ず百仏二百仏に非ず千仏まで来迎し手を取り給はん事・歓喜の感涙押え難し (生死一大事血脈抄P1337) されば法華経の行者の祈る祈は響きの音に応ずるがごとし・影の体にそ(添)えるがごとし、す(澄)める水に月のうつるがごとし・方諸の水をまねくがごとし・磁石の鉄をす(吸)うがごとし・琥珀の塵をとるがごとし、あ(明)きらかなる鏡の物の色をうかぶるがごとし (祈祷抄P1347) レモン
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