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理恵の日記

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独白するユニバーサル横メルカトル
2017/09/06(Wed)

レビュー第一弾
『独白するユニバーサル横メルカトル』
平山夢明

いや、前に感想文なんて言ったけどね
とりあえずレビューとして書かせてくれ。



この本は、今小説を投稿しているサイトで平山先生のイベントをやっていて、
かつそのサイトで交流のある人が平山先生の大ファンだったことから読んでみようと思った本。

率直に言うと、平山先生がどういう作家かっていう予備知識が必要です。
っていうのは、グロテスクな描写が多く、美しい物語を求める人には向かないから。

正直、私は最初の『C10H14N2(ニコチン)と少年――乞食と老婆』で少し読む気をなくした。
それは文章にまるで小学生の作文のような稚拙さを感じたことにある。
ただ、この話、主人公が小学生だったこともあって、恐らく主人公に合わせた書き方なんだろうと予測できたし、湖の描写は綺麗だったため、次に賭けてみようと思った。

続く『Ωの聖餐』。グロテスクというよりは表現が汚い……。と思ったのが率直な感想。
しかし、この話では作者の知識の広さが垣間見れる。生物の構造や数学から音楽などのサブカルチャーまで、幅広くその知識に触れられる。ここでちょっと期待値上がるよね。

次の『無垢の祈り』も主人公は小学生だが、書き方は変えられていなかった。この話はまだ文章に稚拙さは感じるが、主人公が機能不全家族と呼ぶべき家庭に育ちながら学校でもいじめに遭うという不遇さにより、共感しやすくなっている。そのため、話がすっと入ってきて読みやすかった。最後は殺人鬼に助けられるけど、その幸とも不幸ともつかないラストが好みでもある。

次の『オペラントの肖像』からは格段に文章が上手くなっていて、読みごたえがある。この「稚拙」「上手い」と感じた理由も私自身よくわかっていないのだが、ここからがメインって感じ。今までのは前菜だわ。『オペラントの肖像』のラストのやるせなさは好きだ。

あと、個人的にキャラは被るけど『オペラントの肖像』と『卵男』のカノンとカレンも、女性らしい優雅な雰囲気が漂ってて好き。
そもそも『オペラントの肖像』と『卵男』が似たような傾向の話なのか?

表題作になっている『独白するユニバーサル横メルカトル』は二人称、しかも地図帖の視点という独特な書き方をしていて面白い。

そう見ると、結果的には良い構成なのかもしれない。『C10〜』は文章に稚拙さは感じるけど、その分表現は比較的やさしい。で、次の『Ω』で見事に興味を惹かれたわけで。
ここで『無垢の祈り』を持ってきても良い気はするけど、二作続けての小学生主人公っていうのが、どうもしっくりこないかもしれない。

全体に共通して言えることだけど、そんなにグロテスクな状態の人間を見たことはないだろうに、よくここまで想像して書けるなと思う。
グロテスクな描写が嫌いな人には決しておすすめできないけど、作者自身は知識人なのだろうと思う。
この人の本を読むときは、最初で読む気をなくしても、最後まで読んだ方がいい。

理恵

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