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浮浪霊の日記

2010年06月


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プロフィール
詩人名 : 浮浪霊
詩人ID : strayghost
年 齢 : 23歳

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2010/06/14(Mon)

「繋がるよ」


☆★☆


『私』は夢
『貴方』は影
世界は砂
心は移ろい

 生きることは 灼熱だ


☆★☆


文化とは囚われるのでは無い。御すものだ。



歌が聴こえる。
人生の素晴しさを謳った歌だ。
世界が美しいことを、愛が愛おしいことを、神がことを歌った歌だ。




嘗てお前が恐れと疚しさの虜だったのを憶えているか
確かなものなど何も無く、人はお前を愛さず、お前も人を愛さず、お前は与えられない救いをいつまでも甲斐なく求め苦しみ、また只傷つけあい傷つきあう世衆が哀れで堪らなかった、呻喘嗚咽するこの世界を救済したかった

神はお前ら哀れな人間どものため降って沸いた救いだ

『お前』を愛せない人の代わりに。そしてお前が愛せない『人』をもまた代わりに。神に愛してもらおうというわけだ。


だがそれは不毛だ!


『私』は夢
『世界』は砂
生きることは灼熱だ
そんなことは分かりきったことだ! そして此処が此処こそが救いだされるべき人間の孤獄だ!
 だがお前の救いを必要としていたこの世界にお前が与えたのは神の救いだった! お前は世界を愛せなかったのだ!

「でも」
(私は必死だった。こぶしを握り叫んだ)
「でも! 信仰で人は救われる! アメリカを見ろ! インドネシアを見ろ! 皆幸せじゃないか! 神を愛し神に仕え、私よりも誰よりも幸せじゃないか!」

瞞しだ そんなもの!

「まやかしだと! まやかしと言ったな、無責任な! 私たちのその下らない拘りで誰が一体救えたっていうんだ!」

(私はなおも叫ぶ。叫んでしまう)

「お前はまやかしでない愛があるとでも言いたいのか!」

(私は口を押さえた。『』は満足したように沈黙すると失せ消えた)


☆★☆


彼女は毎日のように子供を殴らなければ気がすまない異常者だったが、それと同じくらい毎日愛を語った。
愛してるといわれては殴られるのを繰り返されて育ったあの子は、
暴力と両立する愛を信じるようになっただろうか?

皆も、あんまり考えなしに子供をたこ殴りにしてると私みたいなのが育っちゃうから気をつけてね!


☆★☆


歌が聴こえる。
人生の素晴しさを謳った歌だ。
世界が美しいことを、愛が愛おしいことを、神がことを歌った歌だ。

悪魔だ。
悪魔が賛美歌を、
革服(レザースーツ)に身を固めた悪魔が、神を讃えて謳っている。
血を涙し諸手をひろげ歌っている。
恍惚と目を瞑じて。悪意ある笑みを浮かべて。悪魔が
悪魔が目を見開き



私は目を見開いた。
歌が遠ざかる。


 一切は闇だった。



☆★☆


「此れでも高校時代はもてたんだぞ」
「姉さん高校時代は女子高だったよね」



浮浪霊

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